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人間の探究欲深さ

少し前にGDPがドイツに抜かされ日本は表彰台の外に出たというニュースがありました.まあ近い日になるだろうなとは思っていましたが、実際になってみると少し悲しくなるものです.

やはりGDPに反映されるのはその国の生産力や国力の反映などと言いますが、生産性という面で日本は世界と徐々に突き放されている気がしてしまう.

世界の大学ランキングというTHEが中心となって作成される表があるのですが、1位がオックスフォード大学、2位がスタンフォード大学、3位がMIT(マサチューセッツ工科大学)と1位から10位はアメリカとイギリスが独占している状態.日本の東京大学や京都大学がやっと100位以内にランキングされる程度.

ランキングが全てとは言えないが、確かに日本の大学は徐々に衰退の一路を辿っていると感じる人も少なくないはずである.

そんなことなのだが、今回は大学の再構成ではなく、人の探究心について言及したいと思う.要は探究する人は頭がいいというロジックで考えるからである.

近年の学校教育というとやはり埋め込み型の授業が一般的であり、テストでは如何に上手に記憶できたかを競う.

小学生の頃からずっと埋め込み型の教育を受けて人たちは知識は豊富だが、思考のロジックがうまくまとまっていなかったり、自分の意思決定を他人に委ねてしまうようなことがある.

埋め込み型を徹底し過ぎた代償だ.取り込むことはできるが出力できない.簡単に言えば考えることをやめているのである.

ある機会があって僕が直接中学生に勉強を教えているときに相手の中学生は「これはどうやって解くの?」「答えを教えて」ととにかく答えを欲しがる.自分で考えるよりも答えを見た方が早いという単純なロジックだ.今の時代スマホで調べれば数コンマで回答が得られて、流行語に「ググる」が出現したほど現代人は考えることをやめてしまった.(僕自身も現代人なのだが)

僕の知り合いの一人も「ググればいいじゃん」とすぐに答えを手に入れようとする.

この情報が回答がすぐ得られる社会でなぜ考えるのか、その答えは単純でAI社会で一番重要な力になるからである.

AIの苦手分野は新しい市場や新しい文化に対する対応である.例えば今回のコロナ禍が最たる例である.

新しい市場やトレンドというものは過去に同じような状態があった可能性もあるが著しくデータが少ない.そのためAIのようなデータを元に学習していくニューラルネットワークには苦手な分野である.

しかし人間は間違えないとはいえ自分が何をすべきか判断する考察する力がある.今までのデータに紐づけたり思いがけないセレンディピティが答えに導いてくれる.しかしこれらは普段から思考するしか身につける方法はない.

新書を一冊、1時間の勉強のような一朝一夕で身につく技術ではない.そこには積み重なる経験と知識が必要になる高度な技術だ.まさにスマホで調べるだけでは身につかない力とも言える.

ここで断言しておきたいのが「スマホで調べる」=「意味がない」というわけではないこと.私も知らない単語が会話の中で出てきたらすぐに調べるようにしている.公の場であっても調べるので注意は何回かされたが、それよりも知らないままそのままの方がクソ喰らえである.

毎回難解な単語を調べるわけではなく、この前は友人と話していた時にふと放たれたゲームのキャラクターの名前を調べた.常に調べる形ができていればいつ何時でも知らない言葉がない状態にすることができる.そのため私はスマホで調べることの重要性は理解しているつもりである.

私が問題にしているのは「調べる」ではなく、「検索」の方である.例えば先ほどのキャラクターを調べたとしよう.そこから派生されるのは「ゲームの名前」「ゲーム会社の歴史」「ゲームの起源とは」なんて調べることができるだろう.まさにここが教養の境目と言える.

「調べる」という行動はここに直結するのではないだろうか.

身の回りには知らない世界が沢山溢れている.歩いていれば電柱があるが、「電柱は日本に何本あるのだろう」「そもそも電柱の起源は」なんて沢山ある話だ.

私がここで言いたいのはスマホの使い方でなく、脳の使い方とでも言える.人間の探究心は無限であり教養であることを現代人は忘れ、常に答えがスマホの中にあり、必ずあると妄想してしまっている.それは間違いなのである.

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