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お茶に関わる人の「プロ意識」とは?@2008年中国(澳門)国際茶業博覧会

2008年5月24日に、マカオで開催されている茶業博覧会へ行って来ました。
この記事は当日の出来事と、後日談をまとめて記事にしています。

今回の茶業博覧会は、マカオのタイパ地区に新しくオープンした「ザ・ヴェネチアン・マカオ リゾートホテル」が会場でした。
ヴェネチアということで、ホテル内のショッピングモールに水路を設けゴンドラを楽しめるのが売りだそうです。
そして、なんといっても充実した宿泊施設に対しての料金設定が良心的、ということで「一度は泊まる価値がある」と言われています。

今回一緒に行ったのは、自分のお店を持っている香港人Bと、ご主人が香港人の日本人マダムSさん。
どちらもお茶教室のお友達です。
メンバーについて触れた理由は、また別記事で書きます。

香港からマカオまではフェリーで約1時間。
マカオからホテルまではシャトルバスで数十分。
ホテルに入ってから会場までは、結構な距離を歩いたように思います。

それだけ広いホテルなのですが、歩いている時に3人同様に感じたことがありました。
それは、ホテルの装飾に重厚感が無いこと。
柱や天井などの装飾が豪華なのですが、どうにもハリボテのように見えてしまって仕方ありませんでした。

年月を経たら重厚感が出てくるのかな?

ここからが今回の記事の本題です。

会場に入った途端、私達の目に入ってきたのは、入ってすぐのブースを見ている中年の男性の手でした。
なぜなら、タバコの煙がモクモクしていたからです。

香港は現在室内禁煙となっているため、公共の場で喫煙している人に出くわすことはほとんどありません。

私が知っている日本の中国茶を取り扱うお店では、茶葉への臭い移りにとても気を使っていたと記憶していたので、かなりの衝撃で軽いパニックに陥りました。

えー???何で?
茶葉も取り扱っている会場だよー??
何で禁煙にしないの?
っていうか何で室内でタバコ吸うの??

もしかしたら彼は宿泊客で、茶業博のパンフレットをもらって入って来ただけなのかもしれない。
そうやって自分を納得させて会場に入ったのですが、会場内ではさらに驚きの光景を目にしました。

あるブースでは、お茶を淹れる側も試飲する側もタバコを吸っていました。
また、他の茶葉を売っているブースでは、お店の男性がひたすらタバコを吸っていました。

そんな光景見たら、絶対にそこの茶葉は買いたくない

お客さんが吸っているならまだしも、販売者が吸っているのはあまりにもプロ意識に欠けるな、と思ってしまいます。

お茶を淹れる際、お茶の中に吸い殻が入ってしまうとか考えないのかな?
たばこの臭いがついたら、茶葉の値段下がったりしない?
茶業博ではサンプル品のみで、大口契約は茶農家から直接納品になるにしても、たばこ吸っていたら茶葉のにおいとか分からないよね?

といろいろモヤモヤしてしまいました。

会場内でタバコを吸う人がいるから、会場内の空気は時間とともにどんよりしていきます。
お茶と真剣に向き合い、プロ意識を持って販売している人たちには障害になっているのでは?と心配してしまいました。

マカオは香港と同じく租借地だった歴史があり、1992年にポルトガルから中国に返還されています。
ちなみに香港は1997年に返還されました。

返還後10年の間に、広東語が話せない私が日常生活に困らないくらい香港でも北京語が通じるようになりました。
また、香港の若者たちは就職先に中国大陸を選び、香港ドルよりも中国元の方が強くなっているなど、香港もどんどん中国化していっています。

私がマカオに着いた時に感じたのは「表面はポルトガル・中身は中国」でした。
なぜなら、街中が中国大陸っぽいから。
マカオの住民はもともと中国人が多かったのだろうから、これが中国化された後なのかは分かりませんが、香港とはまったく雰囲気が異なります。

だからきっと、マカオのホテルは香港のホテルとは違うんだろうな。

マカオのホテルは、ホテル内で歩きタバコをしている人がいる土壌。
それは分かった。
だけど「お茶」に関わっている、ましてやお茶を「販売」している人が喫煙しているのを目の前で見たのはやっぱりショック。

もちろん行って良かった

カルチャーショックと言うべきか、お茶に対しての現実を知ったと表現すべきなのかは分かりませんが、茶業博覧会に行ったこと自体は後悔していません。
もちろん行けて良かったです。
いろいろな経験ができました。

お茶の値段の相場を知ることができたこと、知らないお茶に出会えて購入することができたこと、ポルトガル料理を食べたこと。等。

なによりマカオへは気軽に行けることを知れて良かった。

後日談

後日日本の茶友に会場内が喫煙可で、販売員が茶葉のとなりでたばこを吸っていたことを憤慨して話したら、あきれ気味に「そんなことに負けるほどお茶は弱くないし、世の中そんなものよ」と一蹴されてしまいました。

でも、歳を重ねた今ならその時の茶友の言葉がものすごく分かります。
世の中には「知らぬが仏」なものがたくさんあって、自分が見ることができるのはほんの一部。
茶葉に関して言えば、たとえたばこのにおいを吸っても、時間をかければとることは可能だろう。

そして、なにより私の価値観が全てではない
きっとこれに尽きる。

たばこのにおいがイヤなら、自分が茶葉を買うお店を選べば良い。
相手の価値観を変える必要もないし、歩み寄る必要もない。
選択権は私にある!

めちゃくちゃ青かった当時の私、2022年の私はこんな考えをするようになりました。

2022年にこの記事を書いて思うこと

2008年当時の出来事を2022年に書いてみると、世の中の変化に驚きます。

当時もさまざまな点で中国大陸に影響されていた香港ですが、まだまだ大陸に飲み込まれてはいませんでした。
私は、現在の香港の情勢を知ったうえでこの記事を書きました。
記事を書きながら、香港人のBに永住者のSさんはあの日マカオをどんな目で見たのか、考えてしまいます。

私は香港で暮らしていたとき、香港ID保持者でした。
香港は出生地主義なので、自分の子供には「大陸よりも自由が利く香港IDを」という思いの妊婦さんたちが大挙して香港へ押し寄せ、多くの問題が発生しました。
子どもを足掛かりに香港へ移住するというのが最終目的になるのでしょうが、子どもを思う親の気持ちもものすごく分かります。

中国という国の歴史を見れば、リスクヘッジとして生活拠点を別の場所に確保しておく人がたくさんいるのも納得です。

とても自分勝手な話ですが、当時私に関わってくれた茶友のみんなが平穏な日々を過ごしていられることを願うばかりです。

サポートいただきありがとうございます。 いただいたサポートでお茶を買いに行き、記事にさせていただきます😆