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つぶやきから生まれた物語③

2022/12/22のつぶやき

虹を七色と決めたのはニュートンでさ、可視光線の色と音階を …
(*・ω・)c<´ロ`๑)
そんな話はいいからさ、一緒に見れた幸せを噛み締めようよ🌈

Always happy to be with you.

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「おはよう、今日も朝早くからご苦労様」
「あっおはようございます」
「本当、若いのに感心ねぇ。うちの娘にも爪の垢を煎じて飲ませてあげたいわ」
「そんな事ないですよ、運動代わりですから」
「でも毎朝公園の掃除なんて、なかなか出来ないわよ、しかもこんな雨の日まで」
「まあ、半分ルーティン化してますから。それに雨はすぐに上がるみたいですし」
「あんまり無理しないでね。助かってはいるけれど」
「はい、無理はしないです」
「それじゃまたね」
「どうもお気をつけて」

無理をするも何も、そもそも私は掃除が嫌いなのだ。ハウスダストにアレルギーがある癖に、部屋の掃除などは殆どしない。勘違いしないで欲しいけど、ゴミ屋敷みたいに散らかっているわけではないよ?ただまめに掃除機をかけたりしないってだけ。だって死にはしないでしょ?
そんな私が、何で毎朝近くの公園を掃除したりしているのか。仲の良い友達は首を傾げているけれど、理由はすごく簡単。アイツへの決意表明!

「昼間なのに月が綺麗だね」
「ああ、白夜月ね」
「へえハクヤヅキって言うんだ」
「いや、基本的には昼の月って呼ぶんだろうけど、残月とか有明月がそのまま見えているんだから、白夜月って名前の方が俺はピッタリだと思うんだ。そもそも昼間に月が見やすいのは満月から3日後から2週間位の間で」
「ストップ❗️」
「何?どうかした?」
「蘊蓄はやめて」
「興味ない?」
「無い!」
「そうか…それじゃ月の裏側がどうなっているのか」
「Shut up!」
「………」
「あのね?アナタ明日から山梨行っちゃうんでしょ?それも1ヶ月も」
「うん、せっかく富士山清掃のボランティアをするなら、最低それくらい腰を据えないとさ」
「去年は被災地支援で何ヶ月行ってたっけ?」
「えーと4ヶ月…」
「半年よ半年!1ヶ月で帰るって言ってたのに延長延長で半年帰ってこなかったよね?」
「ああ、そうだったっけ」
「そうだったっけ?とぼけないでよ確信犯のくせに!」
「別に犯罪は犯して無いけどさ」
「あああああっもう!そんな事を言っているんじゃ無いの!アナタのしている事は立派だと思うよ、口だけでなく行動で人の役に立ちたいって思いは伝わりすぎる程伝わっているけど!」
「何か怒ってる?」
「怒ってない!イライラしてるだけ!」
「それ、どう違うの?」
「違うでしょ?もうハッキリ違う!私はアナタのしている事は尊敬しているの、認めているの。だけどアナタにとって私よりもボランティアの方が優先される事が寂しいの!1人で待つのは悲しいの!」
「…ごめん、じゃあ一緒に行く?」
「無理でしょ?行けるわけないじゃ無い!仕事はどうするの?アナタみたいにアルバイトで生計立てている訳じゃないんだよ?」
「…嫌いになった?」
「なれないからイライラするんじゃない!」
「………」
「………」
「…あのさ」
「…何よ」
「腹減らない?」
「…減った」
「何食べたい?」
「牛丼」
「牛丼?」
「お新香卵付き」
「食べに行かない?」
「…行く」

あれから結局3ヶ月だよ。下手したらまた半年居座るつもりなのかしら?幾ら私だって我慢の限界って物があるって考えないのかな?自慢じゃ無いけど、デートの誘いなら3日に一度はあるんだから。いい加減帰って来ないと本当に居なくなっちゃうぞ!
♪♫♪♫♪♫♪〜
『久しぶり元気?』
『どうしたのこんなに朝早く』
『いや、雨が上がったなあって』
『はあ?答えになってないんだけど』
『今何してるの?』
『別に、何もしてないけど』
『部屋じゃないよね?』
『ちょっと散歩してるだけ』
『ふ〜ん。あっ虹だ!』
見上げると、雨上がりの空に綺麗な虹がかかっていた。それもハッキリと架け橋みたいに。
『凄〜い、こんな綺麗な虹は久しぶりに見た気がする。えっ?でも何で?山梨でも見えるの?』
「山梨はどうかな」
背中越しの声に振り向くと同時に抱きしめられた。
「ただいま、ああ会いたかった」
「ちょっと、何で連絡もなしに」
「サプライ〜ズ」
ダメだ、こういう無邪気で天然なところ、顔をクシャクシャにして笑うところ。
「あのさ、何で公園の掃除なんかしてるの?」
「これは…決意表明!」
「何の?」
「もう1人で何処かへ行かせないための」
「?それって」
「だから、今度行く時は一緒に行くから」
ああ、その笑顔。やめてくれ〜チカラが抜けてしまうから。
「あのさ、知ってた?虹を7色って決めたのはニュートンで」
その一言で抜けたチカラがみるみる蘇る。
バシッ!
「蘊蓄はやめて!」
罰が悪そうに頭を掻いたアイツの後ろに、綺麗な虹がまだ輝いていた🌈    end


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