「長期投資とは」を考えるヒントがある三田紀房氏の『インベスターZ』


インベスターZ』(三田紀房氏)

【あらすじ】

投資を敬遠する家庭で育った少年、財前孝史が進学先の高校で学校の運営資金を運用する投資部に入り、投資の面白さにのめり込んでいく物語。2018年テレビ東京でドラマ化もされた、

マンガ度         ★★

オカネや経済がわかる度 ★★★

リアリティ度       ★★★

【ここがポイント】

初心者が物語を読み進めるなかで、財前とともに「企業調査」「金融市場」といった投資の基本を学ぶことができる。

金融市場と縁がない人が抽象的でつかみどころがなく、疑問に思うことを財前の問いとして描き、多くの先人がその問いに答える形にしている。

興味深いのは物語が進むにつれて投資対決となり、短期投資や長期投資、未公開株投資といったいろいろな投資スタイルが出てくること。

財前の所属する高校の投資部は値上がり後すぐに売却する短期投資も手掛けるが、違う高校の女性とたちが結成する投資部では、長期投資も視野にいれ、女性役員数などを調査していく。

とくに後者の長期投資では「嫁入り道具にできる銘柄を選べばいい」という趣旨の発言が出てくるのが特徴。いまどき「嫁入り道具」という概念は使わないかもしれないけれども、長期投資といった時の時間間隔はときとしてつかみにくい。プロの投資家でもひとことで「長期投資」といったときの時間間隔にはズレが生じる。その「長期」を具体的に想像させるために「結婚した後の生活で使うための資金」まで想定させるのはなるほどと思った。

※もちろん女性も結婚しないかもしれない。それでも生涯保有し続ければいざというときの生活費とすることができる。もちろんそのためには長期にわたって収益を上げ続けることができる企業を選ぶ目が問われる。




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