105冊目:選択の科学
選択という日常的な行為を科学的に研究した内容がこの本には書かれている。
集団主義と個人主義の社会
本書の序盤に社会的価値観とパフォーマンスの実験の話がある。アングロ系アメリカ人(個人主義社会)の生徒とアジア系アメリカ人(集団主義社会)の生徒を比較し、自己選択権がある場合と、選択権がない場合でパフォーマンスがどう変わるかを見る。
するとアングロ系の生徒は自己選択が可能な時に最も成績が良く、アジア系の生徒は「母親の指示だ」と伝えられた場合に最も成績が良く、意欲も高かった。
私自身、自分の意思を貫くより、人に喜んでもらえる方が意欲が湧いてくる。家族なら尚更頑張れる。
プライミング
条件反射的な連想を促すきっかけ(プライム)を意図的に利用することで、私たちのその後の選択に影響を与えることができる。それをプライミングという。これはよく広告で使われる。
例えば、サンタクロースを思い浮かべてみる。大抵の人は赤い服を着た太ったおじさんが思い浮かぶだろう。この現代のサンタイメージは画家のハッドン・サンドブロムがコカコーラ社から依頼されて描いた広告が元になる。
これ以前のサンタは様々な色の服を着て描かれていたし、痩せた妖精のイメージだった。
ちなみに、人々がイメージするサンタクロースの着ている赤い服の色はコーラのラベルと全く同じ赤で、コカコーラ社はこの赤色の特許を取得している。コーラはクリスマスの妖精ではなく、コカコーラを無意識に飲みたくさせる宣伝担当だった。
選択肢と利益
豊富な選択肢を持つことと、多くの利益を得ることは全く別ものだと言える。
代償は利益かもしれないし、時間や、心の平安かもしれない。例えばワクチン。ある病気に対してワクチンを接種すれば、副作用に苦しむ確率が数%ある。しかしワクチンを接種しないリスクの方が副作用になるリスクよりはるかに大きいとする。それでも本書では「何もしない」選択をする人が多かったという。
とても面白かったのでぜひ!
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