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短編小説を書いていきたいと思います。恋愛系多め。 https://lemia2596.…

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短編小説を書いていきたいと思います。恋愛系多め。 https://lemia2596.wixsite.com/works

最近の記事

等身大の君のままで

私はこの春から、新社会人となった。 慣れない仕事に、慣れない人間関係。 勤務時間以上の疲労を感じながら家に帰る。 「ただいま。」 「おかえりー。ご飯出来てるよ!」 「ほんと?ありがとう!」 彼は2つ年下の怜央。 私の家に居すぎて、ほぼ同棲のようになっている。 料理が得意で、こうしてうちに来てはよくご飯を作ってくれる。 「やっぱ由李、スーツ似合うね。」 「そんな事ないよ、なんか堅苦しくて。もう大学が恋しいもん。」 「そうなの?」 「うん。でもね、教育係で

    • 夢の中の君は、笑っていたのに

      「弘人、おはよう」 優しく笑いながら朝ごはんの準備をしてくれている君。 おはよう、と挨拶を返してコーヒーを淹れる。 ベーコンの匂いが満ちてきたところで、朝食の準備が整う。 2人で囲む食卓は、1日のエネルギーが生まれる場所だった。 他愛もない話をして、笑いあって…。 そんな、夢を見た。 …どれくらい前の事だろう。 当たり前だと思っていた、懐かしい光景だ。 「柚希、夢の中に君が出てきたんだ。」 「…。」 病院のベッドで眠る柚希に話しかける。 あの日から、君

      • 欠けた愛に囚われて

        「悠希さん、今日も飲みっぷりいいね。」 「私の勝手でしょ。」 「そうですけど。」 最近、仕事終わりにこの後輩と飲みに行くことが増えた。 後輩、といっても名ばかりで、ほとんどタメ口をきかれるくらいには舐められている。 …ひとりの家に帰るのはどうも心が重くて。 「見て見て、結婚したい女性の特徴Top10だって。悠希さん全然当てはまらないんじゃないの。」 「うるさいな、そんなこと自分が1番分かってるから。」 テレビを指して、サラッと失礼なことを言われる。 そんな事

        • 君の腕の中は世界一の充電スポット

          「もう限界だ…。」 家に帰るなり荷物と共にソファーへなだれ込んだ。 完全にハズレくじである企画のリーダーを押し付けられ、上手くいかずに上司に怒られ。 挙句の果てに、同期が自分の陰口を言っているところに遭遇してしまった。 この1ヶ月、しんどいながらも耐えてきたが、今日はもうダメだ、糸が切れてしまったかのように動けなくなってしまった。 「真稀おかえり。…大丈夫?」 「蒼生くん!?」 どうやら疲れすぎていて、玄関にある靴すら見ていなかったらしい。 彼氏である蒼生くんが

        等身大の君のままで