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2024年、3月4月の観ておきたい作品ズ

本当に打ちのめされて、どうしようもなくなってしまった時にはマイクミルズの「C'MON C'MON」を観ている。
先週あたりまでの幾日は、まさにそんな日々だった。

実際のところ、自身のMPが尽きていることに気づいてしまって以来、ただ漫然と、知らない誰かとして日々をやり直している。元に戻るというのは無理な話なのだという事実は、かの日から半年ほどが経って、ようやく腑に落ちた。

そんな一年と少しを過ごしている私として
(あぁ、いよいよ終わりだ)
と思い立ってしまう時は本当に突然やってくる。
とはいえ日々の人間関係と生活に支えられて踏みとどまるのだが、その次の回復のステップとして必ず映画を観ることにしている。

パキッといきなり明るくなりたいわけでもなく、かと言って感傷的になりたいわけでもない。
ただ、近しい人と対話する勇気を得るために、映画を観ている。
三宅唱監督最新作「夜明けのすべて」は、そういった時に頼れる作品の一つになったと思う。

特段ハッとするような希望もなく、ただ少しずつ絶望的な方向に身体が流れていく。それがダメだと思っていても止められずにいる。
そんな生活の中で、私たちを私たちたらしめてくれるのは、間違いなく積み上げてきた自身のアイデンティティと、取り巻く他者であり、それは双方向的にも可能性が広がっている。という、最も非情であって希望的な世界が作中にはあった。

今年の作品はごく個人的なものに焦点を当て、小さなサイズでいいから、隣接する生活や足元の存在に真摯でありたいと昨年このnoteでも言った気がする。
賞レースの話題が飛び交う中、いわゆる大作の勢いは勿論すごい。今回の紹介作品の大半もそうであるし、類に漏れず、私も心が躍っている。
それでも、私を構成する空気感や生活の温度は大切にしたい。
「回復のゾーン」はいつもここにありたい。

ちなみに、職業柄人と関わるので一応記載しておくと、誰かといるときに何かが沈むことはそうないので心配なく居て欲しい。大好きだった1人の暇な時間ほど、バッドに入りやすいタイプらしい。


✔︎1月、2月のBest3

1,夜明けのすべて / 三宅唱
2,ストップ・メイキング・センス / ジョナサン・デミ
3,poor things / ヨルゴス・ランティモス

「落下の解剖学」はめちゃくちゃに面白いが、こどもと動物の扱いには、割り切れないところがある。
そして「Beau is afraid」は面白いとは思わない。
といった感じでした。
入れてはいないですが、「ガザサーフクラブ」と「みなに幸あれ」は印象的。未視聴の人には観てほしい。
「緑の夜」を見逃したことが心残り。


✔︎「絶対に観にいく」2作品

月に一回、映画館に行く生活がしたい人向け

・DUNE 砂の惑星 PART2 3/15公開 (視聴済み)

ドゥニビルヌーブは、ついにクリストファーノーランを越えようとしていると思う。
「オッペンハイマー」が1年遅れた日本でも、そんな意味では面白い巡り合わせである。
PART2公開に向け、PART1のリバイバル上映があり、その際にIMAX限定特別予告が流されたのだが、ビルヌーブは「映画万歳」と言っていた。
その言葉はそのまま賛辞として彼に返したい。

ちなみにおそらく今年のTop3は確約されている。
まだ前作を観ていない人は配信サイトに上がっているので観てからの鑑賞がオススメ。
物語は非常に単純で特に面白くないが、最高である。
PART2からは脚本も盛り上がってくるので、文句なしの最オススメ作品。
ちなみにオススメは普通のIMAX。通常上映も面白い。(IMAX→IMAX→通常で視聴済み。GTでの視聴予定はなし)
※オッペンハイマーの上映開始以降はIMAX上映の頻度が減る可能性がある。早めの視聴を推奨。

・異人たち 4/19公開 (視聴済み)

東京国際映画祭にて視聴。
山田太一の小説「異人たちとの夏」を題材にしており、場所はロンドンに、恋人は同性になり再映画化したもの。
とはいえそんなことよりも、映像、音楽、表現のすべてが素晴らしく、私的な2024Top10入りは固いと感じている。ポールメスカルに傾倒しているというのも、それはそうなのだが...

恋人との関係性について国内ではポリコレとの声もある(らしい)。
正直「ポリコレって何か知ってる?」という話ではあるが、文字面だけを見てそう捉えるか、新たな視点で捉えるか。
地続きの生活を、自分ごととしてこれからも紡いでいくつもりなのであれば後者として向き合って欲しいと思う。


✔︎おそらく観にいく、期待の作品リスト
月2〜4(年間で24〜50本)の新作を映画館で観たい人におすすめ。

・オッペンハイマー 3/29公開 👀👀

アカデミー賞大本命。クリストファーノーラン監督最新作。
今回はシリアスな政治劇らしさもある作品。
ほとんど説明なしかつ、時系列も交雑するため難解さはあるだろうと思う。
個人的にはそこまでノーランは好きではない。
とはいえこの国で上映する難しさや意義、単純な作品強度を含め、必見なのは間違いない。

・パスト ライブス 再会 4/5 公開 👀👀👀

韓国で出会い、離れ離れになった2人が10数年後に再会を果たす、ごく個人的な世界を映した恋愛映画。
去年、EMPIREのBest1になるなど、世界的な評価も高く、グレタリーの存在を世界に知らしめた一作。
ティザーだけでとても良い。これは、これは、、、
3人を中心に繰り広げられる作品の中で、どれだけ素敵な時間を過ごせるか楽しみで仕方ない。

・プリシラ 4/12 公開 👀👀

実はDUNE2に次いで楽しみな本作。
今年リバイバルも果たした「ロストイントランスレーション」の監督ソフィアコッポラ最新作。
60'sシャネル、ヴァレンティノと音楽、衣装に関しては作家性が抜群に効いてくる。
ソフィアコッポラと言えば、社会における女性としての役割など、ジェンダー的な閉ざされた感覚に焦点を当てることに長けているイメージだが、エルヴィスプレスリーの妻プリシラを題材に、そのあたりもまた輝くのだろうか。

・悪は存在しない 4/26 公開 👀👀👀

「偶然と想像」「ドライブマイカー」と日本で1番会話劇を撮るのが上手いであろう濱口竜介監督最新作。
説明は入れないほうがいいと言われているのでここでも中身について話はしない。
観ると心に決めている人は、ティザーも観なくていいかもしれない。

・Rheingold ラインゴールド 3/29 公開 👀

ドイツの大物ラッパーXatarの自伝に基づくサクセスストーリー。
ラッパーの成り上がり人生というと、玉石混交なイメージだが、本作の現地評判はかなり高い。
音楽とテンポの良さへの期待に加え、貧困、家族の在り方、難民問題など考えるべきテーマも、実に沿って描いてくれそうだ。


✔︎他注目作品(タイトルとティザーのみ)

・ARGYLLE  3/1 公開 👀 (視聴済み)

・DOGMAN  3/8 公開 (視聴済み)

・美と殺戮のすべて 3/29 公開 

・インフィニティ・プール 4/5 公開

・No.10  4/12 公開 👀👀

・マンティコア 怪物 4/19 公開

・エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命 4/26 公開 👀👀


おしまい。公開遅れたくせにDUNEばかり観てすみませんでしたっ!

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