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『論語 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 (角川ソフィア文庫 121 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典)』加地 伸行
中学生にも読める教育的配慮の行き届いた論語入門。 前半で孔子の人生が理解でき、後半でテーマ別に論語の主要箇所の解説を読める。 初読者にも人物孔子と儒教の主な考え方を把握可能。単なる知識人ではなく、道徳も身に付けた教養人たれとした点、道理を知るだけでなく、その境地に至ることを求めた点、まっすぐな人間を曲がった人間の上に据えよとした点、生活の安定や軍備よりも信頼を最重視した点など、時空を超えて傾聴すべき考え方。 ただし、個人の権利を公共の利益より優先する現代では、元来利他的
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『老子・荘子 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 (角川ソフィア文庫 124 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典)』野村 茂夫
老子の約半分、荘子の約1割の現代語訳を中心とした入門書。 儒家と道家の差異の解説や、中国における仏教受容に与えた影響、両書から生まれた言葉集まで、大人にも楽しく読める工夫に感銘。 足るを知るは、個人的にも中学時代以来強く共感している観念。ただ物質欲は少なくても知識欲の強さは否定し難い。 無があっての有も重要な知恵であり、空間や余力がなければ、埋める場所がない。 荘子の大相撲への影響も興味深い。双葉山が連勝を止められ、我未だ木鶏たりえずと電報を打った逸話。何をされても些
『徒然草 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川文庫ソフィア 99 ビギナーズ・クラシックス)』吉田 兼好,谷口 広樹
高校教育に適した古典だが、人生の後半戦で玩味するにも相応しい名著の入門書。 14世紀南北朝期に書かれた書物にしては、現代にも通じる風俗、人生観に溢れており、いずれ別版で全体を通読したい。 未完の完、無能の能、昼より夜の美点、花は盛りよりも始めと終わり、貧富平等論辺りに、兼好の無常論の特徴を感じ、自らが今後集中して為すべき事に想いを巡らせた。 他方、女性論において極端に好悪が激しいのは、兼好自身の経験の影響を感じたが、SNSの反応で一喜一憂している現代人にも通じる気がする