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つぶやきから生まれた物語⑤

20223/1/22のつぶやき

歩き辛くはなるけれど
ポケットの中で手を繋ごうよ
こんなに寒い朝なんだから

♥*:;;;;;:*♡♥*:;;;;;:*♡♥*:;;;;;:*♡

ひと昔前まではモテない男が告白をして振られたとしても、それは個人の悲劇でしかなかった。しばらくの間落ち込んで気持ちを切り替えて歩き出せばそれで良かったはずだ。
けれど…
今のご時世、勇気を振り絞って告白をした挙句にセクハラだと訴えられてしまう事があるなんて、何だか少しやるせない。
百歩譲って時代だからと飲み込んだとしても、どうしても飲み込みきれない事がある。
だってさ?
例え同じ事をしても許される男がいるってどういう事?

「髪の毛切った?」「え〜分かります?」と
「髪の毛切った?」「それセクハラですよ」の間には一体どれ程の差があるのだろう?
関係性?人間性?やっぱり見た目?もの凄く主観的な問題だよね?相手がそう感じたらそれはもうハラスメント、感じさせてしまった者が一方的に悪い。
分かっちゃいるけど分からない。果たして自分は許される側?許されない側?難し過ぎる…

「何て事を考えてしまう訳ですよモテない男としては」

「随分と拗らせてるねぇ」

「拗らせもしますよ、すぐ近くに日山みたいな爽やかモテモテ君がいるんですから」

「日山君ね。仕事も出来てストイックに身体を鍛える爽やか好青年は別格じゃない?」

「分かってますよ。でも同期にそんなチートな奴がいると自分の雑魚キャラ加減を思い知らされるようで…」

「どんなキャラにもサイドストーリーはあるものだと思うけどね」

「先輩は自分が主役級だからそんな事が言えるんですよ」

「あらありがとう。光栄だわ」

「雑魚キャラには世間の風も自然の風も冷たいんす。う〜寒い、指先冷た〜」

「あっちょっと待って」

ピッ。…ガコッ。

「はいどうぞ」

「あざーす!おぉあったかい。いただきます」

「違う違う、飲むんじゃなくてそのままポケットの中で握るんだよ」

「えっ?こうっすか?」

「あったかいでしょ?」

「はい」

「じゃあ私の手も温めてもらおうっと」

「せ、先輩…歩きにくく無いですか?」

「冷たいよりはマシでしょ?あっコレってセクハラかな?」

「とんでもない!あ、有難いっす」

「君はさ、自分で言うほど雑魚キャラじゃ無いと思うよ」

「えっ?」

「日山君みたいに何でもそつ無くこなせる訳じゃ無いけど、不器用でも一生懸命な所とか失敗を素直に認めて謝れるところとか、本当の雑魚キャラには出来ないからね」

「何か照れますね」

「人間はさ、皮膚なら1ヶ月血液は4ヶ月、骨だって3年もあれば全部入れ替わるんだから、例え今の自分が好きじゃ無くても日々なりたい自分に変わっていけるはずだと思うよ」

「先輩…何か深い話ですね」

「だから卑屈にならずに前を向くのだ後輩」

「ありがとうございます……先輩、好きになってもいいですか?」

「ああ、今はまだセクハラだね」   end

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