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#340 「さいたま労働基準監督署長事件」東京地裁(再掲)

2013年7月17日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第340号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【さいたま労働基準監督署長(以下、S労基署長)事件・東京地裁判決】(2011年1月20日)

▽ <主な争点>
手話通訳登録者が労災保険法上の労働者に該当するかなど

1.事件の概要は?

本件は、手話通訳業等に従事していたXが頸肩腕症候群と診断されて休業したのは業務に起因するとして、S労基署長(処分行政庁)に労災保険法に基づく休業補償給付の請求をしたところ、支給しない旨の処分を受けたため、国に対しその取消しを求めたもの。

Xは埼玉県およびさいたま市に手話通訳者として登録し、社会福祉協議会、障害者交流センターの要請に応じ手話通訳を行うなどしていた。

2.前提事実および事件の経過は?

<Xについて>

★ Xは、平成12年4月から埼玉県および浦和市(現さいたま市)に手話通訳者として登録し、社会福祉法人埼玉県社会福祉事業団障害者交流センター(以下「障害者交流センター」という)、さいたま市社会福祉協議会(以下「社会福祉協議会」という)の要請に応じ、手話通訳を行っていた者である。

★ 上記に加え、Xは13年5月1日~14年3月31日の間、さいたま市浦和総合行政センターで非常勤特別職として、同年1月10日~3月29日の間、障害者交流センター臨時職員として、13年10月1日~15年3月31日の間、春日部公共職業安定所で非常勤職員(手話協力員)として、14年3月18日~15年3月17日の間、社会福祉協議会で臨時職員として、手話通訳等の仕事を行っていた。

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<本件傷病、本件処分等について>

▼ Xは14年8月頃から頸肩腕の痛み等の症状が悪化し、同年11月、左後頸部の痛み、左上腕の痛みおよび背部の痛み等のため、クリニックを受診し、医師により頸肩腕症候群(以下「本件傷病」という)と診断され、15年3月14日から休業した。

▼ Xは本件傷病が業務上の事由によるものであるとし、S労基署長に対し、休業補償給付支給請求を行ったところ、同労基署長は16年8月5日付で本件傷病は労災保険の適用事業場における作業によって発症したものとは認められないとして、休業補償給付等を支給しない旨の処分(以下「本件処分」という)をした。

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