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聞き書きワークライフ~営業・営業企画~

世の中にある色々な仕事・職種の話を聞くのが好きです。
「営業は会社の顔!」とか「経営企画は社長の参謀!」とかの、印象的だが実際のところよくわからないフレーズでも語られがちな「職種」について、肌身で分かる話を人から聞いて、溜めていくのを細々としたライフワークにしたい。
今回は30代男性から、広告営業とIT系の営業企画の体験談です

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――web広告の営業の話から聞かせてください。アクセス数が多いサイトを自社で運営していて、そのサイトに掲載する広告枠を企業に売る仕事ですよね
■そうですね。「うちのサイトに掲載すればこういう層から反応がありますよ、こういう層がクリックしますよ。ちなみに掲載料金は〇週間で〇円です」が大枠の営業トークです

――営業ってどういう手順でかけていくんですか?
■担当顧客リストを開いて、ひたすら電話をかけて、アポが取れたら提案商談。そこからうまくいけば受注、かな。商談では「御社が引き付けたい層ってこういう人たちですよね。だったらこういう掲載プランで、こういうコンセプトの広告にすればこのくらいの効果がありそうです。過去上手くいかなかった広告の改善点はここだと思います」ということを定量・定性両面で話す感じ

――提案って結構論理的に作り込むものなんですか?
■いや、相手の会社によりけりですね。きちんとした提案冊子を求められる場合もあれば「こう思うんですよね」というディスカッションだけで受注が決まることもある。営業1年目で担当した、企業規模がそんなに大きくない会社であれば、世間話の延長のような形で何十万円の契約が取れることも。「このアポだけでこれだけのお金が動くんだ」とちょっと驚いたこともあります。
■自分が1年目のときは、きちんとした「広告戦略」「ターゲット訴求」とかを盛り込んだ”小難しい”提案をして売れたい、という変な思い込みがあって、相手に求められていないプレゼンをしちゃったこととかはありましたね。

――なるほど。ちなみに新規の顧客開拓はしたことはあります?
■ある。何回電話をかけてもアポが取れなかった相手でも、例えば相手側の業況が変わって、広告が必要になってきた場合は急にアポがとれる、とか
■相手の業況は変わっていないけど、電話口でうまく興味を引くトークをして急にアポがとれた、とかも経験としてはあるけど少ないかな。。。

――最初の仕事として、営業をやって良かったと思うことは?
■人と仕事をする基礎が身についたと思う。社内外を巻き込んで、いろんな人の話を整理する、とか「この人はこういう話し方を好む。内容はどうあれ、相手に好かれる話し方をした方が得だ」と気づけた、とかですね。

――反対に、営業の仕事をしてて気になったことは?無ければ無いでも。
■ステップアップの道筋がちょっと見えにくいことですかね。同じ業界で同じ商材ばかりを扱って営業していると、結構日々の仕事の内容が似てくる。その中で、自分の成長や市場価値がどう高まっているんだろう?に焦ることはありましたかね。業界や製品によっても違うのかもしれませんが、自分が営業してたときはそうでした。
■同じ業界・同じ商材を扱っていて、市場開拓もそんなにない営業だったら、どこかで成長に天井が出来ちゃう気がしますね。

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―― 次はIT企業の営業企画職について。営業企画ってかなり範囲の広い職種だと思うけど、いま何をしています?
■やっていることの列挙でいうと①予算策定、②営業戦略の方針決めと合意、③各営業部の施策の推進、④現場の営業支援

――わかりやすそうな④から聞きたいです。現場の営業支援って?
■営業用の提案資料を作りこんだり、デモ環境を整備したり。うちで取り扱っているシステムのデモを商談の場で見せることがあります。「こういう画面になっていて、こういう機能があるシステムなんですよ」というトークに使うので。で、そこで意図通りの営業トークができるようにデモ用のデータを登録したり、デモ用の画面を作ったりですね。
■顧客の興味を引く提案資料として「パワーポイントの冊子」も作れば「商談の場で動かすデモ」をきれいに整えもする、というイメージですね。

――その提案資料のストーリーというか、「こういう内容で作ろう!」はどうやって決まるんですか?
■一度、全社プロジェクトとしてやりましたね。「うちの強みって何?」「競合の強みは?」「その中で、どういう顧客にどういうストーリーで提案を仕掛ければ一番強い訴求になる?」を全社マネージャーで議論した中でできてます。
■その議論をする中で、各マネージャーの意見をヒアリングして集約・整理したり、現場と合意をとっていったり、の動きを自分がしていましたね。

――なるほど。①の予算策定はどういう仕事なんですか?
■市場分析等から出てくる「経営的な売上予算」と、各現場の施策の積み上げで出てくる「実現性のある売上予算」をすり合わせて固める仕事ですね。
■各現場のマネージャーと自分が深めに議論して「この施策なら〇億円作れる」「〇億円をここから作るのは無謀」ということを握って、経営陣にフィードバックし、予算調整をかけていきます。そうやって作った数字が、会社のIR資料に乗って、投資家に公開されたときはやり切った感がありましたね。

――もうちょいそこの「この施策なら〇億円作れる!」の固め方を聞いていいですか?
■たとえば、売上の構成要素を「新規のお客様からの売上獲得」「既存のお客様からの売上獲得」「解約による売上減少」に分けて、それぞれいくらくらいになりそうか?をシミュレーションします。そのうえで「地方顧客を狙う施策で新規の売上はもう少し伸ばせる」「解約はこの期は少し多めに見込む」のような要素を加味していって、最終の現実的な予算ができる感じです。

――なるほど。②や③の営業戦略、施策推進系は?
■①の予算がきちんとできていれば、②や③は半分ぐらい終わっているんですよね。①の予算を作るときに「この施策をちゃんと回せば〇億円の売上になるよね」ということは出そろっているので、あとはそれを粛々と実行するだけ、ですね。

――「〇〇の施策で〇億円の売上を見込む!」って結構現場の営業マネージャーじゃないと分からなかったりしないんですか?営業企画の立場として「〇〇という動き方を営業にしてもらったら、〇〇億円の売上になるはずですよね」ってどこまで強く提案できるのかな、と
■そこは営業マネージャーとの役割分担も若干ありますね。顧客数や受注率のような、各種の定量数値は営業企画がまとめて、数字から見える「課題がありそうな箇所」「こうすればよさそう」というアイデアまでは作ります。あとはそれが営業の肌感覚と一致しているか、実際に実行するときにどう進めるか?を営業マネージャーとの議論の中で握る感じです

――仕事をしていて、テンションが上がるのはどういうタイミングですか?
■こういった流れで動き出した施策の結果が実際に見えだすところですね。施策の想定通りに売上が作れた、KPIが改善した、という瞬間は企画冥利に尽きますね。「これだけ色々積み上げたからコンペ勝率改善しましたねー」とかが見える場です

――なるほど。大変な瞬間は?
■予測を立てる上で、読み違えてしまう要素はでてしまうから、そこをリカバーするときですね。事前のシミュレーションに抜けている要素があった、とか。営業企画が立てた売上が、そのあとの経理処理の中で増減することを加味し忘れていた。。。とか

――最初に話してもらった営業職では「人と一緒に仕事することの基礎」が身につくとのことでした。営業企画では、成長実感しているスキルとかあります?
■具体的な話と抽象的な話を行ったり来たりするスキルですかね。
「シミュレーションや経営資料から出てくる売上目標/実績」と「現場の日々の営業活動の中で生まれる売上目標/実績」がどう繋がっているのか?お互いがお互いにどう影響するのか?をぐるぐる考える仕事だなと思います。

(語り手・30代男性 / 広告 営業 ⇒ IT 営業企画)

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