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高校国語のやりなおし「羅生門」④下人のプライド

下人のプライドというと、なんだか自家撞着というか矛盾というかおかしな表現に見えておもしろいですね。
みなさんにクイズです。次の場面に何か違和感がありませんか?

下人は、老婆を見下しながら、少し声を柔らげてこう云った。
「おれは検非違使の庁の役人などではない。今し方この門の下を通りかかった旅の者だ。だからお前に縄をかけて、どうしようと言うようなことはない。ただ、今時分この門の上で、何をして居たのだか、それをおれに話しさえすればいいのだ。」


そうですね。下人の一人称が「おれ」になっていて、何か高圧的な印象を与えますね。自分を飾りたくて、「うち」「あたし」「おれ」「わし」「うっぴー」とかいうこと、リアルでもあります。
ところが、もう一つおかしなところがありますが、お判りでしょうか。
正解はスクロールしてください。今回は無料(ていうか今のところ全記事)です。
うそではありません。







正解は、「旅の者」です。
お前は「下人」じゃろがい!☝

いや、もっと言えば「さっき解雇された男(無職)」じゃい!☝

学校では、「うそをついてはいけません」と教わりましたね。
ところが教科書に登場する人物は平気でうそをついています。
そういうちょっと矛盾した状況が楽しくて、『羅生門』を題材として授業をする際にはぜひ考えてほしい問題があります。

なんでうそをついたのですかね?
それは
①「検非違使ではない」……相手の警戒心を和らげる
②「旅の者」……老婆に対して「無職」と言っては格好がつかない

きゃっ!女子(老婆)に対してかっこつけたい下人、かわゆい(爆)
つーことですわ。

文学では、うそはゆるされるのです。
好きなのに、好きって言わない。そんなんばっかりですよ。

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