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誰のものでもない

わたしはハワイが大好きで何度も足を運ぶうちに、幸運なことに、現地に住む人と話をする機会をたくさんいただきました。

その中で、心に残っている彼らの叡智や考え方を少しずつご紹介したいなと思うようになりました。

わたしが、ハワイの人たちの在り方を理解した言葉のひとつに、「落ちたパンの実」というものがあります。パンノキという植物があります。その実はメロンよりひと回り大きくて、加熱するとサツマイモのような味と触感になり、栄養価も高く、かつてのハワイアンの主食のひとつでした。

この木は、土地の区分けをするために植えられていたこともあり、木自体には所有者がいます。しかし、落ちた実は誰が拾っても良いとされていました。つまり、落ちた実は誰のものでもないということです。誰のものでもないから、必要な人が受け取れば良いのです。

冷蔵庫もない時代なら、必要以上のものは持っていても無意味です。だったらみんなで分け合おうよという考えなのでしょう。

ハワイは楽園のイメージが強いですが、実際は川が少なく、かつては農作業に使える真水がとても貴重なものでした。そのような環境から生まれた、共同体の知恵なのだと思います。

わたしもハワイ語で『ウル』と呼ばれるこの実が大好きです。ハワイに行ったら、ぜひ一度食べてみてください。


スズメちゃんが食べているのは、落ちたパン。全部は食べきれなかったようです。


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