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32歳、「FIRE BIRD」をいつ聴いても泣く

「昭和のBECK、平成のけいおん、令和のぼざろ」とはよく言ったもので、時代を越えて何かしらバンドブームが訪れることがある。
 しかし、バンドリほどの「影の主役」もいないのではなかろうか。
 それまでヴァイスシュヴァルツやヴァンガードと言ったカードゲーム事業で当たってきたブシロード社が、大規模メディアミックス事業として世に問うた事業がバンドリであった。リズムゲームを基盤に、楽曲を各バンドの担当声優がリアルに演奏するという流れは今までにないものだった。
 自分が興味を抱き始めたのは2019年、折しも香澄とミクが雪まつりでコラボする時期だった。そしてその中で、未だに感情どころか涙腺にさえ作用している楽曲に出会った。Roseliaの「FIRE BIRD」である。
 楽曲は何かの決意を秘めているように、静かに歌い出される。相羽あいなさん演じる湊友希那(彼女はとてもかわいい)のセリフを皮切りに、楽曲はまさに「火の鳥」のような熱情を帯びたものに変化する。この時点で既に涙が込み上げる自分がいる。
 美し過ぎるメロディに気が抜けず、「次のステージ」を目指し戦う彼女たちのメッセージに心が灼けていると、突然ギターソロを経て歌われる言葉がある。

最初は 夢を見ることも
空を臨むことも怖かった
籠の中からの 銀河は高く
その星の輝きに 憧れては
ただ眩しくて ただ悔しくて
だけど今は きっとここからーー

 自分は、このフレーズを自分の過去に照合させることが多い。大人たちに「夢」を剥奪されたあの日、自分に自信を持てなかったあの日。それらを乗り越えて今の自分がいる。
「潰えぬ夢へ 燃え上がれ!」セリフの後のラスサビはもはや涙なしに聴くことはできない。
 ここまで涙を誘う楽曲が他にあっただろうか。何より恐ろしい事実は、これがリズムゲームの楽曲として存在することである。自分なら、腕前以前に涙腺が崩壊して途中でストップするだろう。
 ついこの間、木谷プロデューサーがブシロードを退社したという。それでもこの楽曲の存在感は、バンドリというプロジェクト全体を見回しても異様である。
 これからバンドリに入る人は、できれば「FIRE BIRD」を聴くのは後半くらいにしていただきたい。さもなくは、自分と同じく涙腺を刺激され他の楽曲が頭に入らなくなるだろう。それくらい、同曲は堂々としたナンバーである。

 それでは、また機会があれば。


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