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『壱人両名: 江戸日本の知られざる二重身分 (NHK BOOKS) (NHKブックス 1256)』尾脇 秀和

江戸期の壱人両名(1人が2つの名前と身分を使い分ける形態)と明治期における消滅について、古文書から多くの実例を見出し解説した力作。

①両人別(二重戸籍状態)、②秘密裏の二重名義使用、③身分(町人等)と職分(医者等)による別名使用のうち、①②は非合法とされたが、いずれも縦割りの支配の管轄を保ちつつ、支配を跨ぐ活動を表向き問題なく実現するための方策だったと評価。

建前と実態のずれの黙認も知恵だったと思うが、それより公平性を求める感覚が、壬申戸籍からマイナンバーに至る壱人両名的存在の否定に繋がっているのではないか。

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