見出し画像

一般人情報イデオロギーは素養しかない

我々は常に情報と共に生きている訳だが,社会では「間違った情報」がトレンドになっているようだ.しかし私に言わせれば間違った情報が問題ではない,情報を受け取る側の問題である.

例え間違った情報であろうが正しい情報であろうが受け取った側の素養によって情報というのは判断されてしまう.そのため情報が正しくとも発信者と齟齬が発生したり間違った情報を受け入れてしまうことが度々起こる.

最近のXなどのSNSをみると情報の催眠にかかってしまった人は少なくないように見える.少し前に新コロワクチンに関する議論が相次いだが,これもその場の空気感や一部しかくり抜かれていないメディアの極端なニュースによって情報のバイアスがかかり誤情報がネット上で散乱した.

その中でも今現在度々議論に上がってくるのが日本人の有給に関する問題である.今日の日本で「有休消化の数が世界と比べて比較的少ない」そんな話を聞いたことがある人は少なくないはずだ.

実際にデータを比較してみても日本の有給取得率は20日間の内10日しか平均として取得してしない事実がわかる.

そんな有給を取らない国である日本をデータを比較してより正確な議論ベースとしての有給とは何かについて考えていきたい.

有給を取らないのではなく取れないのではないか.

まずは議論の根底にあるであろう有給への意識である.

調査によると日本の多くの職業人たちは空気感に流されて有給を取得できていない心情を伺うことができる.

有給を取得するためには会社が忙しくない時を狙ったり,自分が居なくても会社が回るようにならないと休めない.そんな痛烈の声もあるだろう.

では海外の意識はどうだろうか.

まずはアメリカの例を見てみよう.

この記事を見てみると意外なことに日本とアメリカは似たもの同士のようにも思える.

実際に先ほどの世界の平均有給取得率データを見てみると有給取得日数は日本と同じ10日間であり、アメリカの方が全体での有給日数が少ないことがわかるはずだ.

その原因として挙げられるのが社会制度の設計上の問題である.アメリカでは資本主義制度が採用されているが雇用方法にも特徴がある.

「At-Wii」と呼ばれるシステムは日本にはなくアメリカ独特の文化だ.これは雇用者と労働者の間の関係は任意の関係である事を示している.要は終身雇用のような会社が絶対的安定を労働者に提供するのではなく会社と労働者が常に対等な関係でいるという事だ.

これにより会社の業績不振や労働者のミスなどによって企業側は自由に契約を解消する事ができる.日本では窓際社員とも呼ばれる役職のない人材が会社に居続ける問題を聞くがアメリカでは基本的にあり得ない.常に労働者は会社に貢献し雇用者は対価を払う関係にいるため雇用形態が日本よりも自由なのだ.

なのでアメリカの雇用統計を見ればわかるが日本よりも変動幅が大きい.

話を有給に戻すが,アメリカでは会社と雇用者の間に対等な関係性が存在するため労働者は会社に貢献しなければならない.働けば働くほど金がもらえるシステムだからだ.そのため自然に有給使用率,有給という概念が薄いのではないかと予想する事ができる.

そのため企業も休日に対する意識が低いのかもしれない.ここに関しては絶対的な因果関係が無いので断言はできない.が可能性としては十分に考えられる.

では文化尊重主義のヨーロッパ諸国はどうだろうか.バカンスと呼ばれる長期休暇を夏頃になると皆が取り始め、一気に休暇ムードになる国々は世界中を見渡してもヨーロッパが唯一である.

フランスのデータを見ると有給日数は年間30日となっている.その内,25日間は法律によって有給取得の義務が課せられている.会社側は労働者に休暇を与えないと罰せられるらしい.

他にもドイツでは24日間の原則有休日数が設けられている.ここからヨーロッパ人にとっての休日は「休みたい」というより「休まなければいけない」の方が正しいようにも思えてくる.

しかしだ.この情報を踏まえて貴方がなんと考えるかは分からないが多くの人は「ヨーロッパいいなぁ」「日本も有給を法律で明確に決めるべきだ」と考えたのではないだろうか.

実際,私の学校の教師は「日本人は有給を取らなすぎる」と嘆いていた.果たして本当に日本人は休まない部類に入るのだろうか.

結論から言えば「そうではない」が答えである.
何故ならば日本は世界から見ても圧倒的な数の祝日があるからだ.日本はG7加盟国の中で最多の16日もの祝日が存在する.先ほど例に出したイギリスやドイツは9日の祝日が設けられているが日本より7日も少ない.ドイツ人が年間で休めるのが年間33日だとすると日本の休日は最低で26日,最高で36日も休める国になる.

ここまででお分かりいただけたように「日本は休まない国」ではなく「普通に世界基準で休んでいる国」なのである.

ヨーロッパが個人で休日を取る国であれば日本は国民全員が休む国なのだ.

情報というのは実に不確実なもので情報と情報を組み合わせて徐々に本質が見えてくる難題だ.少しでも情報の取得を間違えたりバイアスがかかったり,足りなかったりすると先ほどの教師のような間違った情報を拡散しかねない.

元々情報というのは幅広い概念だが今回のようなデータに分類される情報は一般人には関係のない専門家が扱うものだった.しかし近年情報のグローバル化によって誰でも簡単に専門的なデータを手に入れる事が可能になった.

以来は町や村の中の空気感や視覚的な感覚的な情報によって判断していたものが徐々に高度になった事で我々は慣れない情報に右往左往してしまっているのかもしれない.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?