第五話「もう一つの始まり」長編小説「15th-逆さまの悪魔」
朝、琴音が不安を抱えながらバスターミナルへ着くと、数分後に歌羽がバスから降りて、姿を見せた。
歌羽は辺りを見回して琴音の姿を探し、見つけたようだったが、いつものように手を振ってこなかった。しばらく躊躇しているようだったが、やがて無言でゆっくり近づいてきた。
琴音は挨拶をしてみることにした。
「おはよう」
すると歌羽も気まずそうな声で返してきた。
「おはよう」
その様子を見て、歌羽は絶交するつもりなのではなく仲直りする気なのだと察し、とりあえず琴音は安心し