これまでマスクが飛沫およびエアロゾルの排出を減らすことは、『実験環境において』確認されてきました。
今回、『実環境(中学校の教室)において』そのような確認がされた論文を見ましたので、抜粋引用し所感を記したいと思います。
◆論文引用
概要のみ引用します。
長いのでお時間の無い方は飛ばしてください。
リンクは以下です。
◆まとめ
マスクと空気清浄機の効果を測る研究です。
スイスの中学校で7週間行われました。
観測対象は、空気中のエアロゾル(微粒子)濃度、エアロゾルおよびヒトの唾液サンプル中のウイルスとされています。
結果ですが、マスク着用、空気清浄機ともに非介入と比べて明らかな効果を出しています。
次の図表に結果がまとめられています。
マスク着用により、空間中のエアロゾルを70%減少させたとされています。
(『b』の『CN(エアロゾル数濃度)』が該当するかと思います。)
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上の内容を見ると、粒子径が大きいほどマスクと非介入の差が小さいです。
これは、ヒトが排出する飛沫・エアロゾルの大きさを考えると妥当かと思います。(大きなものは落下するので滞留しない。)
使用されたマスクはいわゆる普通の不織布マスクであり、コミュニティマスク(おそらく布マスク)も含まれていたようです。推測ですがマスクに関しては運用を含めて特別な条件ではありません。
◆所感
ヒトが排出した空間中のエアロゾル量は、感染リスクの大きな指標だと考えて良いでしょう。
この結果はユニバーサルマスキングの有効性を示すものだと考えます。
実際に論文中では唾液サンプルによる陽性の割合が、非介入に比べて1/2程度だったことが確認されています。
なお、ベイジアンモデルを用いた分析によりマスク着用の優位性(オッズ比 0.19)が示されていますが、私は専門家ではないので判断しかねます。
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ちなみに、こういう比較研究で重要なのは『介入要素を除く条件をいかに一致させるか』だと思います。
そのような意味で『マスク着用により感染対策意識が高まり発声頻度自体が減る』みたいな影響を排除出来ていたのかは気になるところ。
また、測定可能な最小粒径が175nmのようなので、それよりも小さな微粒子の影響は不確かです。
(唾液サンプルの結果を考えると負の影響があったとしても大きなものでもないと考えますが。)
◆おわりに
マスクが飛沫・エアロゾル排出量を減らすという効果については、コロナ後に説得力のある研究データをあまり見ることが出来なかったように思えます。
今回の研究は興味深い内容ですがサンプル数は少ないですね。
今後、類似の研究でデメリットなど合わせて分析されることを期待したいです。
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ちなみに私は、子どもがマスクを着用することは健康面や運用面から疑問があり、常時着用はあり得ないと考えています。
しかし、明らかな流行期や校内で学級閉鎖が出た際などについては、一時的な選択肢として活用していいのではないでしょうか。
それとともに、完全ノーマスク化への取り組みとして、効果的な空気清浄機の導入を検討して欲しいところです。