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煎茶道具セットと宝瓶(ほうひん)

先日 まるやま ゆみ さんが、日本の急須は中国から伝わってきたもの。という記事を書かれていたのを読んで大興奮した私は、その急須が「功夫茶」がルーツです!という記事を書きました。


が、実は同じ記事内に「宝瓶(ほうひん)」についても書かれていました。

実は私、宝瓶(ほうひん)も持っています。

宝瓶は取っ手のない急須のことです。

いただきものですが、箱入りの煎茶セットを持っていまして、その中に宝瓶が入っています。

日本で茶道というと、お抹茶のことと思われがちですが、急須で淹れる日本茶は「煎茶」で、煎茶道という茶道が存在します。

私が中国茶を勉強し始めた頃に住んでいた場所の近くには、日本茶カフェがありました。

そのお店では煎茶講座もやっていたみたいでいつも目にしていたのですが、受講する機会がないまま引っ越しをしてしまいました。

ですが、一度だけそのお店で日本茶をいただいたことがあります。
その時に、ディスプレイされている茶器が中国茶の茶器と似ているなー、と思って眺めた記憶が残っています。

そんな記憶がすっかり薄れていたころにご縁があっていただいた煎茶セット。

いただいた当時はうれしくて、よく日本茶を淹れていただいていました。

箱に入っている茶道具一式

箱の中には扇子も入っていたので、「煎茶道」用のセットなのかな?
写真右奥の蓋つきの茶器が「宝瓶」で、取っ手のない急須です。

お茶淹れ準備中

茶葉を準備して、お茶を淹れていきます。

宝瓶一杯のお湯はお茶碗5杯に入れても少し余ってしまったので、残りは「湯ざまし」に出し切りました。

宝一杯の容量

一煎目は宝瓶に注いだお湯をお茶碗を温めるのに移したりしたので、かなり下がった湯温で淹れました。

最初の煎なので、細かい茶葉も一緒に抽出されてお茶に「にごり」が生じます。

グッと引き出された旨みにかすかな渋み、そしてまろやかな甘み。
それら全てが小さなお茶碗の中につまっていました。

次に二煎目。
二煎目は直接宝瓶にお湯を注いで淹れていきます。

お湯を移さないため、湯温が対して変わらず。
熱いお茶が抽出されます。

一煎目とは打って変わって、さっぱりした味へと変化しつつありますが、香りや甘みが追いかけてきます。

煎を重ねるごとにどんどんさっぱりした味になっていくので「何煎目のお茶」とお茶碗を使って、最後に全部飲み比べれば良かった。。。

ところで、先日、ペットボトルの緑茶を作っているメーカーが「ペットボトルのサイズによってお茶の味を変えている」と言う話を聞きました。

その話を聞いてお茶の飲み比べをしたレポーターさんは「小さなボトルは湯呑でいただくようなこってりとした味で、大きなボトルはさっぱりとした味」というような表現をされていました。

今回の煎を重ねていった時の味の変化はまさにそんな感じ。

最初の煎は、口に含んだ時に口の中全体を包み込んでくる、こってり感が強く全体的にまったりした感じのお茶です。

それが煎を重ねてくると、どんどん味がシンプルになっていき、さっぱり感が増していきゴクゴクと飲めます。

なので、1.2煎目を大量に飲んでしまうと、胃への刺激が強く、ちょっと休憩したくなります。

ですが、後ろの方の煎はさっぱり感が強くゴクゴク飲めてしまうため、熱いお湯をどんどん足していただきます。

すると宝瓶で淹れていただくのは物足りなくなり、結局いつもののんべえスタイルへと落ち着きます。。。

がぶ飲みしたい

私、本当にキッチンドリンカーだなぁ。

煎を重ねて重ねまくって抽出限界に達した後も、私のお楽しみタイムは続きます。

日本茶の茶殻って、細かくてとても柔らかいのはご存知ですか?

日本では食品衛生法に引っかかるらしく、緑茶のビタミンCについての効用を明記することができないらしいです。

また、私は美容についてその仕組みを説明することはできません。

ですが、緑茶の茶殻を手や顔につけてマッサージしてから洗い流すと、肌が柔らかくなりツルツルになります。

ビタミンCとタンパク質が化学反応を起こすからかな?
塊肉をお茶の葉で煮込むと柔らかくなるのと同じ原理だと思います。

ということで、私は日本茶を飲む時は茶殻マッサージまでをセットにしています。

ちょっと話がそれてしまいましたね。

宝瓶の話が出たので、自分の煎茶セットを出してみました。
そして、少し煎茶道についても調べてみたのですが、煎茶道では「湯沸かし」として大きな急須型の茶器を使います。

お茶をいただくお茶碗も通常の湯呑よりも小さなお茶碗。

それらはまるで、「功夫茶」と似ている。

煎茶道では、お抹茶の茶道の時と同じようにふくさや扇子に懐紙などが使われるそうです。

中国の宋の時代に伝わった「点茶法」が日本のお抹茶の茶道として昇華し、明の時代からのお茶文化で清の時代に「功夫茶」となった飲み方が煎茶道に影響しているのかな?
そして、お抹茶の茶道「茶の湯」と日本茶の茶道「煎茶道」は同じく日本の茶道としてお作法や茶道具に共通点がある。

こうやってみると面白くありませんか?

人間の人格が他の人からの影響を受けて形成されたり変化していくのと同じように文化が作られ変化していく。

本来は「こういう楽しみ方があるんだ」と紹介されたものだったかもしれないのに、どんどん堅苦しくなっていったり、利権が絡んだりしているのが現状かもしれない世の中。

お作法を知っていたり、できたりするのは背筋がピンと伸びて素敵だけど、そういったことにとらわれず、多くの人がお茶を楽しめるといいな。

また、お茶のジャンルにとらわれず「お茶好き」な人たちとの交流が活発になったら面白いなー。

サポートいただきありがとうございます。 いただいたサポートでお茶を買いに行き、記事にさせていただきます😆