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あくびはカワイイ

今回はとても気持ち悪い内容になってしまうかもしれない。

そう思いながら書いている。

欠伸(あくび)というものがある。

眠くなったときに口を大きく開けて酸素を取り込もうとする、無意識的に起こるアレだ。

よく会話の最中にあくびをしていて怒られたり、授業中にあくびをしていて怒られたり、とかく人前であくびをするのは怒られるものだ。

無意識的に起こっているものという視点で見ると、怒られるのも理不尽な気がしてくるものだが、眠くなった時に起こるということはその人との会話に集中していないものとみなされても文句は言えない。

このように怒られがちのあくびだが、この無意識的な動作に、可愛さを見出すことはできないだろうか。

あくびというものは、カワイイものであるはずだ。

この考えをより深めてみようと思う。

猫や犬を思い浮かべてほしい。

犬や猫は野良であれペットであれ、ふとした表紙に目を細め、大口を開けてあくびをする。

大口とまではいかずとも、一瞬声も出さずに口をアと開け、何事もなかったかのようにどこか遠くを見ていることがある。

これは例に挙げた犬猫に限らず、それが熊であれ虎であれ獅子であれ、あくびをしたあとは大抵ぼんやりしており、一種のくつろぎ感と、無防備さを晒している。

あくびをする瞬間も特に決まっているようには思えない。

眠そうにしている中でのあくびは当然ながら、元気に遊んでいる途中でもあくびをしている様子は、ネットに上がっている動画でよく見受けられる。

動き回っていなくても、特に眠気がありそうにない状態から大口を開ける瞬間もある。

いくら百獣の王であれ、獰猛な犬であれ、人に慣れていない猫であれ、あくびの瞬間というのは共通して「気の緩み」というのが感じられる。

この動物の「気の緩み」というものからは、大変愛嬌が感じられないだろうか。

自身の状況にもよるかもしれないが、大抵他者が落ち着いている様子には、自身も落ち着くことができるはずだ。

犬猫などのくつろいでいる映像がネットで人気なのもそういった理由からだろう。

この状況を作り出すあくびというものは、あくびの開始から終わった後の挙動まで含めてやはり「カワイイ」を作り出している。

これは四肢を地面につける動物に限った話ではない。

たとえそれが人の場合でも、欠伸の瞬間というのは誰もが無防備になる。

いくら強面でも無表情でも卑屈そうでも悲壮でも、あくびの瞬間というものは万人共通して無防備となる。

その無警戒感、くつろぎ感は、見ているものにも安らぎを与えるものであろう。

(とは言え人の場合は「自分が指示を出している相手や、同じ作業をしている相手ではないこと」という条件がつく。同様に動いてないといけない時にくつろぎを見せられればそれは挑発となってしまい、前述のあくびへの「怒られ」はそこから発生するのだろう)

話をあくびの可愛さに戻そう。

インターネットでは飼い犬や猫の寝顔動画が何千リツイートなどされ、彼氏彼女の寝顔が可愛い(可愛いと真逆の文脈で晒されていたりするが)など、あくび後の睡眠というものが「カワイイ」ものとして消費されている。

無警戒さが「カワイイ」という感情を抱かせるのだろう。

無警戒というものは、相手が暗殺の対象であったり、共通作業中の同僚などでない限り、安らぎと愛嬌を感じうるものだ(暗殺の対象の場合は無警戒に可愛さを感じる変態的暗殺者もいるかもしれない)。

睡眠が「カワイイ」ものとされているなら、その手前のあくびもカワイイものとして分類可能だ。

さらに、あくびと言えばその不意に出たあくびを隠そうとして手を添えるなどすると、一種の「恥じらい」を添えることになる。

恥じらいは愛嬌の元となる(あざとさを感じてしまっては話は別だが)。

ツンデレというものがジャンルとして存在しているのはやはり恥じらいに「可愛らしさ」があるからで、その恥じらいすらも作り出すことができるあくびは、そのものがカワイイと言って差し支えない。

主に動物などに関してにはなるが、あくび前後の何事もなかったかのような表情や、あくびの直後に寝入ってしまうところなどに愛嬌を感じうる。

あくびをしたと思いきやものすごい勢いで駆け出したり、そのままぼんやり遠くを見つめている動物からは、可愛さを感じるに十分で、あくびの後にぼんやりしている人はどこか和やかな愛嬌を感じうる。


やはりあくびというものは、人間の場合は特に、文脈次第では挑発ともなりうるが、あからさまに、意図的にやっていない限り愛嬌を感じうるものだ。

たまに国会中継で議員の居眠りや欠伸が槍玉に上がっているが、時にはそこに愛嬌を感じてみても良いのではないだろうか(それは違う気もする)。

あくび観察もまた、可愛さを摂取し、ストレスを和らげるのに役立つかもしれない。

他人にやるときは通報されないように注意すべきだが、たまにはやってみるのも良いのではなかろうか。

それではまた




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