ある女の子の話

ルナを海へ送った帰り道
これでよかったんだ、ルナはこの広い、孤独な海で1人で暮らすんだ、でもやっぱり辛いな、

水族館に着いて

「海くん」

少し寂しそうな、でも優しい笑顔の館長が立っていた。
「館長。僕はやっぱり、弱い男ですね、大事な子を守ってあげたかったのに。」

涙がどんどん溢れてくる
「海くん。それでいいんじゃよ。海くんがルナのことを思ってしてやったことだ、その君の優しい温かい気持ちはルナに伝わってるんじゃないかのう、」

館長の目は赤く腫れていた。

次の日の朝
やっぱり研究所の奴らが来た。
「僕は人魚を、ルナを海へ逃しました。あなた方が強引に引き取ると言ったからです。」

研究所の偉そうな奴が僕に手をあげてきた。

「僕いや、俺は自分がしたいことをしただけです。人の気持ちを尊重できないようなクソ野郎どもに俺の大事なルナを渡すもんか」

研究所の奴らは悔しそうに帰って行った

その後の数日間僕は空っぽになったようだった。

何をしても身が入らない。

食事も喉を通らない。

海に行ってみることにした。けどそこにはもうルナの姿はなかった。

「待ってるって言ってたのに」
静かに去っていこうとした海の肩を誰かが掴んだ。
それは、、


数時間前海岸にて
「海くん、来てくれないな、、私のことなんて忘れちゃったのかな、」

実は海の来る数時間前までルナはずっと待っていた。1人。人に見つかりそうになったら隠れながら。

「独り立ちの時なのかな、そろそろ、」
ルナは色んなところに行ってみたいと思っていたのだ。この海くんへの気持ちの理由を探すために

「少しの間離れても、大丈夫だよね」
少しの間ここからはバイバイだ。ルナは南に向かって行った。



海は肩を掴んだ人に言った。
「僕はもう立ち直ることはできないんです。自分でもあんなことをしたことを後悔している。あなた方にもあんな暴言を吐いて、ね、浜西さん」

浜西さんは研究所の生物研究室に入って人魚の研究をしている人だ。少しシワが増えたが変わらず綺麗だな。

「君はやっぱり、ルナに恋をしていたのではないのですか?」

「は?」

僕が、ルナに、そう思った瞬間心のモヤが全て晴れた気がした。

「私は研究所の人間だ。でも今は君の味方をしてやろう。」

なにか見つかったのだろうか驚いた顔で海は浜西さんを見つめる。

「実はな、生まれてからずっと人間のやつが、人魚になれる薬を今作っているんだ」

僕は浜西さんに土下座をした。

「その薬がもし作れたら俺が飲みます。飲ませてくれるなら、なんでもします。試作段階のものでもなんでも俺に協力させてください。お願いします、」

死ぬ気で土下座をした。人魚になれば、ルナに会える。会いたい。その一心だった。

「よかった。君がそう言ってくれて。もし人魚になれても、これはやはり禁忌の物で人間が飲むと、何かの呪いにかかってしまうらしい」

そんな呪いなんて吹き飛ばしてやる

「構いません。人魚になれるなら」

呪いなんかで俺の決意は揺らがない

「そうか、ただし君にも色々お手伝いしてもらわなきゃいけないことがある。協力してくれるかな?」

「もちろんです!」
走って研究所の方へ向かう彼は今までにないほど輝いていた

「さすが私の子だ」
その言葉はひとりごとだったのだろうか、、



続きます

追記
色々あって更新が遅れました。申し訳ない。



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