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リズムゲーム・セラピーのすすめ

 幼い頃から音楽がそばにあった。その流れがもたらした必然の帰結だろうか、最近は下手の横好きでリズムゲームに興味を向けている。
 コナミが「ビートマニア」で一世を風靡した頃はまだ自分も物心ついておらず、そもそも自分の周囲で認知されているほどでさえなかった。時を経て、発達と淘汰を繰り返しながら現在のリズムゲーム界隈が形成されていったのだが、最近はアプリゲームの台頭に伴いまた新たなステージに入りつつある。
 今回は、そんなリズムゲームが心身にもたらすある種のセラピー効果についていろいろと述べたい。当然、自分の言葉では語り切れないポイントも多々あるだろうし、個人差も生じてくる。その点は留意していただきたい。

音楽療法的観点から捉えるリズムゲーム・セラピー
 まず、音楽そのものが精神に作用するところから触れていこう。
 精神・知的・発達障害者の精神的健康を維持するための手法として、音楽療法が確立されてきて久しい。リズムゲームは、主体に「音楽」がある分そうした側面が他のジャンルより際立つ。
 アンビエントやメタルといったジャンルは特に効果的と言われるが、リズムゲームは(ことに最近のものともなると)そうしたジャンルもしっかりとカバーしている。
 また、いわゆる「親切設計」のゲームとなれば、曲に乗って操作するだけで楽しめることから、煩雑なプロセスなく音楽療法的恩恵を受けられるところも強みであると考えられる。
 ゲームそのものに関心がなくとも、単純に音楽を鑑賞できるようにCDなどの媒体に注力しているところも大きい。気に入ったコンポーザーの楽曲をいつでも楽しめるのであれば、療法的効果はより高まる。
 こうした音楽療法的効果は、リズムゲームが他のジャンルを圧倒する最大の強みと言える。

身体的側面から捉えるリズムゲーム・セラピー
 リズムゲームに卓越したプレイヤーはしばしば「ゴリラ」と揶揄される。楽曲に合わせて腕(あるいは別の部位。DDRは足を使う)を動かし続ける様を、ドラミングするゴリラになぞらえた表現と考えられる(他にろくな言い回しはできなかったのだろうか?)
 しかし彼らは一日でそうなったわけではない。譜面研究や効率的運指、さらに基礎体力の維持方法などを究めた上で、プロプレイヤーとして名を馳せている。言い換えれば、それまでのプロセスのセラピー効果を有効活用できている。
 リズムゲームがもたらす身体的セラピーは、基礎体力の向上に加えて動体視力の活性化、器用さの(個人的限度こそあるが)会得といったものが考えられる。実際、自分のように手先が不器用であってもリズムゲームに抵抗はない、という声さえもある。
 そういう点から考えると、卓越者をゴリラ呼ばわりすることは失礼にさえ当たる気もする(SDVXの称号『剛力羅』とは何なのか?)。とはいえ身体的に作用があることは事実であり、それが先述の精神的作用と相乗することで「飽きない」感情が生まれるのである。

ルーティン作りとしてのリズムゲーム・セラピー
 
基本料金無料のアプリゲームなら話は別だが、リズムゲームには資金も欠かせない。最近は1クレジット当たりのプレイ可能曲数に機種差があるので、より慎重に考える必要もある。
 だが、裏を返せばそれは節約志向のトレーニングともなり得る。例えば一週間に一度ゲームセンターで特定のリズムゲームを遊ぶとして、そのクレジットのために費用を浮かせるにはどうするか、ということを考えることができる。
 さらに言うと、仮にゲームセンターに行くというルーティンを組み込むなら、それに伴うスケジュール管理能力の向上も期待できる。昨今のアプリゲームはいつでもプレイできる強みがあるが、ゲームセンターの機種にはよりスケジュール管理の効果が出やすい強みがある。
 ましてや、ここまでの流れからわかるように、リズムゲームを生活ルーティンに組み込むことは先述の要素を組み込むことでもあるので、実に多くの見返りを得られるとも考えられる(もしゲームが合わないなら、他のゲームに活路を見出すやり方もある)。

リズムゲーム・セラピーを始めよう
 今回はここまでとなる。さまざまなセラピー方法が世にある中で、リズムゲームにセラピー要素を見出すという考えはある意味異端かもしれない。だが、やり方さえ適合するなら簡単に始められるし、続ける意思(と覚悟)があればより多くの効果も期待できる。
 精神・身体・思考の3つを同時に欲張ってコントロールすることは不可能に近い。だが、今回取り上げたリズムゲーム・セラピーは、どれか1つから徐々に作用していき残りを補う形で効果を見せていくものであると、自分は考える。
 いつも通り、何か意見や質問があればコメントなどで知らせていただきたい。また、もしセラピー効果が高いリズムゲームがあれば、是非とも紹介していただきたい。

 それでは、また機会があれば。

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