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【アフリカ放浪記】№4 タンザナイトを売るマサイ族と、8時間かけて通学する少年の話

こんにちは。長野県茅野市の工務店エルハウスです。
エルハウスには、20代の頃、自転車でアフリカを旅してしたメンバーがいます。このメンバーが、自転車でアフリカを放浪していた頃のお話をご紹介していきます。

↑私です!槍ヶ岳で働いていたこともあります^^

キリマンジャロ登山を通して、スワヒリ語も少しレベルアップして、数字を何となく覚えました。

キリマンジャロにのぼるというのは、この旅での大きな目標の一つでしたし、数字が覚えられるとお金のやり取りが少し楽になるということで、とりあえずホクホクです。

モジャ、ンビリ、タトゥだっけ……いやー、もう昔のことなので3が思い出せませんが。

昼の3時がタイムリミット

自転車で海外を旅すると、昼の3時頃でその日の行程を終わりにするか、次の村を目指すかって結構迷います。

日没までにその日の宿を探さないといけないので、5時には宿のある村にたどり着きたいのですが。日本みたいにどこでも町があるってことはないんですね。

イメージ的に言えば、茅野市の次の町は松本市ということもあるわけです。その間は特に何があるわけでもなく、マサイ族が牛を放牧してたりするのに会ったりするわけですが。さらに言えば、宿があるくらいの規模の村となると、怪しいわけです。

3時というと、もう2時間ほど走って距離を伸ばしたいところでもあります。
アフリカを横断するとルートにして5000キロくらい、東京大阪が600キロなので、だいたい4往復くらいするようなイメージです。
新幹線なら24時間もあれば簡単に4往復出来ますけど、自転車ですからね。

自転車なんて1日80キロくらい、200キロ走ればすこぶる頑張ったという感覚です。ちなみに眠らずに24時間走ると400キロくらいは走れます。意外と自転車ってたくさん進めるんです。

そんなわけで、3時過ぎに宿のある村で、ビールが売っていたりすると、
「はい、今日は安全のため、この村で終了です!!」
ということで、ビールをエンジョイすることになります。

だいたい一杯飲んで、昼寝して、夜に一杯飲めば、一日中自転車で走っているのでグッスリ眠れます。嘘です、気付くと結構飲んでたりします。

そんなわけで、3時からビールをエンジョイしていたところ、ちょっとまともそうなジャケットみたいなものを羽織った黒人がテーブルにやって来て、珍しく英語で話しかけて来ました。

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「ミスター、どこから来たんだい?」
「ジャパンだよ」


ジャパンとはこういう時、本当に良いものです。
大抵の国でジャパンが嫌われることはほとんどありません。


「タンザナイトって宝石を買わないかい?」
「え? 買わないよ」
「まあ、ビールおごるからさ、話だけでも」
ビールをおごってもらえるのはとても嬉しいので、ほいほいついて行きます。

ちなみにビールは大瓶で百円くらい。
タンザニアでは、ビニール袋に入った「キロバ」という禁断のジンは30円くらいで買えます。心が折れたらキロバを飲みます。

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キロバは現地のアル中御用達のお酒なので、これを飲んでいるだけで、
「お前は、良いやつだな」
と言ってもらえます。

「ビール一本で百円なら良いじゃない」って気もしますが、宿代が500円、食事が200円とかの世界ですからね。ついウッカリ2、3本飲んでしまうと、一泊多く泊まるぐらいのお金になってしまいますので、単純に旅費も倍くらいになってしまいます。

「ミスター、宝石を買わないかい?」

ほいほいついて行くと、マサイ族の格好をした、何となく貫禄のある人たちがいました。マサイは英語が喋れないので、こぎれいなジャケットの青年がスマホでタンザナイトという宝石の写真を見せて来ては、


「ミスター、買わないかい?ここらではタンザナイトが採れるんだ。彼がタンザナイト・マサイ、まあ、ここらのタンザナイトの権利を持っている人だよ。南アフリカ共和国やヨーロッパなんかの先進国へのルートはすでにあるんだけど、ジャパンにはルートがないんだ」というようなことを、英語で言って来ます。

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「じゃあ、高くなければお土産に買っても良いよ。いくらなの?」
「200ドルだよ、ミスター」


これ、不思議なものですが、100円のビールをケチっているくせに、200ドルのタンザナイトは何となく買いたい気もしてくるんですね。

別に宝石など興味もないし、帰国して転売する気もなかったのですが、仲の良い女の子にでもプレゼントしてあげようかな、なんて考えたりするわけです。

でも、相場も分からないし、本物かもわからないし、200ドルでどれだけ買えるのかもよく分からない。
何よりも小さい村なのでATMがない。

とりあえず、ビールは3本くらい飲ませてもらっていたのですが、面倒だし、ごめんね、と言って退散しました。

通学が「往復で8時間」の少年と出会う

それから、数日後、またいつものごとく走っていますと、自転車を漕ぐ、中学生くらいの年齢の少年と会いました。ボロボロの自転車です。

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アフリカでは先進国で捨てられるようなボロボロの自転車は、高級品なんです。聞いたところによれば、だいたい100ドルくらい。

僕が教えてもらった話だと、日給300円の仕事があればラッキー、仕事がないのも普通とかの世界ですから、自転車は本当に高級品です。
僕らが40万円くらいのものを買うのと同じくらいの感覚でしょうか。

「どこに行ってるんだい?英語は喋れるかい?」
隣を走りながら話しかけてみますと、
「学校に行ってるんだよ」
「学校は遠いの?」
「4時間かかるよ」
「往復で?!」
「いや、片道だよ」
「え、じゃあ、往復で8時間ってこと?それじゃ、学校で何時間勉強するんだい?」
「2時間だよ。でも、体も鍛えられるし良いんだよ!」

通学8時間の少年の夢

アフリカの子供たちと会話をすると、本当に切ない気持ちになります。

地域にもよりますが、
「アズーング、ギブミーマネー!」と1日の中で十回くらいは叫ばれます。

アズーングとはヨーロッパ人という意味らしいのですが、彼らにはお金を持ってそうな異国の人=アズーングなのでしょう。

しかし、この通学8時間の少年はギブミーマネーとか言わないんです。

「疲れたし、一休みしないか?」
と言って、村によってジュースを買ってあげようとしても遠慮します。

「そんなに遠くの学校に通って何になりたいんだい?」
エンジニアになりたいんだよ、オートバイとか作りたいんだ。ほら、この自転車の前のライトも僕が自分で修理したんだ。ユニバーシティに行って、エンジニアになりたいんだ」

話を聞いていて、片道4時間自転車で通う貧しい村の彼が、ユニバーシティのある大きな町に住むことも、ユニバーシティの学費を払うことも難しいように思いました。

さらに言えば、勉強しても、問題はタンザニアにはほとんど産業という産業がないんです。僕が知らないだけで工場もどこかにはあるのかもしれませんが。

それでも、アフリカではケニア、南アフリカ共和国の製品というのはよく見かけるのですが、どうもそれ以外の国では、工業製品ってかなり少なそうな感じなのです。

そういうことで同情してお金をあげるのは、本来あまり良いことじゃありません。というのも、キリがないし、効果が薄いんです。

仮に五百円あげるにしても、大きい団体に寄付して、寄付をまとめて、井戸を掘るなどに使わないと、ただ手渡しであげた五百円は長期的な効果が望めないんですね。

でも、この子には五百円をあげました。ノートと鉛筆を買って欲しい、多分、そういう使い方をしてくれるんじゃないかなと思って。

実際は五百円じゃ、本当に足しにもならないんでしょうけど。

ここで思ったこと

アフリカでは五百円で宿にも泊まれますし、百円でビールも飲めます。人々は日給300円の仕事でも、仕事があるだけありがたい。でも、100円あれば100円のビールを飲むし、村の木陰では仕事がない人がぼんやりと黄昏ていて。タンザナイトを売るマサイがビールをおごってくれたり。

少年は8時間かけて通学して、いつかエンジニアになる夢を持っている。
500円の寄付は乾いた土地に吸い込まれる一滴の水のごとく効果がない。
でも、みんな割と楽しそうに生きていて、話していても言葉はほとんど通じなくても楽しい。

少なくとも日本で全く知らない人と、こんなに楽しい時間を気楽に過ごせることって少ないと思います。

実際のところは、分かりません。実際はもっと広い目で見ると、もっと違った事実があるのかもしれません。自転車で走って僕の目で見て、話して聞いて知った世界のことですので、あくまで限定的な世界です。

でも、そういう限定的な世界が見られるのは、自転車の良いところでしょう。

テレビやインターネットではアフリカ=飢餓と戦争ですが、実際のアフリカの貧困ってちょっと違うんです。すごく貧乏には違いないですけど。それではまた!

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追伸

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