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頬を染めただけで何も言えなかったあの日

今朝、林伸次さんのnoteを
読んで思い出したことがあります。

それは人生でたった一度だけ

お綺麗ですね

と言われたあの日のこと。

謙遜でもなんでもないけれど
キレイと言われるような容姿をもち
きれい、かわいい、と
ちやほやされた記憶は一切ございません。

中学の卒業アルバムに国語の先生が

は愛嬌!

と書いてきたため、
その言葉を胸に秘めて
気立てだけで生きてまいりました。

実は、その先生も気立てを武器に(笑)
学校一のモテモテイケメン体育教師と
結婚して学校中を騒がせたお方。
体育の先生が我が家の近所に住んでいて
私は彼らの密会を知っていたのですが
ヒミツを固く守っていたので
二人に感謝されていたという前提のもとに
そう書いたのではないかしら。

時は流れ
四捨五入したら50歳になってしまう
そんな年の頃、
私はますますお化粧も薄くなり
髪の毛も楽だから伸ばしているという
ていたらくで忙しく生活しておりました。

そんなある日、職場に鳴り物入りで
とある男性が現れました。
鳴り物入り、の鳴り物は、どちらかというと
訳アリで簡単に言うと
ちょっとしたいざこざがもとで
左遷されてきた方でした。
独身だったんですのよ。

仕事中はほとんど会話もなく、
粛々と働いていたのですが
仕事への姿勢を拝見していると
尊敬し、心惹かれていたようなんです。

それはお互い様だったようです。
不思議なことにそういうのって
わかりますものね。

とはいえ、不思議なことに
私の恋愛偏差値は当時10歳以下でした(笑)
そのため、お互いを気にしつつ
目で追いつつ、そんなあるときのことです。

職場の送別会がありました。
実は私、下戸で、ほとんどそういった場所に
不参加だったのですが、その日は
大切に思っていた同僚の送別会だったため、
遅れて参加しました。
でも、すみっこでおとなし~くごはんを
食べていたのです。

そこに彼がやってきて、目の前に
座りました。

そして一言こういったのです。

○○さん、お綺麗ですよね

???(固まった私)
脳内:いまきれいっていった?
   え?字が?字がきれいってこと?

あら。えっと。えっと。
頬を染めるばかり

なぜ私は、この時、何か気の利いたことが
いえなかったのでしょう。
ず~~~んっ
そして何を思って、その言葉だったんでしょう?
いまだに、字だったのかなと思ったり
お年寄りと話している言葉遣いだったのかなと
思ったりしている次第です。

その後、ふたりのぎこちない
会話はこう続きます。

あの、じゃあ、
ご趣味は?

シュミ?シュミですか?
脳内:え!趣味?趣味って?
  え?見合いじゃあるまいし!!!

その後、職場中の人の期待が
(なんでみんなが期待したのかわからない)
集まる中、わたしたちは
完全にタイミングを逃し
同僚という垣根を超えることは
ありませんでした。

今朝、林さんのnoteを読んで
四捨五入したら50にもなっていたのに
こんな風にかわいく言えなかったのかしらと
後悔したのも束の間、
なぜあんなに乙女だったのかと
恥ずかしい一方でなんだか
そんな自分が愛おしくなりました。

男と女はタイミング

それは真実なのであります。
そして、
一生に一度のできごとに
慌てふためき
すてきなことは言えませんでしたが
あの日、その言葉をくれたあの方に
感謝しています。

トラオさんには内緒の話ですわよ。

あ、トラオさんは一応
セイヨウの方なので、
一般的な日本人の男性よりは
きれいだよとかすてきだよとか
口にしますので、
それはカウントしておりません。
あしからずごめんください。



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