見出し画像

ギックリ腰、寝違えの日常生活における4つの対処法

ぎっくり腰や寝違えを起こされた方に、当院でお話ししている日常生活の過ごし方について明記しています。多少長い説明をしている為、再度御一読していただけるとより理解しやすいと思います。

当院でお話している対処法は以下の4つです。

①温めない
②冷やす
③痛い方を上にして寝る
④座る時間を減らして、立つ時間を作る

です。それでは一つずつ説明していきましょう。

温めない
ギックリ腰や寝違えに限らず、強い痛みが出た直後は温めるより冷やす方が優先されます。
負傷すると白血球やマクロファージと呼ばれる壊れた細胞を除去したり、修復したりする細胞が集まり、これらが炎症反応を引き起こします。同時に発痛物質も放出され、時に耐え難い痛みを感じる場合もあります。
これら炎症を引き起こす細胞は血液の中に存在します。温める事により血流が促進し、より強い炎症反応が引き起こされた結果、痛みが増してしまう可能性があるため、痛めた直後は温めるより冷やす方が優先されます。
入浴の際は、湯船に浸かる時間を減らしなるべく温めないようにし、直後にアイシングを行い冷やすようにして下さい
※近年では温めた方が良いとされる論文も出ていますが、これについては後にnoteにまとめたいと思います。

冷やす
炎症を抑える目的で、しっかりアイシングを行いましょう。冷やす事で患部の血流量を低下させ、炎症を抑えると同時に、発痛物質の放出量も減り痛みが軽減されます。
また、冷やすと言う行為自体痛みを感じる閾値を上昇させる作用がある為、痛めた時はなるべく早くアイシングする事をお勧めします。
冷やすといっても湿布はあまりお勧めしません。現在多くみられる市販の湿布は、表面にスーッとする成分が塗布されているだけで、実際冷やしてはないからです。患部の炎症を抑える為には、もっとしっかり患部を冷やす必要があります。
〈冷やし方〉
当院でお勧めしているのは、アイスパック(氷嚢)とアイスノン(または保冷剤)です。
特にアイスパックは、しっかり冷たさを確保できるだけではなく、氷が溶けるまでは温度が一定な為、アイシングに適しています。また、ぬるくなってきたら氷と水を取り替えるだけで、すぐ使用出来る継続性と手軽さもメリットです。
アイスパックがない場合は、アイスノンや保冷剤で代用しましょう。ぬるくなってきたら、また冷凍庫でアイスノンを冷やし固めないといけないデメリットがありますが、冷たい内は患部をしっかり冷やす事が可能です。アイスノンや保冷剤を使用する際は、必ずタオルに包んで直接皮膚に当てないようにしてください。凍傷を起こす場合があります。

アイスパック(氷嚢)
保冷剤(タオルに包んで使用)


〈冷やす期間〉
炎症が最も強い期間は、受傷後48時間とされています。つまり最低でも二日間は、しっかりアイシングングを行う必要があります。この期間は冷やし続けた方が良い為、なるべく時間を取ってアイシングを行うと良いです。

痛い方を上にして横向きに寝る
最初に断っておきますが、これはあくまで原則の話です。寝具の硬さや枕の高さよって、上記の寝方が適さない場合もあるので、辛さを感じる時は別の寝方を試して下さい。
一般的に、次の寝方の順に良いとされています。
①痛い方を上にして横向き(右が痛いなら右が上)
②仰向け
③痛い方を下にして横向き
④うつ伏せ

※1 ③と④は取らない方が良いとされていますが、寝具によっては楽に寝られる場合もある為、状況に応じて寝方は決めていただければと思います。
※2 仰向けで寝る時は、膝の下に枕などを敷いて股関節を曲げてあげると、腰にかかる負担が軽減されます。股関節を曲げれば曲げるほど負担が軽減するので、枕は高めに敷いてもらっても構わないです。

座る時間を減らして、立つ時間を作る
※ある程度行動する事が可能な場合に限ります。立っているのもやっとという時は、無理をせず横になって頂いた方が良いです。

実は、立っている時よりも座っている時の方が腰にかかる負担が大きいです。正しい姿勢で座っても、立位と比べて約1.2倍多く椎間板には負担がかかります。加えて、座位は動きがない分、常に同じに荷重が掛かるので、痛いからといってじっと座ってばかりいるとかえって腰が辛くなったり、治りが遅くなる場合があるので注意してください。
一方、立っている時は座位に比べて負担が少ない上に、多少でも動きがあれば負担は一ヶ所に集中せず分散していきます。結果腰にとって楽な体勢となる為、可能であれば立って動く時間をなるべく作るようにしてください。
〈座り方〉
床や座椅子などの座り方は腰にかかる負担が多いため、腰痛が強い時は避けた方が良いです。ソファに座るか、1番良いのは椅子に座るのが良いでしょう。
その際ソファや椅子に深く腰をかけて背もたれに座るのが良いとされています。上記の座り方は骨盤が垂直に立ち、その上にしっかり背骨が乗る為、腰椎にかかる負担が1番少ない座り方とされています。
ただ正しい座り方をしても、立っている時に比べて、約1.2倍の負荷がかかる為、可能であれば立って動く時間を増やした方が、腰にとっては良い状態となります。とはいえ、重たい物を持つのもちろん、中腰(負担約1.7倍増)も負担が大きい為なるべく避けましょう。
〈立つ時間を増やす〉
坐位に比べ、立位は腰にかかる負担が少ない上、多少でも動きがあれば、負担が一か所に集中する事がなくなります。結果腰にとって楽な状態を維持できる為、可能であれば立っている時間を増やした方が良いです。もちろん痛みが強くて動くのもやっとという状態なら安静が優先です。コツは痛みが出ない範囲で動く事。たまに病院の指導で動けと言われ、無理をして辛い動きを繰り返される方がいますが、痛みに繋がる動きは避けつつ行動しないと悪化を招く原因になるので注意が必要です。

以上が当院でお話している4つの対処法です。
特に立ち時間を増やすという話は、のちに後述しますが通常の腰痛でも有効である為なるべく取り入れていただくと良いかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?