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『気候で読む日本史』田家 康

奈良〜江戸期に至る日本史に気候が与えた影響と、干魃、飢饉等における技術上、政治上の対応策の変遷をまとめた好著。

気象予報士の著者が古今東西の文献を逍遥して、同時期のアジア、欧州等の気象や社会の動きにも言及し、立体的な気象と政治経済社会との関係論として読める。

奈良〜平安期の朝廷が頼った祈祷とは対照的な北条泰時の実質的需給調整や、政権の安定性の差が気象変動に対する対応力の差として現れた事実など、現在にも通ずる教訓が得られる。

今後、地球温暖化と大火山噴火の何れにも対応は必要だが、技術と政治の力が試されるのだろう。

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