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読書日記:Kindle Unlimitedへの課金を動力に(1)

『シャンデリア』 川上未映子 (Kindle Unlimited)

 舞台のデパートのモデルは新宿伊勢丹だろうか。結婚指輪を選んでいたときに、作中の人がさまよったフロアを私もさまよったような気がする。
 アラフォーの子供時代、デパートは遊園地のようなものでした。父の世代の子供の頃は「日曜日に家族でデパートに行く」はリッチなお出かけだったそうだ。そしてデパートのレストランで食べるカレーライスは贅沢のシンボルだったと。
 私も小学生の頃、「デパートに連れて行ってあげる」と親に言われると、大喜びでめかし込んでいたよ。
 でもあれから日本は色々あって、女子大生がシャネルのバッグ買ったり、女子高生が高級化粧品買ったり、デパートは大人の社会でもなんでもなくなった。当の大人もどんどん貧乏になった。デパートにいるのは格差社会のお金持ちだけなのだ。
 語り手のデパートへの執着がちょっとわかる。あれはお金持ちのシンボルだ。金は知性とも人品とも結びつかず、金はただより多く金のあるところへ集まっていく。それでもデパートは昔通りの品格のある「デパート」の顔をしている。毎日通い詰めて、少し買い物して、何時間でもデパートに居続ける語り手の気持ちがちょっとわかるのである。

ちょっとミステリも読んでみますか

 なかなか読書がはかどらない、とは思っていたけど、それはそうかもしれない。私は未知の分野の入門準備のために新書や入門書を読んでいる事が多いので、自分なりにかなり集中しないと読めない。私の読書時間は通勤と昼休みにスマホのKindleで読むのが主である。こうなるとなあ……。
 Kindle Unlimitedはラテン語のテキストもギリシャ神話のガイド本もあって、とりあえず気になった分野をつまみ読みするのにとてもいいのだけど、じっくり読まないと仕方のない本はなかなか読めない。
 なので、私には比較的読みやすいミステリを久しぶりに読んでみようかと思う。最近ドラマ『半沢直樹』の新シリーズを見ているので、池井戸潤の小説など。まだ池井戸潤の作品を読んだことがなかったので、いい機会だといいな。

 あと、Kindle Unlimitedで漫画もちょっと読んだ。昨年くらいに黒木華主演でドラマにもなった『凪のお暇』の1巻。連載時の無料公開部分がTwitterで話題になっており、知っていたけどあまりじっくり読まなかった。
 知っている人も多いと思うが、『凪のお暇』は自己主張が出来ず、自分が我慢することで場がうまくいくなら自分を押し殺してだまり続けて生きてきた若い女性社会人の漫画である。そしてこの「我慢」に、私にとっては「言いたいことを遠慮なく言う人だな」と思っていた人達が共感して楽しんでいるのが興味深い。実は私も「自分の意見なんて言えない……」と自分の事を思っているのだが、他人はあまりそう思わないだろう。なんか「図々しい人達の共感を読んでいる」と言っているも同然だが、ちょっと見方を変えてほしい。
 皆、言えなかったんだよ。何故言えるようになったかには(あるいは言えているように他人から見えるのか)、それぞれ異なる理由があると思う。ただ確かなのは、「自分さえ我慢すればいいと思って」という気持ちを、わかってくれる人は多い。言いたいことを言っているように見える人にも、思い切って主張してみたら「そうだったんだ。わかったよ。私もそうだったんだ」となるきっかけかもしれない。まあそんな勇気は湧いてこないんだが。自己主張の激しい人は普通に怖いだろ。私も気を付けます……。

 ただ、「私が我慢すれば…」という発想はとても卑屈で、他人に責任を押し付けている態度なのは間違いがない。「相手がこうだから私はそれに合わせてこうした」は、相手のせいにしている。自分で自分の行動の責任を引き受ける気がない。それは相手も嫌になるんだよ。全部自分に来るから。相手の、こちらに押し返そうとしてくるよ。押し付けられるのは面倒だから。
 なので、相手を思うなら、「私はこう思っています。あなたはどう思っていますか。出来れば折り合いが付くように考えてみたい」というのが良いのだけどね……。これもテクがいるよなあ……。

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