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たゆたえども沈まないパリへ。フランス移住1日目

パリに着いた。
着いてしまった。

今の気持ちをフレッシュな状態で残したく、早速パリ1日目の日記のような、エッセイのような。

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ヘルシンキ経由で合計17時間。遂にフランス パリに到着。
最後まで少しでも「日本」を感じたくて飛行機はJALにした。

自分で決めたことなのにいざ日本を離れるとなると、なんだかマリッジブルーのような気持ちに。
家族や友達と離れるのが特に辛く、学生時代の留学時はむしろワクワクしていたのに…
寂しい気持ちはあるのに、パリに住む実感は湧かず、羽田空港の保安検査場へ入って行く時にやっと実感が湧いてきて、また一気に寂しさが溢れた。

こんなに寂しくなる理由は何となく分かっていて、出発までの数か月間を実家で家族と過ごしていたから。
大学に入学したのと同時に上京し、約10年弱、家族と離れ一人暮らしをしていた。
だから今回10年ぶりに家族で過ごした日々が本当に本当に楽しかった!家族と住むのってこんなに温かくて楽しかったっけと、毎日のように本気で幸せ!と思っていた。もしかしたらパリに行くことが決まっていたからより一層そう感じていたのかも。
だから、日本を離れるのが辛かった。
「どこでもドア」が欲しい。これに尽きる。

空港には家族と親友たちがお見送りに来てくれ、帰る場所があって幸せだな〜としみじみ…。
旅好き・空港好きの友人たちは羽田空港の屋上から飛行機が飛ぶまで見守っていてくれ、搭乗ゲートから飛行機までの通路で何度も手を振りました(視力が良い)。
友達がブーケもくれて、手荷物としてパリまで持っていった。

手荷物で持って行った小さなブーケ。パリの部屋に飾った。

飛行機の中では大好きなFriendsを1エピソード見て、音楽を聴いて、日記を書いて寝た。
そして1冊だけ手荷物で持ってきた本。
原田マハさんの「たゆたえども沈まず」。
初めから読み直した。
私が初めて手に取ったマハさんの本。
ちょうどパリ行きを検討していたころに本屋さんで何気なく手に取った本。
この本は久しぶりに一気読みした本だった。

パリに憧れている登場人物の重吉と忠正が隅田川沿いを歩きながらパリを想うシーンがある。
私も最後の東京生活は隅田川の近くに住んでいてよく友達と川沿いを散歩していた。部屋の窓からはスカイツリーが見えて、
「いつか見える景色には、スカイツリーがエッフェル塔に、そして隅田川はセーヌ川になっているのかな」なんて考えていた。
「たゆたえども沈まず」ラテン語で『FLUCTUAT NEC MERGITUR』
パリにピッタリな言葉だ。

パリは、いかなる苦境に追い込まれようと、たゆたいこそすれ、決して沈まない。〔……〕どんなときであれ、何度でも。流れに逆らわず、潮流に身を委ね、決して沈まず、やがて立ち上がる。
そんな街。それこそがパリなのだ。

原田マハ「たゆたえども沈まず」 幻冬舎文庫

パリは強く美しい。
そして多くの人を魅了してきた。
あのヘミングウェイもその1人だ。
ヘミングウェイの遺作で「移動祝祭日」という、彼が20代の頃にパリに滞在していた日々が書かれている日記のような本がある。

その本の背表紙にこんな言葉がある。

もしきみが幸運にも
青年時代にパリに住んだとすれば
きみが残りの人生をどこで過ごそうともパリはきみについてまわる
なぜならパリは移動祝祭日だからだ

If you are lucky enough to have lived in Paris as a young man, then wherever you go for the rest of your life, it stays with you, for Paris is a movable feast.

ヘミングウェイ 『移動祝祭日』,  - Ernest Hemingway, to a friend, 1950

「移動祝祭日」とは英語で『A Moveable Feast』
元々はキリスト教の用語だそうで、その年によって日付が異なる宗教に関する祭りのことを指す。イースターなどが移動祝日にあたるそう。

これは彼が友人に語った言葉だが、それがそのまま遺作の本書のタイトルとなった。

ヘミングウェイは、若い頃パリに住んだ者にとって、パリはその後の人生にずっとついてくる饗宴・祝祭のようなものだと表現しているのだ。
この本を書いたのはヘミングウェイが60歳になったとき。20代の数年間を過ごしたパリでの日々を大人になっても懐かしくずっと大切に思っていたんだろう。

飛行機の中では、日本を離れて寂しい気持ちと、せっかくパリに住むのだから今の環境に感謝し存分に楽しもうという決意の気持ちとが交差した。

パリに着いたのは朝の9時。気温17°で日本から来た私にとっては少し肌寒い。
1年ぶりのパリの空はグレーで少し素っ気ない感じ。
でもこれがパリだ。グレーの空は何だかパリに似合っている気がする。

旅行じゃなくて一度パリに住んでみたかった。
色々な出会いを経て、今私はパリにいる。
旅行者ではなく居住者として。

パリやフランスのことを嫌いになってしまうのではないかという変な不安もある。
その土地に住むとなると、嫌なところとか綺麗じゃないところにも直面しなければいけない。
そうしたら憧れの街が憧れで無くなってしまうかもしれない。

魔女の宅急便のキキみたいに、
「落ち込むこともあるけれど、私この町が好きです」と家族や友達に報告できるように。
「気づいたらパリが大好きだった」となっていると良い。
きっとそうなっているはず。
嫌なこともあるけれど、それを全部消し去るくらいの大好きなところを発見して、つくって、この街で力強く生きていきたい。

到着初日。グレーな空のパリ。

最後まで読んでいただきありがとうございます!
また次回も頑張って投稿していきますので応援よろしくお願いします🌼

せっかくフランスに行くのでYoutube動画も投稿したいと思っています、
是非チャンネル登録、いいね、コメントお待ちしております。

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