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【Book Review】  次に流行る"ファスト●●"を考える  『映画を早送りでみる人たち』

どうも legoyuki です。
気になっていた本を読んだのでご紹介します。

稲田豊史著『映画を早送りで観る人たち』(光文社新書、2022年)

今話題のファスト映画に関する本を
・28歳ゆとり世代
・ファスト映画未経験者
・倍速視聴は否定的

という目線でお届けします。

著者プロフィール

稲田豊史
以下公式Twitterからの引用
ライター・コラムニスト・編集者|著書『映画を早送りで観る人たち』『オトメゴコロスタディーズ』『「こち亀」社会論』『ぼくたちの離婚』『ドラがたり のび太系男子と藤子・F・不二雄の時代』『セーラームーン世代の社会論』|現代ビジネス、プレジデント・オンライン、日刊サイゾー、SPA!、女子SPA!、ジャーロ|団地団、ポテチ会

ゲームやDVD業界誌の編集者を経て独立し、
映画やポップカルチャーに詳しいそうです。

作中でも具体的な映画、アニメ、漫画の具体例を
挙げながら説明してくれているので
とても読みやすい本でした。

概要

著者自身が早送り視聴に否定的、という前提で
それを好む年代層(主に20代を焦点に当ててます)、
若者がそうなった理由
情報社会、多様性社会がそうさせた理由
それに対する映像製作者側の目線
などの目線で掘り下げてくれています。

印象に残ったフレーズ

”サブスクは1作品ずつが大事にされない”

稲田豊史著『映画を早送りで観る人たち』(光文社新書、2022年)

この一言が直接的な倍速視聴の実質的な原因の大半であるように感じました。
著者も一昔前はレンタル屋さんで
DVD5本で1000円のような価格で借りるので
1週間のうちにしっかり中身を200円分楽しむ行為に
倍速視聴に余地はないですね。
しかしサブスクのような定額サービスになれば
勿体無さの意識が金から時間に向くため、
必然的に倍速視聴したくなるのも頷けます。


”若者が友達と触れ合うのは教室だけだった、中略、
今はLINEがどこまでも追いかけている”

稲田豊史著『映画を早送りで観る人たち』(光文社新書、2022年)

これはSNSでいつでも繋がれるようになった若者たちは
いつでも友人の話題についていけるように
旬なコンテンツは効率よく内容を予習しなければならず、
そのために倍速視聴やネタバレ閲覧は必須になりつつある。
と言う内容でした。
これも若者というよりSNSが普及している"時代"
だからこそなのでしょう。


”自分の上位互換がすぐに見つかってしまう地獄”

稲田豊史著『映画を早送りで観る人たち』(光文社新書、2022年)

これはTOEIC一つ見ても明白ですね。
今のZ世代は"得意なこと探し"を子供の頃から社会に押し付けられるが、
SNSで上位者の情報が容赦無く襲ってきて
その不安を埋めるためにコンテンツを効率よく
吸収しなければ落ち着かなくなっていった、ということです。


”リキッド消費”で説明される倍速視聴

稲田豊史著『映画を早送りで観る人たち』(光文社新書、2022年)

消費形態が現代では
ソリッド(固体):安定的、所有、物質的
から
リキッド(液体):流動的、一時的、ミニマリズム
に移行している、というものです。
サブスク、シェアリング、ミニマリストがリキッド消費
を象徴する文化ですね。
本書ではこれが与える影響、という側面のみでしたが
なぜこのような消費形態へ変化しているのかは
別の機会に掘り下げたいですね。


結論

単に
若者の倍速視聴→ダメだ
ではなく、
それは地中にある多くのファクターによって
地表に出たわずかな現象に過ぎない、と結論付けています。
ここで言うファクターとは
サブスクリプションや多様性の強要
他者と常時つながらざるを得ないSNSの普及など
文字通り書ききれないほど多岐にわたっており、
"時代の必然"という言葉で締めておりました。

感想

読みはじめてからすぐに
原因は若者ではなく、サブスクというビジネスモデルじゃん。
と結論が見えてきましたが、

否定派だった自分も
10秒飛ばしは日常的に行なっているし、
ゲームプレイよりゲーム実況視聴の比率が高くなっていて
"実は自分もリキッド消費の潮流の影響を受けた内の一人だったのか"
という気づきもありました。

逮捕報道もありましたが、
あれはあくまで著作権違反での逮捕であって
よく考えると、倍速視聴を悪だと決めつけるものですよね。

対極のカルチャーとして
スローライフ、のようなゆったりとした生き方
定着しつつあるので、
今後は中立派として見張っていようと思います。


タイトル回収

・ファスト食事
黙食、独食、完全栄養食などの普及で
食事にかける時間や労力をできる限り削減する時代が来るかもですね。
※すでにファストフードがありますが、ちょっとニュアンスは違います。

・ファスト通勤
2030年には空飛ぶ車・タクシーが普及している
と言われている中で、
通勤も満員電車を回避して
職場まで直線距離で移動できればいいですね。
首都圏で実装化されるのはもう少し先になりそうですが、、、


今回はTOEIC関係ない記事でした。

ではまた!

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