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[企業法務]規約の禁止事項のイロハ

法務担当者として会社勤めをしていた頃、とある勉強会に参加し、とても有意義なお話を先輩法務担当者の方から伺うことができました。

ここ数年はコロナ禍で対面でのセミナーは難しい状況だったかと思います。これから徐々に対面でのセミナーや交流会が復活するのを願っています。

話が逸れましたが、そのとある勉強会は非常にカジュアルなもので、ライトニングトーク形式のイベントでした。確か立食形式で軽食を食べながら登壇者のお話を伺うスタイルだったと思います(かなり前なので記憶が曖昧です)。

その中で特に印象に残っているのが利用規約の禁止事項のお話でした。

SNSやオンラインゲームでは規約に禁止事項(禁止行為)を定めている場合が多いかと思います。ただ、その内容は様々であり、大雑把に定めている場合もあれば、細かく定めている場合もあります。

登壇者の方は禁止事項を細かく定める派で、徐々に禁止事項が増えていくと語っていました。そして、その理由も説得力があるものでした。

一般消費者を相手にする事業の場合、苦情やクレームを受け付けるコールセンターや窓口を設ける必要があると思います。そこで、役に立つのが規約の禁止事項であるとお話されていました。

苦情やクレームが来ても、「規約をご覧ください。規約で禁止されています。」の一言でコールセンターや窓口の担当者はクレーム対応をすることができ、多くの場合相手も納得しやすいでしょう。そのためにも禁止事項を細かく定める必要があるということです。

このお話を伺って、私は「なるほど」と思ったわけです。「何のために契約書を締結するのか」「何のために規約を作るのか」、そして「何を規定すれば良いのか」という点が曖昧だと筆が進まない気がします。

少なくとも「規約の禁止事項」の目的の一つに「コールセンター対応」や「クレーマー対応」を挙げることができ、自ずとコールセンターでの対応実績やクレーム履歴を確認して常にアップデートしていくという作業が必要であることを認識できるかと思います。また、法務部門内で完結させるのではなく、他部署(この場合はコールセンター)と連携して規約を作っていく必要があることも認識できると思います。

さらには一般消費者でも分かる言葉遣いで禁止事項を書く必要性も認識できるでしょう。いくら「規約で禁止されています」と説明しても、難しい法律用語で禁止事項が書かれていれば問い合わせをした人の理解を得るのが難しくなります。ただし、「広く解釈できるように書く」のか「解釈の幅を狭めるように書く」のかは別途検討する必要があると思います。

たとえば、「本システムに過度な負荷をかける行為を禁止する」と書くのか、「大量のデータを送信する行為やDDoS攻撃を禁止する」と書くのか。どちらにもメリット/デメリットはあると思います。いずれにせよ何らかの包括的な一文(「その他前各号に定める行為に準ずる行為を禁止する」「その他本システムに悪影響を及ぼす行為を禁止する」など)を入れておくのは効果的だと思います。

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