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生徒に身近な「ネタ」を散りばめた授業内容を公開【「情報 I 」授業実践事例#1】

ライフイズテックでは、授業の導入や動機づけ、プログラミング演習の進め方など実際の授業の内容や進行方法について詳しくご紹介いただく「情報 I 」授業研究会を定期開催しています。
noteでは、先生たちによる授業ツールの活用アイデアが満載の実践事例を連載していきます。

今回は東亜学園高等学校・新井廣幸先生をお迎えし、「ライフイズテック レッスン」導入部分のポイントと生徒が興味を持ってくれる「ネタ」についてお話しいただきました。



  • 学校名:東亜学園高等学校(東京都の全日制私立学校)

  • 情報Ⅰは1年生、情報Ⅱは2年生の理系クラスで実施


導入でしっかり興味を持ってもらった後は、生徒自ら楽しく学んでほしい

私は、生徒たちにはとにかく楽しく学んでほしいと思っています。興味が湧けば、あとは勝手に勉強していくはず、と意識しながら授業をしているのですが、最近、恐ろしい真実を知ってしまいました。

なんと今の若者たちは、「動画の冒頭の30秒から1分を見て、見続けるかどうかを決めている」というのです。ということは、私たちの授業も、実は最初の30秒から1分で「聞く・聞かない」が決められているのでしょうか……。私はYouTuberのようなすごいトーク力を持っているわけではないし、プログラミングもそれほど得意なわけではありません。だから「ネタで勝負しよう」と思っています。そのために、家に早く帰ってテレビを見たりゲームをしたりして、生徒が身近に感じられる、「自分ごとにできるネタ」を探し続けています。
今日は私の授業で使った「ネタ」について紹介いたします。「使える」と思うものがあれば、どんどん使ってください。

「プログラミングとアルゴリズム」導入では、「意外に簡単かも」と思ってもらえるよう意識

「プログラミングとアルゴリズム」の授業の導入部では、まずPythonについて説明します。この時、「意外に簡単かも」と思ってもらえるよう意識しています。私が教材を作ることはほぼないのですが、唯一作ったといえるのが、Pythonの基本について本当におさえておいてほしい4点を示したパワーポイントスライドです。
「PythonはAIなどでもよく使われていて、覚えておけば損はない」という話をしてから、プログラミングは半角英数字で書くこと、半角英数字以外を使うときにはシングルクォーテーションというもので囲わないとうまく動かないことをしっかり説明していきます。

導入が終わったら、実際のプログラミングとはどういうものかを見せます。画面を見た生徒たちは「よく分からない」という表情をしますが、「実はそんなに難しいことはやっていない」と説明を加えていきます。

例えば、こちらのスライドにあるnum1 = 5、num2 = 100という変数は、「それぞれx=5、y=100みたいなことだと思ってくれればいい」と説明します。続くtotal = num1 + num2は、「合計はx+yです」という計算式をこう書いている、と説明していきます。その次にprintと違う色で表示されているものは、「これが実際の命令であって、画面に『こんにちは』と文字を表示させるプログラムになっている」と説明します。そして、print(num1, num2)は、先に示している変数で、この場合は5や100の数字が表示される、と説明したところでクイズを出します。「print(total)の画面に表示されるものは、  ①total、②num1+num2、③105のどれでしょう」ということで、生徒に挙手させます。そうすると、だいたいの生徒が③をちゃんと選びます。そこで「③ですね、正解です。素晴らしい」と声を掛けます。

この後、「プログラミングは理解したから、細かいところに関してはライフイズテック レッスンで学んでいきましょう」と声を掛け、生徒が個別に進めるというかたちで進めています。

中には、途中で少し飽きてきたり早めに終わったりする生徒もいますので、そういう時にはプログラミングの身近な例を示してあげます。例えば、私が作った「担任ガチャ」というものがあります。プログラムを実行してみると、「新井」が出てきて「ザンネン」と表示されます。生徒たちには、「これを10連ガチャにするにはどうしたらいい?」、「排出率を激シブにするためにはどうしたらいい?」、「『新井』が出たら『ザンネン』なんてひどくない? 別の何かにできないかな?」などの条件を出して、いろいろとプログラム作成を

試してもらいます。生徒が普段遊んでいるゲームの裏側の話にもつなげています。

授業ではあちこちにネタを散りばめている

「ネットワーク」の授業では、まず、スマートフォンがどうやって通信していると思うかを聞いてみました。「普段使っているものが実際にどう動いているか、意外と分からないのでは?」と考えたのです。なんと、ほとんどの生徒から「wi-fiでつながっている」という答えが返ってきました。そこで「どういうふうにつながっているか、レッスンで勉強してね」と声を掛け、生徒に取り組んでもらいました。レッスンを経て、全員が正しく解答できるようになっていたと思います。

チャプター5「コンピューターの仕組み」では、「大学に入ってコンピューターを買うとき、どんなノートパソコンを買うか考えよう」という課題を最初に出しました。CPUやOSの説明をただ読むだけでは、生徒たちはなかなか分からないだろうし、興味も持てないだろうと思ったんです。生徒たちは、スペックとして何を見ればいいのかを調べる過程で、「CPU」、「メモリ」、「ストレージ」などをしっかりと学んできます。最後にグループで集まってどんな製品を買うか、プレゼンテーションしてもらいました。ここで驚いたのが、どのグループからもMacBookしか出てこなかったことです。そこで、33万8,800円というお金を誰が出すのか考えてもらったり、おしゃれさだけで選ばないことを理解してもらったりしながら、実際に適切なのはどのようなものかをさらに説明しました。 

繰り返しになりますが、生徒にはとにかく楽しく学んでほしい!と思っています。そのために、授業では生徒たちが身近に感じられるネタをあちこちに散りばめるし、家で仕事はしないようにしています。ライフイズテック レッスンを導入した背景は、一斉授業よりも、生徒が自分で学べるからです。また、教員の仕事が多く、教材作成の時間を削ることができることも決め手の一つです。

▼年間予定およびプログラミング授業実践例:新井先生の登壇資料より抜粋

新井先生、ありがとうございました!

▼Life is Tech ! Lessonについて
https://lifeistech-lesson.jp/

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