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玉川温泉で癌を治す特殊なお風呂の入り方

今年3回目、人生で6回目の玉川温泉の湯治を終えて帰ってきました。3年目にしてやっと私は玉川温泉のコツをつかんできました。

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私が最初にこの温泉を訪れたのは脳性麻痺の子供のためでしたが、そのうち自分の胸にもビッシリと良性腫瘍があったのでこれも消えてなくならないかなと思いながら通っていました。

実際に私の胸にあったしこりがごっそり取れたので、その時の経験をもとに「玉川温泉で効果を感じられる湯治の仕方」についてまとめてみたいと思います。



玉川温泉とは秋田県にあるpH1.2強酸性泉です。癌や難病の患者さんが昔から集まる知る人ぞ知る湯治宿。この酸性度数はほぼ「薄い塩酸」なので、普通の温泉と同じ感覚で入るとひどい目にあいます。

今回私は16泊したので指紋は溶けてなくなり、スマホの指紋認証が通らなくなりました。火山性ガスで機械は壊れまくります。今回炊飯器とスマホの充電ケーブル4本が壊れました。機械の取り扱いには特に注意が必要ですが、何より大変なのは痛い風呂。まず病気の人が入ると入って3秒で激痛で叫び飛び出るほど痛い風呂なのです。皮膚に穴が開いて膿がドバドバ出ます。それは玉川温泉特有の「湯ただれ」という現象です。

普通のお風呂ではないので猛烈なカロリーを消費しますし、油断すると脱水症状に。脳梗塞や心筋梗塞にもなりやすいハードな温泉なので、調子に乗って長時間入浴していると簡単に倒れます。そうならないように「正しい知識」で「自分の体に合った入り方」を見つけることはとても大事。

実はこの温泉は「誰にでも当てはまる正しい入り方」というのが存在しません。ある人は「大浴場のお風呂にいっぱい入ったら治った」というし、ある人は「岩盤浴のほうが効いた。風呂にはほとんど入らなかったけど癌が治った」と言います。「100%の源泉に〇分入ったら治った」という人もいれば「50%のほうがいい」という人も。入る人間の性別も年齢、持病の種類も違うのだから「効果のあるお風呂の入り方」が違っていても当然ですよね。滞在日数が4日の人と16日の人が同じペースで入ってよいわけがありません。

玉川温泉で「あっけなく癌が治った」という人もいれば「ものすごく頑張ってお風呂に入ったのに全然よくならなかった」という人もいます。効果を感じられた人は「自分の体に合った温泉の入り方のコツ」のつかめた人です。すべての人がこのコツをつかめるわけではありませんが、私は運よくコツをつかめたのでこれをできるだけ多くの人に伝わるように頑張って言語化してみたいと思います。


玉川温泉の痛みには4種類がある

玉川温泉のお湯は痛いお風呂です。ただ不思議なことに健康な若い人が入ると痛みは感じず「ただのお風呂」らしいのですが、私が初めて100%源泉に入った時は3秒で「ギャー!」と大声を出して飛び出るほどの痛いお風呂でした。「あなた自分で知らないだけで病気ね」と、見ず知らずの老女に話しかけられたのを覚えています。元気な人は小説でも読みながら2~3時間平気でお風呂に浸かっている人もいるのですが、大抵の人は痛みに耐えながらお風呂に入っています。

この温泉では「痛み」とうまく付き合って湯治を乗り切る必要があります。それにはまず痛みの種類を知ることが重要。

①チリチリ、チクチク、ピリピリ、かゆかゆ

誰もが最初に感じる痛みがこちら。「チクチクして体の表面がかゆくなる」という痛みです。これは我慢して入っているとどんどんかゆみが強くなっていきます。無理して我慢する必要はありません。無理するとどうなるかというと、全身に「湯ただれ」ができて痕が残ります。

②グサグサ

皮膚の表面のチクチクを我慢しているとそのうち体の芯をグサグサとアイスピックや目うちのようなもので刺されているような感覚がやってきます。これは①を我慢しすぎると②がやってくるのです。これは結構な痛みですが、①や②を感じたからと言って癌が治るとは限りません。そしてさらにこれを我慢して入っていると次のステージがやってきます。

③う~~~~!

この「う~~~~!」とは何かというと、のけぞるような耐えがたい痛みです。体の奥底から湧き上がってくるような猛烈な痛みというか「鬱憤」というか、とにかくこの痛みがやってくるとたいていの人は両手でグーを作り、体をのけぞらせて耐えます。口から「う~~~~!」という声が自然と出てくるのです。

④ギュウウウウウウ!

次は「他人に体を握られて雑巾絞りにあっているような感覚」と表現される痛みです。「ねじ切られるような痛み」というと体験したことがある人にはすぐ伝わります。私は「陣痛と同じ痛みが胸に来た」と思いました。これは陣痛のように痛みに波があって「痛い時、痛くない時、痛い時、痛くない時」と交互に痛い時期と痛くない時期がやってくるんです。この痛みがやってくると「痛くて外に飛び出る」ということができません。あまりの痛みに出たくても出れず、お風呂の中でうずくまるしかできなくなります。ただこれにも次第に慣れてくるので、慣れてきたら痛みの度合いが少しずつ軽くなってくるはずです。それでも①の痛みの数十倍です。猛烈に痛いです。


穴が開いて膿が出る

「癌が治った」という人たちの多くは「ギュウウウウウウ!」で治ったという実感があります。そしてこれを経験した人は体のどこかに穴が開いてそこから膿が出ます。この膿は同じように湯治をしても出る人と出ない人がいますが、出た人は癌が治っている人が多いので古くからいるおじいちゃんおばあちゃんたちには「毒が出た」と表現されるものです。そしてその時出来る穴は「良い湯ただれ」だと思われていて、ただ単に長時間お湯に入ってできる湯ただれとは全く違うものです。

・良い湯ただれ=膿が出る穴が開いたもの。クレーター状。玉川を離れれば自然と治る。
・悪い湯ただれ=単に無理をして入っていて皮膚がただれたもの、やけどのあとのような見た目。なかなか治らず痕が残る。

特に女性は乳首から膿と血が出ることがあります。皮膚に穴が開いて出なかった時は乳首から出ます。私は乳首から膿が出てびっくりしたのですが、その時にそれを見ていたおばあちゃんたちに拍手をされ「おめでとう!これで治るね」と言われました。それまで膿が出る話なんて聞いたことがなかったのでとても驚いたのですが、周囲のおばあちゃんたちに聞いてみたら大腸がんの人も肺がんの人も乳首から膿が出た後に治ったと言っていたんです。

膿が出なくても治ったという人は大勢いるのですが、膿が出て治るというのは玉川温泉ではよくあることのようで、お風呂や更衣室でもよく穴の開いた人を見かけます。脳腫瘍の人は首筋やおでこに穴が開き、足の付け根の神経に癌があった人は親指の付け根に穴が開いているのを見ました。私は肘の内側の柔らかい部分に穴が開きました。3cmくらいの穴で膿が沢山出ましたが2日くらいかけてそれは小さくなりかさぶたができて穴は閉じました。穴が閉じるころには胸のしこりは消えてなくなっていました。

この膿の出る穴が開く直前には「ギュウウウウウウ!」という痛みがやってくるので結局のところ、玉川温泉で湯治をする人は「ギュウウウウウウ!」という痛みを目当てにお風呂に入っているわけです。この痛みを感じた直後には汗がドバドバ出ます。特に頭の後ろから恐ろしい量の汗が出るので、出始めたら無理をせず上がって布団をかぶって寝ます。寝ることが大事なんです。なぜなら寝ている間に癌が消えてなくなるからです。

「ギュウウウウウウ!」を感じる
   ↓
部屋で最低2時間以上ぐっすり寝る
   ↓
寝て起きたらしこりが取れている

せっかく痛みを感じていてもその後忙しくして眠れなければしこりは取れません。「ギュウウウウウウ!」という痛みを感じたら、その後予定があってもキャンセルして布団に入ることです。

しっかり眠った人は「癌が消えた」という実感を感じることができていましたが寝なかった人は効果を感じられていませんでした。

たくさん寝たあとは不思議と快便になります。便意で目が覚めてトイレに行くほどです。起きてすぐトイレに行ってびっくりするほど大量にうんちが出た後はしこりが消えていることが多かったです。悪いものは膿が出ないで便で出るパターンもあるのだと思います。

大切なのはお風呂に入ることだけではないのです。


「ギュウウウウウウ!」を感じれなかった人の特徴


「ギュウウウウウウ!」という痛みはすべての人が体験できるわけではありません。頑張って玉川温泉に入っているのに効果を感じられない人もいるんです。体験できた人とできなかった人の違いは何でしょうか?!私は多くの人にリサーチしてみたのですが、いくつかの特徴がありました。

⑴絶食に近い食生活をしていた人【ローカロリー・糖質オフ生活】
 ➡玉川にいるときだけは食べたほうがいい

「癌の栄養は糖だから」と言って糖質オフを徹底している人たちは毎日3時間源泉100%に入っていても効果を感じられていませんでした。このお風呂に入ると血糖値が激しく下がります。血糖値が下がればコルチゾールが分泌されるので、これが枯渇すれば抗炎症作用をコルチゾールに期待できなくなり、炎症は潰瘍になり潰瘍から癌になります。普通の場所ならまだしも玉川にいるときは沢山食べないと治るものも治らないです。食欲がなくても何か口に入れておいた方がいいです。

食べる量の少なかった人は温泉でも痛みを感じにくく、感じても①と②の痛みだけでした。普通なら数秒耐えるのも難しいお風呂で「痛いけど我慢できないことはないわ」という人は食べる量の少ない人です。食べていなければ玉川のお湯に浸かっても痛くはないけれど、ギュウウウウウウという痛みは現れないし癌は消えません。

特に癌になったとたんに菜食主義になる人がいますが、それだと玉川で必要なカロリーを摂取することは難しいです。一般的に1日5800キロカロリー以上が必要だと言われている山ですから、野菜だけでそれをまかなうのは不可能です。そうなるとせっかく湯治をしているのに血糖値が下がりすぎて効果を感じられなくなってしまいます。体力をつけてお風呂に入るには肉や魚を食べなければ間に合いません。カロリーの高いものを食べなければ湯当たりして倒れてお風呂の効果を感じられず消耗し、逆効果になります。

「癌には菜食主義がいいと聞いた、四つ足はダメだと。だから自分は肉は食べられない。断食も効果があるらしいし自分は大量のご飯なんて食べられない」と言っている人は周りをよく見まわしてみるといいです。同じことを言っている人に玉川で癌が治ったという人はいないので。

では実際にどのくらい血糖値が下がるのかみてみましょう。

これは私の血糖値です。24時間血糖値を計測する機械をつけて寝たのですがLOに何度もなっています。1日4食とおやつ3回あんこ水5回飲んでいるのにこれですよ。自宅にいる時にこんなに下がることはありません。途中目が覚めてアンコを頬張ったときだけ血糖値が上がりました。起きている時は食べられますが寝ている時に血糖値が下がるとそうは行きません。夜間低血糖怖いですよね。

玉川にいるときだけはハイカロリーのご飯を食べて自分の身を守ってください。この山は普通の山ではないんです。存在して息をするだけでカロリーを消耗する場所なんですよ。糖尿病の人にはとてもいい場所として知られていますがそれ以外の人は食べて乗り越える必要があります。

外岩盤でも大浴場でも血糖値が下がってしまいます。常連の人達はおやつをたくさん持ってきてお互いに「食べな!食べたくなくても口に入れな!」と言ってお互いに食べさせあいます。なぜなら血糖値が下がったらお腹が空いていないような錯覚をしてしまうので自然と食べる量が減ってしまうんです。だから他人に無理やり食べさせられるくらいでないと乗り越えられなくなるんです。あり得ない量を食べてこそ病気が治りますが食べないと心臓に負荷がかかったりして倒れます。だってここのお風呂はただの温泉ではなく薄い塩酸なんだもの。

大切なのはお風呂に入ることだけではないんですね。


⑵痛み止めの効果の強い薬を使っていた人【痛みを感じれない人】 ➡痛みがわからなければ治療のスイッチが入らないのではないか

キツイ抗がん剤を使っていて副作用の重い人などは痛みを止めたりする薬を飲んでいる人が多いです。彼らは「薬のせいで痛い風呂に長時間入っても痛みを感じない」と言います。玉川では痛みが治療のきっかけとして働いているので、それではなかなか治らないのかも。



⑶ひたすら源泉100%のお湯に長時間入り続けて①と②の湯ただれを作りまくっていた人【無駄な湯ただれ製造ループ】
 ➡悪い湯ただれを作っていては良い湯ただれがやってこない

キツイお風呂に入ればギュウウウが来るというわけではありません。痛みを散らすお風呂の入り方を身に着ければ、悪い湯ただれを作らず良い湯ただれを作ってギュウウウウウウウウを感じることができます。①と②のチクチクグサグサを感じたらいったん上がって弱酸性のお湯やかけ湯で流して仕切り直しましょう。①と②の痛みは我慢しても④にはつながらないので無理をする意味はないんです。



⑷朝から晩までハードなスケジュールで湯治生活をガツガツしていた人【ハードワーカー】
 ➡ゆっくり休める余裕が必要、湯治にノルマを課すと良くない

まるで嫌いな仕事のノルマを無理してこなすようにガツガツと雨が降っているのに朝5時半から外岩盤の場所取りに出かけ、分刻みで風呂に入り内岩盤の予約を取り、完璧な食事をキッチンでこさえて食べている意識高い系の人達も治っていません。そして「ギュウウウウウウウウ」なんて感じたことがないと言います。彼らは癌についても勉強していて知識も豊富だし頑張り屋さん。コミュニケーション能力も高くてお友達を作るのも上手。いろんな人の相談にのってあげたり本当にいい人ばかり。とにかく凄い体力でハードスケジュールをこなしています。こんなにいい人がなぜこれほど頑張っているのに治らないのだろうかと不思議になります。

でも「頑張っている」のはわかるんだけど頑張りすぎ。ハードに動くということは寝る時間ももっと確保する必要があるので、寝ても寝ても寝足りないことに。

ボーっとしていても治る温泉なのだから、ガツガツお風呂に入る必要なんてないのかも。


⑸「ここはパワースポットだからいるだけでも効果がある」と言いながらお風呂にほとんど入らずに過ごしていた人【スピリチュアル】
 ➡必要最低限は風呂に入るべき

湯治に来てお風呂に入らないなんて、治す意思を感じられない行為です。でもこういうタイプの人は思った以上に大勢います。玉川温泉は訪れるだけで癌が治るようなパワースポットでは絶対ないので、頑張ってお風呂に入らないと治らないですよ!



⑹「どうしてほかの人は治ってるのに私だけ治らないの?!」とネガティブ発言を繰り返す【悲劇のヒロイン】
 ➡ネガティブな思想の人もお風呂に入っていない

根暗な発言を繰り返す人は部屋で泣いたりダイニングで悩み相談をしたりしていて、落ち込むのに忙しいのでお風呂に入る時間が短いです。このタイプの治らない人は話をしてみると「あの人は50%に5分入っていただけなのに治ったらしい」「あの人は4日滞在しただけなのに癌が消えた」というような短時間で効果があったような人の話に惑わされて、短時間しかお風呂に入っていないんです。

治っている人は壮絶な風呂の入り方をして治しています。「初めて来た玉川温泉、貧乏でお金も時間もなくて4日しかいられないから源泉100%に1日5時間入って治した」という人もいます。1日5時間は絶対に危険なのでおすすめできませんが、やはり治るにはある程度の時間お風呂に入るべき。

そしてその人は「どういうお風呂の入り方をして治ったのか?!」と尋ねられた時に「あの時は50%に5分くらい入ってるときだった」と答えていました。ギュウウウウウを感じた瞬間ですね。

それを聞いた人は「100じゃないんだ!50でいいんだ!長時間入らなくてもいいんだ!5分でいいんだ!」と言い出して「無理して100に入らなくても治る」と言ってお風呂に入らなくなるんです。

そうなるとその理論は伝播して「玉川にいるだけでお風呂に入らなくても効果がある」というスピリチュアルな人たちを生み出します。お風呂に入らないと効果がないので彼らはそのうち「どうして私だけ治らないの?!」というネガティブな思想で落ち込む悪循環に突入します。

周りには次々と治っていってる人がいるので焦りが募りますよね。それでも彼らは自分が全然お風呂に入っていないのだと気づいていません。

⑺「どうしても傷跡を作りたくないの!」といくつになってもきれいな体のままでいたい【乙女系】
 ➡生きるか死ぬかの瀬戸際でも湯ただれができるのを恐れて風呂に入らない

湯治に来ているのに風呂に入りたくない人達の中にはその理由を「きれいな肌のままでいたい」というこだわりに全振りしている人たちがいます。湯ただれなど出てナンボのこの温泉で「湯ただれを出さずに治したい」と考えるのはかなり無理があります。

こういうタイプの人は「3分入ると30分入ったのと同じ効果があるらしいわよ」などと言って、1日最大6分間くらいしかお湯につからない。「治った人は5分しか入っていなかったけど効果があった」というのを永遠に信じてほとんどお湯に浸かりません。長時間お湯に浸かるということは湯ただれが大量に出る可能性が上がるので、「肌を痛めたくない」と言っている人の本音は「痛い風呂に入りたくない」「長い間お風呂に入れない」ということですね。

痛みを克服する方法にたどり着けなかった人はスピリチュアル・悲劇のヒロイン・乙女系の3つの落とし穴にはまりがち。これらは三位一体なので一度落ちるとエンドレスでこの3つを繰り返しがちです。

そもそもなぜこの落とし穴に落ちるのかというと、癌が治った人に「何パーセントのお風呂に何分入ったら癌が治ったの?」という質問をするからだと思います。この質問の仕方をする人が凄く多いですよね。でもこの聞き方をしてしまうと「あれは50%のお風呂に5分くらいいた時に凄い痛みが来てその後治ってた」なんて答えが返ってくるはずです。これだけ聞くと簡単に治ったような感じがしますよね。大抵の人はこの答えられ方をしたら「100%に入らなくてもいいんだ!」って思っちゃいますよね。その前に100%に1時間入ってたとしても、治った人はこの答え方をするはずです。

治った実感のあった人はギュウウウウウという痛みが来た時のことを覚えているので「治った瞬間にいた風呂」を答えるでしょう。治った人達が伝えたいのは「ギュウウウウウウ」という痛みの話なのですが、治りたい人が聞きたいことはそうではありません。「いかに痛い源泉100%に入らずに癌が治ったか」という経験です。皆痛いのが嫌なので「痛くないやり方で治った人の言うこと」しか聞きたくないのです。

「50%に5分いた時にギュウウウが来て治った実感があった。実際には1日5時間100%に入るような無謀な湯治をしていた。たまたま50%にいた時に効果を感じただけで。直前には100%に1時間入ってた」という話であっても、皆自分の都合の良いように受け止めてしまうんですね。

皆あの痛いお風呂には入りたくないんです。
当然ですよ。本当に痛いですからね。

「通算何時間入っていたのか」という考え方でお風呂に入っていた人はしっかり入れている人が多いですが、「何パーセントのお湯に何分入った」という部分に注目してしまう人はお風呂に入らない落とし穴に落ちやすいです。

「楽に治った人の話」ばかり聞いて数分しか入らないようなお風呂の入り方をマネをしていても効果はありません。痛くても入らないと。

(8)病気の受け入れができていない人

「私は癌って言ってもステージ2なの。初期よ。まだそんなに酷いわけじゃないのに病院の先生は何でも癌にしたがってしまうのね。こんなのまだ癌じゃないのに。抗がん剤や手術を勧められるけど私まだそんなに重度ってほどじゃないのに」というように病気を完全に受け入れられてない人もいます。そういう人もお風呂には入らず外で喋っています。不安が強いから病院の治療から逃げたいのでしょう。その逃場として玉川温泉は適していません。抗がん剤の苦しさと玉川の湯の痛さを比べると決して「温泉のほうが楽」とは行かないからです。玉川で治すには薄い塩酸に浸かる覚悟が必要です。絶対にここで治すという気合と根性で痛みを克服する必要があります。

でも何も知らずに来て入ってあんなに痛かったら絶望しますよね。

でもそれが難しい人が多いのも事実です。そんなときこそ仲間の存在が重要です。

周りの湯治客達と励まし合いながら一緒にお風呂に入れば1人だけだとすぐに飛び出てしまう人でも長時間入ることができます。

頑張っている人を見ていれば自然と病気が怖くなくなってきますよ。だって眼の前で治っている人を見ることが出来るので。それにはしっかりお風呂に浸からないとね!



このように効果を感じられた人達の「お風呂に入っている」というレベルと効果を感じられていない人の「入っている」レベルは大きく差があるように思えます。

・ちゃんと食べていない
・お風呂に入っている時間が短い
・寝ている時間が短い

頑張ってるけど効果が出ないという人は、この3つが本気でやっている人に比べると全然足りていないんです。でも同じ宿で生活しているとみんながそれほど違うお風呂の入り方をしているようには見えなくてそれに気づくのは難しいですね。

頑張ってお風呂に入れない最大の理由は「痛いから」だと思います。痛くて我慢が出来なければすぐに飛び出る羽目になりますから。

それでも長い時間入っていればお風呂場で「痛くない入り方のポーズ」などをおばあちゃんたちが教えてくれます。「17年ここに通ってる」とか「38年毎年来てる」というおばあちゃんたちが伝えてくれている技があるんです。

普通に入ると痛い風呂ですから、普通ではない入り方が存在します。長く入って苦しんでいれば、親切な誰かが教えてくれるはずです。「このポーズを取ると痛くないよ」と。特に源泉は強いので何の対策もせずに入ると痛いだけです。効果を感じる前に痛みで脱落してしまうでしょう。


限界まで痛みを軽減するポーズで源泉に入る

痛くても頑張っている人がいたら、玉川のおばあちゃんたちは必ず知恵を授けてくれます。

私の場合はおばあちゃんが「100%源泉で痛い人はね、お尻の穴が緩い人よ。ゆるくてふわぁぁっとした肛門の人は中に水が入ってきちゃってすぐに痔みたいになっちゃう。これは痔の薬を使っても治らないし、一度痛くなったらもうどこのお風呂に入っても全身痛いわ。お尻だけじゃない、手も足も胸も背中もとにかく全身痛い。だけど肛門に力のある人は自力でお尻に蓋を締めれるから中に水は入らない。これを防御できればどっこも痛くならないの。お尻に水を入れないこと!これが一番大事なのよ!」と教えてくれたんです。

玉川温泉のお湯に一度も浸かったことがない人は「何を言っとるのだ!?あほなのか?!」と思うようなセリフだと思いますが、入ったことがある人は「あああああああ!」と一発で納得ができる事柄だと思います。このおばあちゃんの言う通り、全身が痛くなる時は必ずその前にお尻が痛くなるので!

そこで私はおばあちゃんの言うポーズを試してみました。すると本当にどこも痛くならないのです。3秒で飛び出ていた私が15分でも20分でも耐えられる。


①正座をしてかかとをお尻の穴にくっつけて座り、お湯がお尻の中に入らないようにする
②さらにその上で片足をもう片方の足にひっかけて前のほうも密着させる


これができるようになると、私はあることに気づきました。

③腕立て伏せのポーズは肛門にめちゃくちゃ力が入る!ということに。


そしてその逆もありです。この態勢もお尻に力を入れながら前のデリケートゾーンも交差させて力がかなり入ってる。


となると、心配すべきことは逆転します。

「長時間入りすぎて脱水症状を起こさないように注意すること」が最も重要に。

痛くなりかけたら弱酸性の湯に入って痛みを散らし、痛くなくなったらまた別のお風呂に入るということを繰り返します。これを繰り返しながら「ギュウウウ」という痛みが来るのを待つのです。そうするとほんの5分くらいでねじ切れるような痛みがやってきます。それこそ「短時間で効果があった人の入り方」ですよね。

何もせずに入る5分と、最強ポーズでの5分は全然効き方が違うんです。

だから「お風呂に入るときのポーズ」はとても重要です。そして「ただ単に痛いだけの入り方」と「効かせられる入り方」の違いに気づくことが出来れば癌は治ります。

玉川温泉の効果は効かない入り方では何時間入浴したってノーカウントです。効く入り方ができれば短時間で治った実感を得ることができます。

でも「100%は無理して入らなくてもいい」という言葉がここ数年の間に玉川温泉で独り歩きしていますよね。これを信じてお風呂に入らない人が凄く増えてる気がします。特にここ1~2年はそれが激しくて違和感を感じます。

実際に玉川で癌を治したことがあるおばあちゃんたちは「絶対に100%には入らないと治らないよ!痛いのは我慢して。我慢できなければ癌で死ぬだけだよ。死ぬ気で100%に入らないと治るものも治らない。せっかくお金出してこんな遠くの山奥まで来てるんだから治して帰らないと!それは自分が100%に入れるか入れないかだよ!」と気合のこもったセリフで励ましてくれます。

このおばあちゃんが本当に言いたいことは「さっさと100に入ってお尻の穴を締めるポーズを覚えなさいよ!」ということだと思うんです。50%ならお尻の穴を締めるポーズをしなくても頑張って痛みに耐えていればなんとか入ってられますからね。

100%源泉でなければ習得できない技術、それが「効かせる入り方のポーズ」なんですよ。

何時間50%に入っても効かせるポーズで入っていなければ効果は薄いですからね。

本当に肛門に力が入った状態で入れるかどうかにかかっているんですよ。


そしてポーズ以上に重要なのが「食べる」ことです。玉川温泉では何を食べて風呂に入ったかで治る治らないが決まる場所です。

効いている実感のあるギュウウウウウウの痛みを引き出す方法は「血糖値」にあるからです。


血糖値を高い値でキープしてギュウウウウウウウウを引き出す

その日私は子供の具合が悪くて料理もできずお風呂にも行けずにいました。部屋で持ってきていたあんこの袋を開けてスプーンを突き刺してそれを食べていると、あるおばあちゃんが「あなたこんなところまできてお風呂にも入らずにいてかわいそうよ。私がお子さんを見ててあげるからお風呂くらい入ってきなさいよ」と心配してくれたんです。促されるままお風呂に入ると、「ギュウウウウウウウウ」という痛みがやってきました。そして乳首から血と膿が出て、寝て起きると次の日の朝には胸のしこりは消え去っていました。

そこで私はいろいろなおばあちゃんたちにその時のことを言って話を聞いていると「癌が治った」というおばあちゃんたちはギュウウウウウウウウという痛みを知っていたし、「私もあんこを持ってきていて食べていたわ」「お汁粉を飲んでお風呂に入ってたの」「ぼたもちを食べてお風呂に入ってた」というのです。

「あんこ?!」

癌が治ったというおばあちゃんたちに共通するものは「あんこを食べて風呂に入った」ということでした。私は子供のために持って行っていたフリースタイルリブレという24時間血糖値を計測する機械をつけてお風呂に入りました。

・普通の食事をして風呂に入る
・普通の食事だが総摂取カロリー量の多い食事をして風呂に入る
・ブドウ糖水溶液を飲んで血糖値を上げて風呂に入る
・あんこを食べて風呂に入る
・あんこを水に溶かして飲んでから風呂に入る

この5種類を比べてみると大きな違いがありました。

普通の食事は量に関わらず、玉川温泉に入ると血糖値が下がります。食べる量が少なければ危険水域まで下がります。ブドウ糖水溶液で血糖値を上げて入ってもすぐに下がります。あんこの時は下がりません。同じ値をキープできますが、そのものをモリモリたべるよりも水に溶かしてあんこジュースを作ってゴクゴクと飲んで入ったほうが血糖値が下がりませんでした。

「水と糖」の両方を足すことが大事なのだとわかりました。

血糖値が下がらないようにして玉川の湯に入るとしこりは嘘のように毎日減りましたが、血糖値が下がった時はコリコリとしたものが減ることはありませんでした。

あんこを食べて風呂に入るとギュウウウウウは簡単に感じることができましたが、食べずに入ると感じることはなくただ痛いだけです。そして食事量が少ない時はそもそも①の痛みすらほとんど来ません。

どのくらいの量のあんこかというと、800gで298円の激安のこしあんの袋を子供と2人で1日に1袋食べていたので、たいていの人が想像する量よりもずっと多い分量だと思います。1人1日400g以上です。

「食べずに玉川の風呂に入ってはいけない」というのは昔からおじいちゃんおばあちゃんたちに伝わる禁忌です。売店で売っている解説本にもしつこく書いてあることです。玉川は普通の温泉ではないので空腹のまま風呂に入ると倒れると。おなかがすいたらそれに従って食べればいい。そうすれば病気が治ると昔から言われています。「普段の倍は食え、3倍食ってもいい。食わずに入ると逆効果だ」と。

血糖値を計測してその言葉の意味が分かりました。玉川では恐ろしいレベルで血糖値が下がるんです。ですから絶対に食べなければ重度の低血糖で倒れたり脱水症状や心筋梗塞を起こします。

沢山食べてから入り、血糖値を高い値でキープすべき

この2つは必須です。ですが癌患者の多くはこの掟を守れません。あんこを食べることを躊躇する人も多いのです。それは「糖は癌細胞の栄養だから」という考えを持っている人が多いから。「あんこをたべて癌細胞が増えたら困るから」と小食のままお風呂に入る人も大勢いて、そういう人たちは皆治っていないんです。

玉川では沢山食べていても簡単に痩せます。でもそれは痩せたわけではなく「湯あたり」の一種です。その後具合が悪くなって心臓が痛くなったりします。実際に私も体重が変わっていないか太っているときにしか、しこりはとれませんでした。痩せたら癌に対する効果はないんです。だから痩せたら負けです。

玉川温泉にいるときだけはダイエットのことは忘れましょう。


玉川温泉の効果は古細菌によるもの

玉川温泉のお湯の中には温泉由来微生物がいます。それは火山の中にいる生き物が出てきたものです。それは古細菌という種類の生き物です。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A4%E7%B4%B0%E8%8F%8C

1/12000mm以下の小さな生物は人間の体の中にもいます。自分でエネルギーを作ることができないので他人から奪って生きています。

真核生物にミトコンドリアがいて酸素からエネルギーを作っているのは古細菌のせいです。古細菌がミトコンドリアを利用してエネルギーを作らせているためです。古細菌の研究は今まであまり進んできませんでした。その理由は彼らを観察できる高精度の顕微鏡がなかったからです。ですが最近はいろいろな種類の古細菌がいて、それらが人間の体の中でいろいろなことをしているというのがわかってきました。古細菌は活性酸素を作ります。そしてCYP(シトクロム)という酵素も作ります。

癌細胞も活性酸素を作りCPYを作ります。私は癌細胞の中央部分に悪玉の古細菌が生息しているのではないかと妄想しました。どの癌の中にどの古細菌がいるのかはわかりませんが、玉川温泉には10000種類以上の古細菌がいると言われています。自分に適した古細菌が体につけば、自分の悪玉古細菌をやっつけてくれるのではないでしょうか。このことが科学で実証させるにはまだまだ時間がかかるでしょう。

私が玉川温泉を訪れたきっかけは古細菌でした。私の子供はシトクロムが低すぎて筋肉がつきませんでした。筋肉を作るためのアミノ酸を作っているのが古細菌だと知り、その古細菌がいる場所を探して玉川温泉に行きついたんです。

https://note.com/lectin/n/n94fe6f8e8c2c

自分にとっての善玉古細菌を取り込むにはいくつかの条件があるはずです。

それは「古細菌にとって有益なエネルギー源に自分がなること」です。

あんこを沢山食べて血糖値を上げられれば、善玉古細菌が沢山やってきてくれるはず。そして悪玉古細菌と戦って勝ってくれれば癌は消えます。それは膿となって外に出ていきます。

そして玉川の温泉の中にいる古細菌は間違いなく硫黄代謝微生物です。だって玉川温泉自体が硫黄泉ですからね。もともとが鉄と硫黄と塩と放射線のお湯です。

ということは、ネギや玉ねぎのように硫黄を多く含んでいる食べ物を沢山食べていれば古細菌は喜んで増えてくれるはず。

次に大切なのは塩です。あんこ水に塩を入れて飲んだほうが血糖値は穏やかに推移しちょうどよい値をキープできます。

減塩が正義と言わんばかりのこの社会で塩を多く摂ることに抵抗がある人は多いと思いますが、玉川温泉はただのお風呂ではありません。薄い塩酸に人間が浸かっているわけですから、その時点で常識外れです。頭を切り替えないといけないことだらけですね。

玉川では減塩してはいけない

だからおばあちゃんたちは梅干しをみんな持ってきていて、お風呂から上がると1つずつ食べていて、「私が漬けた梅干し食べる?!」と言っては互いに交換しながら塩分を大量に補給していました。

・糖
・硫黄
・塩

この3つを沢山食べることが玉川での治療の第一歩です。だから「糖質は癌の栄養だから食べれない」なんて言っていてはいけないんです。玉川温泉で治る秘訣は「温泉由来微生物」ですから、彼らの栄養に与えないということは、癌はやっつけられないです。それは第一に「糖」です。

そして玉子と玉ねぎですね。それは全部玉川温泉の売店で売っているものですよ。治った人たちが食べていたものだから、その知恵は継承されていてちゃんと売店で売ってるんです。

「郷に入っては郷に従え」です!
治るための知恵はすでに完成されているんです。

そして玉川温泉での効果のもう1つが「北投石による低用量放射線治療」です。玉川温泉に通う人たちはこの北投石目当てで岩盤浴をする人が多いですね。岩盤浴で体を温めてコルチゾールを温存しようとするのも理にかなっていると思います。

ラジウムは脂肪の多い部分に取り付く性質があるので、脳下垂体に作用してホルモン分泌が活性化します。私の子供に大きな変化があったのはこの効果によるものだと思います。

温泉の古細菌が作用したパターンと、低用量放射線によるものと2つの効果が期待できるために、玉川温泉では「岩盤浴派」と「お風呂派」に分かれるのだと思います。それぞれの癌の位置などによっては効果を感じやすいものが異なるのでしょう。

消化器系の癌の男性と乳がんや下腹膀胱系の癌の女性はお風呂で効果を感じる人が多く、肝臓や肺、皮膚がんなどの脂肪の多い部位の癌の人は岩盤で効果を感じている人が多い印象です。

自分の癌が最初にどこにできたのかということを踏まえて、お風呂と岩盤をうまく使い分けると効果を感じやすくなると思います。

私は今回の湯治で外岩盤には2回しか行きませんでした。毎日雨が降ったからですが、温泉に入ることに集中できたことが成功に繋がったと思います。


玉川脱水の恐怖

効かせられるお風呂の入り方を身に着けた人が注意をすることが脱水です。効かない入り方をしているときは長時間入っていても問題ないのですが、コツをつかんだ瞬間から急速に脱水が始まります。熱中症みたいな状態になるので普段から塩分補給が大事なんですね。

玉川では「入る前に水をコップ1杯飲んで、出た時に2杯飲むべき。風呂の中でも定期的に水を飲んだほうがいい」と言われていて、大浴場の前には誰でも水を飲めるようになっています。ですが長く入っているとこれでは対処できないほど脱水が始まります。

私はブドウ糖と塩と水を合わせた経口補水液を手作りして、お風呂に入るたびに飲んでいました。経口補水液はかなり違います。

そしてあんこ水を作って飲むときに塩を加えていないと段々と体がしんどくなってきます。水分補給をしてもおしっこで出るばかりで、体の中に水分が定着しません。塩を少し足したあんこ水ならこういったことにはなりにくくなるので工夫をすべき。

玉川の激しい脱水が始まるとまず最初に咳が出ます。そしてお風呂から上がって2~3時間が経過しても汗が止まらなくなり、頻尿になります。そして下痢になります。そして喉が渇いて寝ているときにも喉の痛みで目が覚めます。これを過ぎると胸が苦しくなって動悸息切れが始まります。この時点で熱を測ると微熱のこともあれば高熱のこともあります。寒気がする人が多いです。

玉川の脱水は独特で症状が出ると「風邪かな?!」と思うはずです。

風邪に似た症状ですが風邪薬を飲んでも治りません。これを防ぐには「調子に乗って長時間お風呂に入りすぎない」ということと「塩をうまく補給する」こと。酷くなると食欲は0になりますが、絶食状態でお風呂に入ることはとても危険です。

不思議なもので、脱水が始まるとなぜか人はお風呂に長時間入りたくなるし入っていると気持ちがいいしスッキリするんです。風邪っぽいのでお風呂に入ると寒気もおさまって落ち着いてくるからでしょう。でもそれはとても危険な合図。そうなると「もう家に帰ってもいいくらい入った」ということなのでそれ以上欲張る必要はないんです。無理して入り続ける必要はありません。脱水の症状が少しでも出ていたらお風呂に入るのは控えるべきです。

脱水の症状とはスマートフォンなどが満充電された状態なのにさらに充電しようとしているのに似ています。症状が出始める前に「1日観光をしてみる」とか「今日はお風呂には入らずに散歩してこよう」といった過ごし方をするのが良いです。

1つ気を付けるべきことは、途中でほかの温泉に入りに行ってはならないということ。玉川の効果が消えてなくなってしまうからです。ほかの温泉に入りたいときは玉川温泉に来る前か後のどちらかに立ち寄るとよいそう。途中で別の温泉に入りに行くことはダメなんだそう。

これも面白いルールですね。

昔から言い伝えられてきた玉川の知恵

その日雨が降っていたのですが私はどうしても会いたい人がいました。それはいつも大噴で一緒になるおじいちゃんです。玉川のヌシのような人の1人です。雨が弱くなってきたタイミングを見計らって外岩盤に向かいました。

「あのね、私あんこを食べてお風呂に入ったらギュウウウってねじ切れるような痛みがあって、その後乳首から膿が出たんだけどその後寝て起きたら胸のしこりがみんな取れちゃったの」と私が言うと「毒が出たんだな、治るよ。それは治るよ」とブルブルッと体をふるさせながら喜んでくれました。

私が発見した古細菌などのいろいろなことを伝えていると彼は目を輝かせてこういいました。

「俺はさ、若い頃からずっと病気ばっかで1つ治ってもまた1つなるわけよ。病気のデパートみたいな人生でさ、いろんな病気になってばっかりなのに案外長生きでさ。玉川に来ると治るんだけどまた違う病気になるんだよ。大学病院の偉い先生に診てもらってもわからないっていうのにここに来ると治るからさ、俺はいろんな人に玉川の凄さを伝えようとして一生懸命話してきたんだよ。いつか偉い大学の教授とかの目に留まって、玉川温泉を研究してくれる人が増えてさ、玉川で病気が治るメカニズムがわかったら多くの病気を治す秘密が解明されるような気がして…。でもさ、偉いお医者さんは温泉治療を甘く見てて、なんでここで病気が治るかなんて真面目に考えてくれなかった。でもさ、俺はうれしいよ。せめて死ぬ前に俺は、病気を治してくれる成分の名前くらいは知っておきたいって思ってたからさ。古細菌ってものだって知ることができて。すげぇうれしいよ。研究してくれたのが普通のお母さんだってこともすげぇと思う。ずっと何十年もいろんな人に言ってきてよかった。巡り巡ってそれがお前みたいな人のところに届いたのがすげぇよ。お前すげぇなぁ、こんな普通のお母さんなのになあ。うれしいよ。自分の体で毒の出し方も実践してさ、ほんとすげぇ。子供も毎年元気になってきててよ、初めて見た時はあんなにやせっぽちで小さかったのに今はちゃんとしっかり立って歩いてる。うれしいなあ」

私は気になっていたことを聞きました。

「じゃあ、あんこ食べたら効果が高かったのは?!」

彼はこういいました。

「北海道産の小豆が最高だよな!知ってるよ!小豆は昔からここでは菓子じゃなくて薬だよ!お前すげぇな!俺たちが何十年もかけて大勢で見つけてきたこと、あっという間に追いついてくるんだもんな、本当にすげぇな!」

やはりあんこは正解だったんです。

あんこを食べて温泉に入ると癌が消えるだなんて、そんなことを言っても誰も信じてくれないと思っていました。だけどおじいちゃんたちはずっと前から実践していたんです。

玉川の知恵は、まだ科学で実証されていません。なぜ温泉で癌や難病が治るのか、誰も知りません。ですがここで生き残ってきた人たちに知恵として伝わり、今日も誰かを病気から救っています。

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