キロ

道草太郎。俺は熱した鉄球言葉しか使いませんので、軽やかに躱してください。

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  • 本棚

    突然の登録、失礼いたします。読みかけの記事、繰り返し読みたい記事など。

  • 『君の言葉がわかりたい』本編

    読むレモネード『君の言葉がわかりたい』の本編一覧です。話す言葉の異なる二人が共に生きていく、架空のドキュメンタリー作品です。

  • レモーノとミエル

    本編以外のレモーノとミエルに関する作品をまとめています。

最近の記事

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🍋🍯本編 第一章 ありがとう

※初めての方は、以下『はじめに』の記事をご一読ください。  遥か遠い旅路を終え、辿り着いたその場所は、青と黒の狭間にある色をした、巨大な森だった。みっしりと生えた木々だけでなく、腰ほどもある高さの雪に覆われて、数メートル先に何が潜んでいるかもわからない森だ。 「ここが……君の生まれた場所か……本当に、あったんだね……」 「そう。そして、私たちが死ぬ場所」  不思議と恐ろしさはなく、これまでの道を支えてきた杖を地面に突き立てると、私はレモーノと手を繋ぐ。老体に鞭を打ち、彼

    • 話し合いは、落ち着いて話せる環境がないと、誰もできない

      ミエルが周りに振り回されすぎていることの原因について考えていた。 自分の欲望が明確でないことが原因だと考えて、なぜ欲望が不明確になるかを考えたとき、やはり近しい人の主張が強く、幼いミエルに「今、あなたは何がしたいのか」を聞く人がいなかったからだろう。 子供は、どんなに我儘に見えても、大人に比べると、その主張は弱い。 覚えている言葉も少なく、自分で欲を満たす術も知らないからだ。 第四章で、「男なら泣いてはならない」と言われたミエルに、レモーノが「子供から涙を奪うことは、大人

      • 🍋🍯日記絵ログ『ミエルのお願い事』

        寝る前に頼みたいことがあるミエルの話 多分まだ続きます。

        • 「旅行が好きな人」とは何かが違う

          射手座の星の生まれで、なんと母胎の中に居るときから飛行機に乗ったことがあり、ヨーロッパに何度も渡航したことがある私は、「旅行好き」に思われることがある。 いつもそのことに疑問を抱いていたのだが、どうも私は、旅行が好きなのではなく、同じ街並みを眺めて暮らし、同じような面々としか顔をあわせず、似たような会話しかしないことに、微塵も良さを感じないのだ。 定住&帰属不適合者が、居を構えて生活をする上での息継ぎであって、何かその、趣味や娯楽のようなキラキラした行動ではないように思う。

        • 固定された記事

        🍋🍯本編 第一章 ありがとう

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          5本
        • 『君の言葉がわかりたい』本編
          19本
        • レモーノとミエル
          7本

        記事

          「すべき思考」ではなく「二重の指示」が問題か?

          ※当記事は、物語の登場人物を作る上での個人的な思索であり、医学的、学術的な根拠はありません。 ミエルのことを書いていると、気分が鬱屈としてくる。 今まで手掛けてきた主人公(内心の声を描く存在)は、ほぼ全て「俺がやらねば何にもならん」思考だったので、ミエルほど他人の声に振り回されてきた人を描くのは、初めてだ。 私の周りに人の話を聞かない男性体の方が多かったために、ミエルほど周りの話を聞ける脳の持ち主がこの世にいるのか知らないが、インターネットを周遊する限りにおいては、「周り

          「すべき思考」ではなく「二重の指示」が問題か?

          【レモミエ制作メモ】人の力を借りるために(3)

          レモーノとミエルのモチーフは、その名の通り、檸檬と蜂蜜(または蜜蜂)だ。 今日、ようやくレモンの育て方や苗の入手方法、日本国内の生産量について調べた。 軽く調べてはいたのだが、土地を買う、果樹園を営む視点では見ていなかった。 養蜂もレモン栽培も、家庭レベルでできないことはない。 だが、私は、自分事だけで完結しないことにしたのだ。 自分がこの星から人としていなくなっても、レモーノとミエルの物語を残すためだ。 生産高第一位の広島には、現在、薄っすらとした知り合いしかいない。

          【レモミエ制作メモ】人の力を借りるために(3)

          蜂蜜の歴史に関する本を読み始めた

          食べ物は不思議だ。 今も食卓に並ぶ全ての食べ物は、遠い遠い先祖の誰かが口にして、生き残ったから並んでいる。 今、レモン栽培と養蜂について学んでいる折に、ハチミツの歴史に関する本が目に留まって、少しずつ読んでいる。 段落ごとに新しい知識を得て、メモ帳やら辞書やらGoogleやらを開いているから、遅読だ。 歴史の授業も生活史や技術史を習いたかったが、藤原氏が出てきた辺りから、歴史の教科書は、政治史と戦争史に変わっていった。 たまに美術史が出てくるだけで、それも有名だから取り上げ

          蜂蜜の歴史に関する本を読み始めた

          恋愛感情だけ、スタート地点を他の人と分ける必要性は?

          『君の言葉がわかりたい』を書いている背景となる思考の一つに、「私たちは特定の恋愛物語を刷り込まれて、自分もその物語のように恋をし、人を愛するものだと思い込まされているのではないか」という疑問がある。 私は、物心がつく前、フルハウス、セサミストリート、ディズニーアニメ、魔女の宅急便、となりのトトロを見まくっていた。 中学生の頃に、フランス語を履修する機会があり、その折、フランス語の音楽(主にラブソング)をよく聴いていた。 少女漫画も、よく読んだものを三選するに、カードキャプタ

          恋愛感情だけ、スタート地点を他の人と分ける必要性は?

          仲間と冒険する話が大好きだ

          日本での拠点作りを考え、同居人について考えている折、掃除と定着が苦手な私は、旅の仲間がほしくなってきた。 小さい頃から、私は指輪物語(小説)とファイナルファンタジーシリーズに夢中だった。 仲間たちと旅をする物語で、特にドワーフが出てくるからだ。 FF4のシドが昔から好きで、毛むくじゃらのエンジニア(職人)というのは、私の心を掴んで離さない。 この間、ついにリヒテンシュタインでノームの飾り物を買ってしまった。 『ウチの使い魔がすみません』もファンタジー冒険漫画だ。 暫くの間

          仲間と冒険する話が大好きだ

          【レモミエ制作メモ】人の力を借りるために(2)

          レモーノとミエルの物語を実写映画にしたい。 制作チームや役者さんがインタビューを受けた記事を全て集めて、資料館を作りたい。 石像を彫り上げて、有名な待ち合わせ場所にしたい。 身の回りの品を全て関連グッズにしてしまいたいし、レモーノとミエルのことだけ考えて生きていたい。 だが、人の力を借りるには、無償とはいかない。 制作に関わるにしても、作品を受け取ってもらうにしても、まず生活してもらわないと、受け渡しが成り立たないからだ。 こちらからも差し出さなければ、イーブンにならずに、

          【レモミエ制作メモ】人の力を借りるために(2)

          確かに在る感情を描く

          『君の言葉がわかりたい』は、二人の人間が共に生きていくことを選ぶ物語だ。 コンテストに応募するかを考えている折、そもそもnoteに公開する作業をしている最中から悩んでいることだが、「性欲」をどこまで描くのか、決めかねている。 私がレモーノとミエルの物語を描くにあたって、禁止したことが一つだけある。 それは、二人の物語をポルノ作品にすることだ。 私はこの物語を通じて、人を信じる勇気と、人に助けを求める勇気を描きたいと考えている。 それなので、情欲を煽ることではなく、恐怖を鎮め

          確かに在る感情を描く

          応募だけでもしてみるか?

          どうなんだろう。 映像化はめちゃくちゃしたいけど、正直自分のペースでやりたいし、どこの誰と協力するかも自分で決めたい。 私としては、名作や人気作ではなく、みんなの処女作や意欲作を作りたいのだ。 私自身、地球人の体で生きることから初心者なので、なんかすごく強い飼い主から見つけないと、MP不足と金欠でしぬ。 なんならもうちょっと諦め始めている。 とはいえ、コンテストというものは、勝つことよりも、土俵に立つことの方が重要かもしれない。 要は、エントリーすることだ。 自分の活動に期

          応募だけでもしてみるか?

          レモーノの「わかりたい」は「分けてほしい」だったか

          『君の言葉がわかりたい』のタイトルを今一度考え直していた。 物語を書くとき、私は厳密な設定をしない。 レモーノとミエルも、「レモンとはちみつのような二人で、溶け合ってレモネードのような関係になる」の設定しかしなかった。 絵を描くためにある程度の見た目も決まっているが、実写化を考えている以上、金髪と白い肌しか設定はないし、もし役者の人が黒髪や茶褐色の肌なら、チョコレートやコーヒーのような設定で物語を書き直すだろう。 人種差別的になるかもわからないが、私にとって、色彩とモチーフ

          レモーノの「わかりたい」は「分けてほしい」だったか

          🍋🍯本編更新 第七章を公開しました。 https://note.com/lemonadebook/m/m652f5d21b787

          🍋🍯本編更新 第七章を公開しました。 https://note.com/lemonadebook/m/m652f5d21b787

          【更新中】第七章 完成することがない言葉(3)

           ホテルのバスタブは広くて、二人でも入れるサイズだった。スイートルームで、二人向けの宿泊券だっただけに、色とりどりの花が浮かべられていた。 「綺麗だね、とても可愛い」 「レモーノは、本当に大変な人生を歩んできたんだ」 「簡単ではなかった」 「君のことで、ずっと不思議なことがあるんだ。でも、レモーノが説明できるかわからない」 「何? 全部聞いていい」 「なんで、僕のこと怒らないの? レモーノより、ずっと簡単な人生を送ってるのに、甘えん坊っていうか、人に頼ってば

          【更新中】第七章 完成することがない言葉(3)

          【更新中】第七章 完成することがない言葉(2)

          初めてお越しの方は、下記の記事をご一読ください。  レモーノは、バルコニーに出て、風に当たっている。 「ミエル、夕日が美しいよ。少しここに来て」  本に栞を挟むと、僕もバルコニーに出た。レモーノはすっかり夕焼け色に染まっていた。彼の腕の中に収まると、頬をぷにぷにとつつく。 「オレンゾさん」 「おれんぞさん? ああ、ふふっ、今のボクはレモンの色ではなく、オレンジの色だ」 「わかった?」  夕日は眩しすぎるので、光を透かしてキラキラと輝くレモーノの髪を撫でれば十

          【更新中】第七章 完成することがない言葉(2)