マガジンのカバー画像

15th-逆さまの悪魔-

11
非常に苦しい中学時代を終え、高校に入学した琴音は新しい生活を楽しもうとしたが、思うようにいかない日々の中で食べる意欲を失ってしまい、摂食障害に陥る。 —これは自分を奪われた少女た… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

第十一話「顧問を激怒させたこと(中学校の思い出)」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

 琴音は中学時代、吹奏楽部に入っていた。担当楽器はトランペットだった。同じパートで同学年…

文野麗
1か月前
5

第十話「一つの答え」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

 琴音が学校へ行く気になったことを母は喜んだ。琴音は前の晩に、母に言っておいた。 「お弁…

文野麗
1か月前
2

第九話「僥倖」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

 一週間ほど経ってから、思いもよらないことが起こった。「純天使日記(ピュアエンジェルダイ…

文野麗
1か月前
3

第八話「画面越しの素敵な出会い」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

 夜中に琴音はベッドの中で、スマートフォンのアプリの検索欄に「摂食障害」と打ち込んでみた…

文野麗
1か月前
9

第七話「下された診断」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

「少しでいいから食べなさい」 「食べたくない」 「でも食べないと身体に悪いよ。お願いだか…

文野麗
1か月前
2

第六話「歪んでしまった関係」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

 二週間ほどが経過した。季節は初夏まっさかりで日差しは暑く、既に幼い夏の雰囲気を呈してい…

文野麗
1か月前
2

第五話「もう一つの始まり」長編小説「15th-逆さまの悪魔」

 朝、琴音が不安を抱えながらバスターミナルへ着くと、数分後に歌羽がバスから降りて、姿を見せた。  歌羽は辺りを見回して琴音の姿を探し、見つけたようだったが、いつものように手を振ってこなかった。しばらく躊躇しているようだったが、やがて無言でゆっくり近づいてきた。  琴音は挨拶をしてみることにした。 「おはよう」  すると歌羽も気まずそうな声で返してきた。 「おはよう」  その様子を見て、歌羽は絶交するつもりなのではなく仲直りする気なのだと察し、とりあえず琴音は安心し

第四話「喧嘩」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

 歌羽は琴音を同じ趣味に引き入れたいのか、あの日からずっと麻理恵の話を頻繁にしてきた。麻…

文野麗
1か月前
1

第三話「歌羽の本性」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

 あっという間に数週間が経った。黒板の右端の日付は二十を過ぎていた。琴音は歌羽との関係に…

文野麗
1か月前
2

第二話「琴音の特技」長編作品「15th-逆さまの悪魔-」

「字、きれいだね」  琴音は思わず顔を上げた。授業のノートを書き足していたら、いつの間に…

文野麗
1か月前
2

第一話「一つの始まり」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

 見えない。分からない。これから先、積極的に生きたいと思える日はいつか訪れるのだろうか。…

文野麗
1か月前
6