髭男【チェスボード】歌詞解釈「緑色」の意味とは?

チェスボードみたいなこの世界へ僕らは

Chessboard

このワンフレーズを聴いた時、髭男で一番好きな曲「Laghter」を思い出した

鉄格子みたいな街を
抜け出すことに決めたよ 今

Laughter

髭男特有の半音のズレが紡ぐメロディーに乗せて
ふわふわと歌うフレーズ
柔らかいメロディーと裏腹に…

髭男にとっての「街」は、「世界」は、
チェスボードみたいに白黒のもの、
鉄格子みたいなグレーなものだったようだ

固くて、
無機質で、
逃げられなくて、
ひたすら冷たいもの

悲しみと幸せの
市松模様
その何処かで息をする

Chessboard

髭男は、デビューするまでの数年間、
実力を持ちつつも、社会に合わせて銀行員をしていた
ノルマに囚われた盤上で、鉄格子で、歌手を目指していた

行ける場所 行けない場所 目指す場所
知らないままで息をする

Chessboard

そこで今までと違うメロディーの
ブレイクが挟まる
チェスボードという無機質な盤上でも
ときには自然の風が吹く

不意に誰か隣に来て
風が吹けば離れ離れ

Chessboard

このブレーク後、突如として場面は一変して
自然に焦点を当てるようになる
そこに白も黒もなくて
緑色に色づいた、無機質ではなく生きものである
「猫じゃらし」に
心をくすぐられる

振り返れば優しく揺れる猫じゃらし
白も黒も関係なく芽生えた
穂先で心をくすぐりながら
枯れることなく 伸びている

Chessboard

その後、伴奏を挟んで
また元の盤上に戻る

チェスボードみたいなこの世界で僕らは
いつしか地に足をつけ始めた
行ける場所 行かない場所 帰るべき場所
自分で決めて歩いていく

Chessboard

大人になるに連れて、自分でルールを決めていく
そんななか、また、ふと自然の赤ちゃんの頃の感覚に戻る

綿毛みたいに風に任せ
飛べた頃を羨むけど
空中からじゃ見落とすような
小さなひとマス
そこで貴方と会えたんだ

Chessboard

自然を羨みながらも…

地に足をつけたからこそ、
全部自由じゃないこの学校を、
合唱コンクールという
自然さもプロさも求められる競技を通じてだからこそ
貴方に会えた

美しい緑色
こちらには見えてるよ
貴方が生きた証は
時間とともに育つのでしょう

Chessboard

急に「緑色」というフレーズが入って
びっくりする方も多いと思うけど

緑色というのは、もうおわかりのように
チェスボードと対照をなすものを表している

チェスボードは
「よくわからないけど宿題をしなきゃいけない」
「よくわからないけど進学しなきゃいけない」
「よくわからないけど身体が変わってきた」
「なんか勝たなきゃ」
よくわからないながらも、どうしようもなく
守らなきゃいけない、白黒

それと反対に、

「わがままなままで、
赤ちゃんのままで
自然なままで生きたかった」
その緑色

それでも、社会と赤ちゃんの間にある
この「学校」というフィールドで
ゲームで、盤上で
思い通りにならない部分もある

そこで生きた証は
決して無機質なものではなく
生き物として、存在証明になる

美しい緑色
役に立たない思い出も
消したいような過去も
いつかきっと色づくのでしょう

Chessboard

ここでわざわざ「役に立たない」とか
「消したいような」とか言っているのは
大人になるに連れて増えていくルールが
そう思わせているからだ

思春期は忙しない

忙しない中、忘れゆく子供心は
おとなになって一息ついた頃に、
「あぁそういえば、あの頃は…」と色づいて
生き物みを取り戻す

そして
チェスボードみたいなこの世界でいつか
貴方のこと見失う日が来ても
果てないこの盤上でまた出会えるかな

Chessboard

この曲は、特に合唱版は
3つのメロディーフレーズしか無い

ひたすら同じフレーズを
行ったり来たりする

それは、歌詞にあるように
市松模様的であり、
「幸せと悲しみ」だし
「ルールと自然」
だし
「白黒と色づき」
だし
「子供と大人」
でもある

そんな中間をせわしなく行き来する
学生のおこなう、
合唱コンクールという、
かけっこみたいな明確なルールや点数、
順位がつけられるようなものではない
曖昧なゲームの課題曲に
本当にふさわしい曲だなって思う

これからどんどん歳を重ねて
いま覚えてること、半分くらいなくなるだろう
もっとたくさんルールが増えて
自然の心を忘れるかもしれない

こんな世界で、ちゃんと生きれるかな
また純粋な心をもったなにかに出会えるかな

その答えが待つ日まで
知らないままでただ息をする

Chessboard


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