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鉱山都市チアトゥラ、2022

ジョージア中部チアトゥラ、かつては世界最大のマンガン鉱山を誇った街である。

また狭い土地に数万人の人口を抱え、斜面に張り付くように建てられた居住地を結ぶために数十ものロープウェイが市内を縦横に走っていたことも一部界隈では有名な街である。

しかしマンガン産出量の低下やソ連崩壊後の混乱の中でこの街は廃れ、ロープウェイの運行も止まったまま放置されていた。
そんな鉱山都市チアトゥラをコロナ下の2022年3月3日に訪れた。

タイトルなし

Yandex Mapsを見る限り、現在でもチアトゥラの駅周辺には13のロープウェイの路線が確認できる。

コロナ前にこの街を訪問した記録をTwitterのFF内の方から引用すると
例えばこのブログとか

他にはこの同人誌とか

ロープウェイの運行は止まっており、新線が建設されている様子が伺える。

では順にこれらの路線の現状を見ていく。
下の地図に載せた、番号を付してある路線が現状を確認した路線である。
なお筆者の訪問時間が充分に取れず、未確認のままの路線も多い。

まず①の路線である。

道路の真上に車両が完全に放置されている。
ついでに周りの建物もすべて廃墟である。

基点側の駅から眺めてみる。



せめて駅舎のところまで回収しようよというような位置で止まっている。

終点側の駅舎は特に面白くもない。
純粋なる廃墟である。

次に②、③、④、⑤の路線の基点側となる駅舎である。
ソ連の残り香など微塵も感じさせない、お洒落な駅舎が完成されていた。
これらの路線は新しい駅舎、車両、支柱により、運行が再開されていた。

我らの求めるものではないが運行が再開したのは喜ばしいことであろう。
(それにしても人口減で水道やらガスやらのインフラさえまともに運営できていないと噂のチアトゥラだが、どこに新線を建設するようなお金があったのであろうか…)

せっかくなので③の路線に乗車してみる。
運賃は一回0.5リラ、運行頻度は5分に一回である。
(まさかの御堂筋線と同じ利便性とは)

ソ連時代に建設された鉱山団地がそこかしこにそびえている。
この街はかなりの人口減にさらされているはずだが、空き家率はどのくらいのものなのだろうか。


土地が狭いので斜面の上部まで団地が建っている。
日本でもかつての夕張はこのような感じであったと聞く。

③の路線の終点駅である。
こちらも基点側の駅と統一されたデザインが目を引く。

せっかくなので歩いて斜面を下る。
いかにもな団地の脇を新型のロープウェイ車両が通り過ぎる。

このような情景の中では、やはり旧型のロープウェイを見たかった。

⑥と⑦の路線の基点側の駅舎である。
こちらも完全なる廃墟と化していた。
周囲では露店市が開かれており、建物に近づくことはできなかったが、車両が放置されている様子は伺えない。

Yandex Mapsには載っていないが、Maps.meには載っている路線の基点側の駅舎は鋼索すら撤去されていた。
車両はとっくの昔に解体されたのだろう。


結局、本訪問では①の路線の基点側のみで、旧型のロープウェイを観察することができた。

他の廃駅の様子を見るに、駅舎の解体はおそらくなされないだろうが、鋼索と車両の撤去はいつ行われてもおかしくないように感じられた。
かつての鉱山都市の様子を伝える車両が見られるのもあとわずかかもしれない。
できればこの旧型の車両に乗ってみたかった…。

なおこの街へは鉄道を用いて、ジョージア第二の都市であるクタイシから日帰りで訪問することが可能である。
kutaisi 1駅を朝5時半に発車する列車を利用すると3時間ほどでChiaturaに到着する。帰りは昼前の11時ころの列車に乗ると午後には帰り着くことができる。
また途中の駅で乗り換えると、首都のトビリシにも夕方頃には到達することが可能である。

クタイシ市内と組み合わせると無理なく観光ができる場所であるので、ジョージアを訪れる機会がある方はぜひ訪れてみて欲しい。
ロープウェイだけでなく、かつての偉大なるソビエトの残り香を堪能できるであろう。


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ではでは

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