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地方に移住するという事

僕は軽井沢で小さなレストランを営んでいます。
いわゆるオーナーシェフってやつで、まぁそこそこ長く続いています。

軽井沢という地域だから…というわけではないと思うけど
移住者や移住を希望する人々と多く知り合います。
そして、かくいう僕もその移住者の一人。

僕の場合、ほかの人とちょっと違うのは
自らの熱い想いで移住したのではないという事。

だから、ちょっと醒めた目線で地方移住という物に向き合っていると思う。

僕の結論を先に言うと
「どっちでもいい」っていう感じです。

移住に必要な物はそこで暮らすために必要な収入であって
移住しなくてもそれは同じ。

僕のように、生きていくために必死な人にとっては
「暮らす場所がどこであっても必死」な事に何ら変わりなく
都会だから、田舎だからって、何が違うっちゅうねん!
と、でかい声で叫びそうになります。

僕が最初にお店を開店させた北軽井沢も
今お店がある軽井沢も、文化レベルが高くて
「地方だけど田舎ではない」から、なんとかなっているだけ。
そんな事情もあるから、余計にそう思うのかもしれない。

外国に移住するならいざ知らず、同じ日本の中で
どこに住んだって日本は日本であり、大差なくて
それなりに収入を得られる方法さえ確立していれば
移住はライフスタイルの好みに応じて選択する選択肢でいい。
そう、単なる選択肢。
それこそ僕は軽井沢を地方だとも思っていない。

どちらかというと、都会から地方へ移住するのは簡単だ。
肩の荷を下ろすイメージだと思う。
だけどその逆はちょっと難しい。

都会で作り上げた自分のスキルを、地方にチューニングし直すのは
案外できるんだけど
その逆はちょっと難しい。

自分が移住の判断をするのは自分の勝手だから問題ない。
でも、そこから生まれた子供たちは、前述の通り
もしかするとその逆の道を強いられる可能性もある。

地方で伸び伸びと育った子供たちも
いずれ高等教育を求めて、都会へ旅立つ日がくるかもしれない。
(実際、来る場合が多い)
その金銭的な負担を担うためにも
都会で生活している時以上に、必死になって収入を得なければならない。
それが移住を選択する者の責任だと僕は思う。

地方暮らしのコストは案外高いです。
なんでもDIYは楽しいけど、全てができるとは限りません。
僕にとっては自給自足は夢物語でした。
好きな人はやって、苦手な人はしなければいい。これも選択肢。

都会にない楽しさは確かにあるけど
地方では得られない物もあります。
全ては一長一短で表裏一体。どう捉えるかは自分次第。

それで僕は思うんですよ。

都会に大きな家とかビルを所有し
軽井沢みたいなリゾート地にも別荘を持ち、車はファッションで・・
そういう恵まれた方がいっぱいいる所で働いていると
移住だなんだと考えている事に意味が見出せなくなるのは確か。

これはもう、日々必死に生きるしかないな・・と。
どっちでもいいんだ、これは選択肢なんだと。

僕は今日「楽しく生きている」だけで幸せです。

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