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ガチな起業話3:ベンチャー・キャピタルのビジネス・モデル

Steve Ballmer との Exit Interview を最後に、私は Microsoft を去り、直ぐに Ignition Partners という VC (ベンチャー企業専門の投資会社)にパートナーの一人として参加することになりました。

Ignition Partners は、Microsoft で Senior Vice President だった Brad Silverberg (Windows グループで私の上司だった人)と、AT&T Wireless で CEO をしていた Steve Hooper の二人が中心になって立ち上げた VC で、ソフトウェアとワイアレス・インターネットの交差点に価値を生み出すベンチャー企業を支援するというビジョンで作られました。

2000年当時は、携帯電話網はまだ2Gで、インターネットに繋がる世界初の携帯電話として、NTT DoCoMo の iモードが世界中から注目されていた時代です。iPhone が発売されたのは2007年なので、その7年前です。

しかし、当時から、パソコン、インターネットに続く(人々のライフスタイルを変えるほどの)イノベーションは、インターネットに繋がる携帯電話になるだろうということは言われていました。

当然ですが、その新しい市場で成功するには、ソフトウェア業界のノウハウと、携帯電話業界のノウハウが必要で、そこに目をつけた Microsoft と AT&T Wireless の元重役たちが、(ワイアレス・インターネットの実現に必須な技術の多くを握る)Qualcomm から $40 million の資金を集めて Ignition Partners を立ち上げたのです。

私は、元重役ではありませんでしたが、Brad から「チャンスがあれば自分で会社を立ち上げるのも良いが、最初はパートナーの一人としてVCの立ち上げを手伝って欲しい」と頼まれ、参加することになりました。

VCのパートナーという立場は、簡単になれる立場ではないので(一般的には、大企業の元重役、成功した企業家のように、社会的な信用度の高い人だけがなれます)、ソフトウェア・エンジニアだった私がなれたというのは、今考えてみるととてもラッキーだったとも言えます。

VCは、Limited Partner(LP)と呼ばれる外部の投資家から集めたお金(ファンド)を運用する(=ベンチャー企業に投資する)ビジネスですが、ビジネスモデルは、運用費と成功報酬から成り立っています。

運用費とは、文字通りファンドを運用するための手数料で、通常は、ファンドの2%程度です。$40 million のファンドであれば、毎年80万ドルが手数料としてもらえる計算になります。VCは、これをオフィスの家賃、交通費、従業員の給料として使います(私の給料もそこから出ていました)。

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