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魅惑的な生命体

日めくりルーヴル 2020年2月9日(日)
 『三美神』(1531年)ルカス・クラーナハ(父)

なんでしょう。この不思議な感じは…。
ルーヴル美術館でこの作品を前にした時、画面から溢れる独自のエロティシズムに恥ずかしさを覚えました(←初心者の感想なのでお許しを!)
クラーナハ(父)の作品を前にするといつも同じ気持ちになります。

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[小さな顔]… 挑戦的な目、誘うような口元、とても妖しげです。
[身体つき] … 小さな胸、ポッコリしたお腹、肉付きが薄くてまるで少女のよう。
[裸体] … 女性たちの首から下を隠してみると、豪華なドレスを着ている方が自然であるように堂々としています。ゴヤ風に喩えると『着衣の三美神』の『裸の三美神』版がこちら!という感じでしょうか。よく見ると、薄い布を身体にまとっているのですね。これまた妖しい。。。
[ポージング] … 現代のティーン雑誌の表紙になりそうな小洒落たポーズ(もちろん洋服を着て ですが)。

三美神?いいえ。彼女たちは神でも人間でもなく、クラーナハが創り上げた世界の中だけに生きている‘生命体’のようです。

この作品は、2010年11月にルーヴル美術館が行った画期的なキャンペーンにより購入されました。
ルーヴル美術館ホームページによると、
ドイツ・ルネサンス巨匠の傑作であるこの作品は、以前は個人による所蔵だったため、公開されることはなかったそうです。
作品の驚くべき完成度、非常な稀有さ、保存状態の良さなどから獲得に乗り出したルーヴル美術館は、作品の購入に必要な費用の4分の3を準備しました。購入期限まで3ヶ月で残るは100万ユーロ。そこでルーヴル美術館は一般に寄付を呼びかけることを決めました。
この呼びかけに応じた 7,200人の寄付により、1ヶ月で全額が集まり、目標を達成できたそうです。

なかなか思い切ったキャンペーンですね。1ヶ月で約1億2,000万円…、すごいですね。
という訳で 2011年3月よりルーヴル美術館で私たちを迎えてくれています。

さて、クラーナハ「さま」(←まだよく知らぬお方に敬意を込めて)。
2016年10月から国立西洋美術館で<クラーナハ展>が開催されたようです。
当時は美術鑑賞に全く興味がなかったので、その存在すら知りませんでした💦。 見たかったぁ、残念。

ルーヴル美術館で本作を鑑賞した後、パリで、そして日本でも何点かの作品を目にしました。

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もっと多くの作品を観たい!そしていつか きちんとクラーナハの作品 そして彼と向き合いたい!と思います。
しかしまだ私には早い気がします。もう少し時間をください!クラーナハさま。

<終わり>

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