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スペイン語って難しい...英語話者がつまずく5つのこと

チリに移住すると決めてから間もなく、スペイン語の勉強を始めました。

私は幼少期に米国に住んでいたので自然と英語が話せるようになりました。帰国子女にしてくれた親への感謝の念が尽きない一方で、日本語で他言語を学んだことがなく、代名詞や副詞といった文法の基本的な概念に触れずにここまで来てしまいました。夫に勧められた教科書を読んでも理解するのに苦労し、モチベーションは下がる一方。大学時代に第二外国語でスペイン語を学んだ時も同じ理由で挫折してしまったので、今回はアプローチを変えて英語で勉強することにしました。

どのような教材が良いのか全く見当がつかなかったので、とりあえずアマゾンで最もレビューが多く高評価だったこちらの教科書を購入しました。初版が1951年であることはさておき、序章に書いてあった「英語が話せる時点で、あなたは既にスペイン語を数千単語知っている。"popular"も"hotel"も一緒だし、"restaurante"も似てるね。さあ数週間で話せるようになりましょう!」という言葉に目が眩みました。確かにスペイン語と英語は単語が似ているし、一般的に難しいとされる巻き舌の"r"の発音は日本語の「ら行」と一緒。これはひょっとしたらすぐにマスターできるんじゃないかという淡い期待を抱きました。

結果そういう訳にはいかなかったのですが、今回はスペイン語初級の英語話者の視点から、最初つまずき今でも難しいと感じる5つのことについて書きたいと思います。

明らかに世代の違う教科書。
“Proven Approach”「実証済みのアプローチ」と書いてあるけど、現実はそう甘くない

1. serとestarが使い分けられない…

"ser"と"estar"は英語でいうbe動詞に相当します。ではなぜ2つあるかというと、前者は比較的変わらないこと(国籍、職業、身分など)で使うのに対し、後者は一時的な状態や場所を表す時に使うからです。この使い分けが難しい…。英語の"is"と"ser"の活用形である"es"が似ているので、例えば
"He is busy."「彼は忙しい」を
"Él está ocupado."ではなく
"Él es ocupado."と言ってしまいます。
面白いのは両方使える場合で、例えば「彼は結婚している」は
"Él está casado." とも
"Él es casado." ともいえます。変わらないのか、一時的なのか…。

2. 主語を言ってくれない…

スペイン語では、何かを強調するときや明示する必要がある場合を除き主語が省略されます。それもそのはず、動詞の活用によって人称が決まるからです。この動詞の活用が結構難しく、1~3人称、単数または複数、そして約16通りある時制を掛け合わせると一つの動詞に対してざっと100通りの活用形があることになります。活用のルールは勿論ありますが、例えば "decir"「言う」や "tener"「持つ」などよく使う動詞に限って例外的な活用をするので、すべて覚えて瞬時に理解できるようになるのは至難の業…。英語だと感覚的にはすべて主語を起点に考えるので、尚更慣れるのに時間がかかります。

3. Me gustaの謎

言語を学ぶ時の定番表現である「~が好き」は英語では"I like ~"で超簡単。それがスペイン語だと"Me gusta ~"になり、直訳すると "~ is pleasing to me"「~が私に対して好きという感情を抱かせる」という意味なので困惑します。
さらに紛らわしいのが好きの対象が複数形のとき。例えば英語だと
"I like flowers."で動詞は変わらないのに、スペイン語だと
"Me gustan las flores." と活用させる必要があります。
強調するために"Yo"(英語の"I")を追加して
"Yo me gustan las flores" と言うのは間違いで、この場合自分は感情を抱かせる対象なので
A mí me gustan las flores” ("a mí"は英語でいう"to me")になります。
スペイン語圏は感情表現が豊かでダイレクトなイメージなのに、このような頻出フレーズで受動的な表現が使われているのがとても不思議。そして英語話者にとっては直感的に理解しづらく、機械的に覚えるしかありません。

スペイン語の先生のご自宅でBBQ。
会話についていけなさすぎてmi motivación creció

4. 前置詞が微妙に英語と違う…

結構な確率で、英語の前置詞をそのまま直訳すればスペイン語でも使えます。例えば
"My sister learned to drive."「妹は運転を習った」は
"Mi hermana aprendió a manejar."になります。
でも同じノリで
"the opportunity to learn"「学ぶ機会」を
"la oportunidad a aprender"と訳したら間違いで、 正しくは
"la oportunidad de/para aprender"。
"de"は英語の"of"、"para"は"in order to"に近いので、ちょっと違います。

他にも例を挙げるとキリがありませんが、私がいつも間違えてしまうのは英語でいう"more than"。
"He is taller than her."「彼は彼女より背が高い」はスペイン語で
"Él es más alto que ella."
ですが、比較対象が量や数字だと"que"が"de"になり、例えば
"I have more than 10 dollars."「私は10ドル以上持っている」は
"Tengo más de 10 dolares."になります。
そうすると、
"It is more difficult than I imagined."「想像以上に難しい」は"que"になるのかと思いきや、
"Es más difícil de lo que imaginaba."になります。
なんで!?数字じゃないし想像と現実を比較してるのに…と毎回思うのですが、英語には存在しない違いなので、覚えるしかありません。

5. 目的語が先にくることが多い…

最近難しいなと感じるのが目的語です。例えば
"He gave it to me."「彼は私にそれをくれた」はスペイン語で
"Me lo dio." これを英語に対応させると
“To me it (he) gave."
で語順が全く異なります。
話す時は先に目的語を言うように意識しなきゃいけないし、リスニングでは単語一つ一つが短いので処理が間に合わずついていけなくなります。日本語に対応させると
「私にそれを(彼は)くれた」
なので英語ではなく日本語で考えれば良いかもと思いつつ、英語脳から日本語脳にその瞬間だけ切り替えるのもなかなか難しいので、頑張って慣れるしかないなと思っています。

街中で見つけた文章で勉強。
一番上のフレーズはコーヒー豆の袋に書いてあった

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