東京五輪の大罪 ─政府・電通・メディア・IOC レビューと大阪万博の行く末

秋には食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋がある。
ということで私は読書をしていた。
まぁ、春夏秋冬関係なく読書をするのだが……。
ということで今回は私が読んだ本のレビューを書いていく。
その本の名は、東京五輪の大罪 ─政府・電通・メディア・IOCである。


1.まず何を書くか

このタイトルで書いたのだが、この本のレビューは非常に困る。
何故ならば、この本に書かれていることは全て重要だし、日本国が戦前・戦中から引きずっている病理そのものであるからだ。
だが、本書は本間氏の簡潔な文書でまとめられているため、下手に要約すれば本書の内容が薄まったり、歪んだりしかねない。
だから、私はこの本を読んで私が抱いた感想を書き上げることにした。

2.東京五輪と大阪万博の共通点

この本を読んで思ったことは、東京五輪と大阪万博が悪い意味で共通点を持っていると思った。
まずこの本を執筆した作家の本間龍氏は、清水有高氏が運営するYoutubeチャンネルである「一月万冊」で大阪万博について取り上げている。
そんな本間氏が取材した東京五輪は、氏が取材する大阪万博の問題点に(国民にとっては)不幸にも似ているのだった。

2-1 予算の増大

最初、東京五輪を開催すると言った時、予算は少なく済むと開催者たちは言っていた。招待時に予算した値は7340億円のはずだったのだが、何やかんや1兆4238億円に膨張したのだった。また、当初は東京周辺でオリンピックを開催すると説明していたが、夏の暑さや環境を隠していたせいで札幌や仙台において開くことになり、コンパクトなオリンピックも開催できなかった。

大阪万博も似たような特徴があり、誘致したときの上限は1250億円だったが、見直ししたら2350億円になったのだ。(2023年)
その予算は8割増大したのだった。予算増額を国に要請したのだが、国も甘やかしてその要請を受け入れるので、動きには気を付けねばならない。

2-2 人命・人材の軽視

東京五輪を誘致する際、東京の夏は温暖でスポーツをやることに適していると嘘をついて招致した。
この嘘は東京五輪反対論の根拠だったし、体を鍛えているアスリートは耐えられるかもしれない(無事であるとは言っていない)が、観客として来るお客さんが倒れたり、命に何かあったら誰が責任を取るのか。おそらく、嘘をついてまで誘致した開催側が責任を取るとは思えない。

また、ボランティアの件も開催側の冷血ぶり、無責任ぶりを露呈させた。
まず、ボランティアとは無償ではない。では何故ボランティアが無償という意味に捉えられたかといえば、阪神淡路大震災で民間人が率先して救助活動したことが原因であると考えられる。
行政では手の届かなかった救助を民間が無償で行ったことで、人々の目に無償と映ったのだろう。

ボランティアの意味は自発的、公共性、非営利的である。
だが、ボランティアを要請し、参加する気のないものを巻き込むのは自発的ではないし、嘘をついてオリンピックを誘致したことは公共に反しているだろう。スポンサーが私企業である以上、非営利的であるとはいえない。
そのため、ボランティアの意味に反しているのだ。

そんな開催者たちは、参加したボランティアスタッフに酷い所業を与えたのだった。ボランティアは過去の五輪において無償だった、と嘘をついた開催者。そんな開催者たちは、ボランティアスタッフの宿泊費、食費について自腹を迫ったのだ。
自身は予算の増額、商業五輪をやろうとしているのに、善意から自発的に参加したボランティアスタッフに対して、自腹を迫るのは器が小さいのではないか。

大阪万博も似たようなものである。
大阪の公務員を無償ボランティアに充てようとする(これも定義に反する)し、命や多様性を大事にするという意のスローガンを掲げながら建設現場の残業規制を撤廃しようとするのだ。
本間氏の言葉を借りれば維新の会の山犬精神、東京五輪のジャイアニズムは批判されるべきである。

3.今後気を付けるべきこと

今後気を付けるべきことは権力者のジャイアニズムだろう。
それは社会福祉の減額や消費税増税で庶民を苦しめながら政府の批判は許さない、という器の小さな政府の者たちである。
また、自分たちが万博を誘致しておきながら上手くいかないと亡くなった政治家のせいにする維新の会などである。
彼らの存在はいつまでも日本にパワハラ・無責任の昭和をはびこらせる。
そのために我々がするべきことは情報を集め、彼らの動きを監視することである。
そのために「一月万冊」を見ることや本間氏の本を読むことをおすすめする。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?