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【北米エンタメニュースまとめ】「ゲーム・オブ・スローンズ」を彷彿とさせる「Shōgun」、「ダンジョン飯」声優インタビュー 、アニメファンにとってDVD黄金期はまだ終わっていない、多くの人がファン小説でお金稼ぎするも彼らは著者ではない

日々の北米エンタメ市場のニュースなどのまとめです。拾い切れていないものもあるのでぜひリクエストお待ちしております。感想も歓迎です。



「ゲーム・オブ・スローンズ」を彷彿とさせるTVシリーズ「Shōgun」

真田広之氏がプロデュース、主演をつとめるTVシリーズ「Shōgun」。日本では、日本文化を忠実に描いた歴史ドラマところが注目されていますが、英語圏ではヒット作「ゲーム・オブ・スローンズ」を彷彿とさせるとのレビューも。確かに一国の権力をめぐる物語という点では、ゲーム・オブ・スローンズなのかも。漫画やアニメでも日本史要素を含む物語が一定程度受け入れられていることを考えると、日本の歴史ドラマの海外市場の開拓余地はまだありそうです。というより黒澤明氏の映画を見て楽しむ層がいるのだから、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」とかもいけるよ。


映画「GUNDAM SEED FREEDOM」英国へ

日本映画の海外進出が続きます。ガンダムシリーズの最新作映画「GUNDAM SEED FREEDOM」が英国の映画館へ。2日間の上映ですが、ガンダム人気を考えるとお客さん集めそうです。



「「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ」米国で大ヒット

ワールドツアーまで実施した「「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ」。海外興行も成功しており、米国では初日に550万ドル以上の収益をあげました。IMAXでもやっているので映像美を楽しみたいファンが多いのでしょう。


「鬼滅の刃」の人気は根強く、今年のNYCのジャパン・パレードには「舞台 鬼滅の刃」の役者が参加します。


Crunchyroll、字幕に実験的にAIを活用 Presidentインタビュー

日本アニメを世界に広げる配信会社、CrunchyrollのPresidentのインタビュー記事です。Crunchyrollがコロナ禍で有料会員を増やしたことは事実ですが、ファンを開拓したというよりはこれまで海賊版を見ていた人が課金するようになったという側面も大きいとのこと。また日本のアニメへの字幕をつけるのに、ユーモアなどもあるのでなかなか機械化は難しいものの、どのように生成AIをつかえるのか実験しているとのことです。


Crunchyrollが果たした役割についてはこちらの記事が詳しいです。


「ダンジョン飯」声優インタビュー ライオス役熊谷氏「ライオスは誤解されやすい」

海外でも人気作となった「ダンジョン飯」の声優インタビューです。ライオス役の熊谷 健太郎氏と、マルシル役の千本木彩花マルシル氏です。作品の第一印象やキャラクターについての理解、作中に登場する食べ物で何を食べてみたいのかなどの質問に答えています。


アニメファンにとって、DVD黄金期はまだ終わっていない

配信サービスの普及で、DVDやBDなど物理メディアは死に絶えようとしているけれども、アニメファンにとってはまだDVDやBDといった物理メディアが重要だという記事です。

多くの人が配信でコンテンツを楽しむようになり、ハリウッドの制作会社は物理メディアの販売をやめ、レンタルサービス店も消えつつあります。しかしアニメファンは市場は小さいながらも物理メディアを買い続けているとのこと。日本では音楽市場でCDが応募券などとのセット販売で生き残ったように、アニメファン向けに特典商法がよくききDVDやBDが生き残っていますが状況は英語圏でも同じようです。特に配信サービスで無限に自分の好きなコンテンツが楽しめるわけではないと気が付き始めたという事情もあります。北米では、Viz MediaやDiscotekが古い作品のリマスター版を出しておりこれがよく売れている。けして大きな市場ではないですが、確実にほしいと思っているファンはいるそうです。大きな市場ではないので大企業が参入しにくい分、独立系の中小企業が供給役を担っています。


多くの人がファン小説でお金稼ぎ、しかし彼らは著者ではない

英語圏のファンアートについての面白い記事があったので並べてみました。ご存じのように日本ではいわゆる二次創作が盛んですが、英語圏も負けていません「AO3」という巨大なファンフィクションサイトがあり、日本の漫画・アニメから、英語圏のドラマや映画に関するファンフィクションが日々掲載されています。もちろんこれらのファンフィクションをプリントしてコミコンなどで販売されているのですが、いまでは多くはウェブに掲載されるのみ。しかしファンの多いファンフィクションでは「それではもったいない」と冊子化するサービスが広がってきているそうです。(これについては日本の印刷会社に一日の長があると思います)

ですが一方で弊害も。ウェブ上で公開されだれでもそのデータを手にできることで、著者に無断でデータを取得して冊子化してオンラインで販売している人がいるとのこと。(しかも米国のメルカリがその販売につかれているらしい)二次創作はもととなるオリジナル作品の作者に無断でやっていることですが、創作活動である以上、二次創作のファンフィクションの著作権は二次創作作者にあります。そのおかげで人気作がサイトから取り下げられてしまうこともあるそうです。あまりに人気になった二次創作は設定などを少し変えて商業出版されることもあり、それがきっかけで取り下げならいいのですが、全く読めなくなるのはファンにとっては悲しい。

ちょうどヘンリー・ジェンキンズ氏の「コンヴァージェンス・カルチャー」を読んでいたのですが、最近のコンテンツは著作権者が供給して終わりではなく二次創作までしたくなるような熱心なファンを巻き込んでIPを盛り上げていくというのが主流。違法にコンテンツを利用する人の影響でいい二次創作が消えるようなことがないように祈ります。


海外漫画ファンが2024年に読んでほしい作品はこれだ

日本国内では漫画好きがお薦めするランキングや賞があふれていますが、海外ファンのレコメンドはなかなか見えてきません。こちらはそうした中で貴重な、MyAnimeListのユーザーによる漫画作品のレコメンドです。

You Should Read This Manga 2024」は2023年に1巻以上海外で翻訳され出版されたマンガで、まだMyAnimeListの人気上位に入っていない作品から選ばれています。すでに人気の作品を除外しているのがいい。推薦者のコメントもうれしいですね。「トンガリ帽子のアトリエ」「スーパーの裏でヤニすう二人」「ブルーピリオド」「幼稚園WARS」「ホテルの嫁入り」などが入っています。初心者向けリストとか見るべきアニメリストとかもあり見ているだけで楽しいです。


「呪術廻戦」がアニメ・オブ・ザ・イヤー受賞 Crunchyrollの「アニメアワード2024」発表

今年で8回目となったCrunchyrollのアニメアワード2024。ソニーグループとなったことでイベントの規模が大きくなり、ソニーGのCEOが挨拶にくるようになパーティーになりました。昨年から日本で開催されており、これにあわせてCrunchyrollの幹部はもちろん、世界のアニメファンのセレブリティが来日しました。様々な賞が用意されていますが、世界中のアニメファンの投票によるものなので、今年は「呪術廻戦 Season2」が11冠と圧勝でした。

なのでこんな意見も。

もちろん今回受賞した作品はいい作品ばかりですが、せっかく幅広い賞を用意しているので、もっといろいろな作品が賞に絡んでくれればなというのは思いました。



追加

この企画を始めるきっかけになった菊池健さんのマンガ業界関連の日々のニュースをまとめるマガジンです。

PwCコンサルティングのアニメ業界に関するレポートが勉強になりました。レポートによると、2020年時点で、マンガ、アニメ、ゲーム、アプリゲームなど主要4分野の市場規模3.3兆円に対して、「広告」「イベント」「娯楽用機器」「グッズ」などの周辺産業規模を加算すると、6.5兆円になるそうです。グッズの市場規模はかなり大きそう。

あと、ホラー漫画家・伊藤潤二氏の日本凱旋もうれしいニュースです。もちろん力のある作家さんですが、海外発の「面白い」が日本での原画展までつながるのは興味深いです。(本当なら海外ファンこそ原画展を見たいだろうなと思います)たとえば米国ひとつとっても人口の中で「漫画・アニメが好き」というのはまだまだ限られています(Z世代についてはそうでもなさそうですが)。しかしこの「限られた」が人口が多い国ではかなりのシェアになり結果としてIPそのものを支えることになります。菊池さんの記事にはJETROのリポートで、トルコで日本の漫画原作ドラマが作られたことも触れられています。とにかく世界の特に人口が多い国(トルコも若い世代が多く人口が増えている国のひとつ)でファンとの接点を少しでも増やしていくことが日本発のIPの寿命を延ばすことにつながると思います。


今週はここまでー。引き続きよろしくお願いします。


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