見出し画像

遊んでばかり、叱られてばかりの自分がアプリ開発に目覚めるまで

2023年10月、中高生のアプリ開発コンテスト「アプリ甲子園2023」決勝大会が行われました。
二次予選を勝ち抜いたファイナリスト10組が公開プレゼンテーションを行い、様々な分野で活躍する審査員がアプリの企画力を審査。『企画力×技術力』をもとにした厳正なる審査の結果、ライフイズテックスクール生の本田 輝(ほんだひかる)さんの「WaveSync」が見事優勝しました。

「WaveSync」(ウェーブシンク)は、すれ違った人が聞いている曲を検知し、アプリ内でその曲を聴けるというもの。音楽を聴き過ぎて飽きた時、街中や会話から新しい曲と出会えるように設計されました。ユーザーは他人の音楽をラジオのように聴き、気に入った曲はApple Musicに追加できます。

https://apps.apple.com/jp/app/wavesync/id6463772636

開発に身が入らなかった中学時代から、「わかる楽しさと動く楽しさ」に気付き、アプリ甲子園優勝へと突き進んだストーリーです。


YouTubeで見たプログラマーが「かっこいい」から始めた

早速ですが、アプリ制作を始めたきっかけから教えてください。

うーん、出会いが何だったかは本当に分からないけど、小5の時にiPadでゲームをしていて「どうして動いているんだろう?」と興味を持ったのが、多分最初です。それで、ゲームの作り方をYouTubeで調べたら、パソコンをカタカタ鳴らしながら作っている姿が出てきて、「かっこいいなあ」と思ったんです。「やりたい!」と親に駄々をこねまくりました。自分が飽き性だから親にはメチャクチャ反対されたけど、「これだけはやる!」と言って、プログラミングスクールに行かせてもらったのが今につながっています(笑)。

中1でライフイズテックに入ったんですよね。実はひかるくんの印象って、しばらくは「あんまり開発をしない子だなあ」という感じだったんです。よくおしゃべりしている子だとは思っていたんですけれど。

自覚はあります。ライフイズテックの雰囲気が好きだったから通っていたけど、遊んでばかりで教わったことも身に付かなくて、メンターにはよく注意されていました。おしゃべりが楽しいからまた来て、ちょっと怒られて、教科書をやって……と繰り返しで、メンターが本気で向き合ってくれたことで目が覚めました。中3の時に人生相談に乗ってもらって、今のままではそろそろまずいと受験勉強を頑張ったんです。

普段のスクールの様子

厳しかったメンターに褒められてスイッチが入る

そう、ひかるくんが中3の終わりぐらいから変わってきたという話が、私たちの間で出ていたんです。どういうことがあってモチベーションが上がったのか、実際のところはどうだったんでしょう。

受験後、昔遊んでいたゲームを再開したものの、「何がおもしろかったんだろう?」と思うくらいに興味がなくなっていました。かといって別に勉強もしたくなかったので「何をやればいいんだ」と迷走していたんですよね。それで、プログラミングを試しにやってみたら、少しわかって面白くなっていったんです。

実は、受験勉強のため、ゲームを一切やらなかった時期に、Playground(Appleが開発したプログラミング言語「Swift」を学ぶためのアプリ)を教えてもらって、プログラミングが少し分かるようになっていたんですね。受験できちんと勉強したから英語も分かるようになっていて、コードを調べる力が付き始めていました。それでだんだん楽しくなり始めたんです。

ある時、合言葉を知っている人だけメッセージグループにアクセスできる、というアプリの機能を作ったんです。簡単に作れる機能なのに、当時のメンターに「できるようになってるね、どうしたの?」と言葉をかけられました。何気ない一言だったかもしれないけれど、自分にとっては「あの厳しかったメンターにほめられた!」「うれしい! うれしい! うれしい!」という気持ちで開発を続けるようになりました。

その後、「Firebase(Googleのウェブアプリ開発プラットフォーム)が分かるようになってきたからチャットアプリを作ろう」ということになりました。その頃はもう開発にのめりこんでいたと思います。
分かる楽しさと動く楽しさにどんどん気付き始めて、今に至ったのだと思います。

夢中になって開発していたら、理解力もスキルも上がった

アプリ甲子園で優勝した「WaveSync」でこだわったところはどんなところですか。

見た目でしょうか。「すれ違った人が聴いている曲を取得して、自分もそれを聴くことができる」というシンプルな機能の分、見た目は退屈しないようにメチャクチャこだわりました。
YouTubeで公開されているサンプルコードを、見よう見まねで抜き取って切り張りしてつなげて、いまの再生画面を作り上げました。それをメンターに見せたときは、「予想の3倍、でき上がっている」と驚かれて、感動しました。予想以上のリアクションだったので、「よし!これならいける!」とテンションが上がった状態で(笑)、1次予選に臨みました。
とはいえ、夏休みの初め頃から作り始めて時間がなかったので、当時は自分の技術がここまで成長するとも思っていなかったんです。

WaveSyncの音楽再生画面

じゃあ、「自分はここまでできるだろう」という当初の見積もりを超えたものが出せたということですか?

出せましたね。アイデア出しの時点でもその時の最高の技術力で作ろうとしていましたが、ここまで上がるとは思っていませんでした。
アイデア出しには苦労して、ずっと頭を抱えながら1か月半が過ぎ、さらにそこからノロノロと1か月くらい作ってやっとおもしろさに気づきました。その時に、「これって、勝てるんじゃないの?!」と思い始めて、実際に出してみたら1次予選を通ったんですよ。

開発の中でいきなり理解力が上がって、明らかに力がついたので、すごくいい経験になったんじゃないかと思います。Firebaseを理解するのにいっぱいいっぱいだった自分が、ここまでいくとは思っていなかったです。

アイデア出しの様子。ポストイットにひたすらアイデアを書き出して、分類。

アプリ甲子園優勝で、胸を張って人前に出られるマインドへ

優勝したときはどんな気持ちだったのでしょうか。

最後まで名前が呼ばれなかったし、プレゼン直後の時点の総合点数が別のグループと同じだったから、「向こうかな? 自分かな? 負けたかな?」とハラハラしていたんです。そんな状態の時に名前が呼ばれて、喜ぶというより「えっ、俺? 俺?」と混乱していました。周りを見渡したらみんなが「(ステージに)行けよ! 行けよ!」と言ってくれていたから、それで出ていきました。信じられなかったというのが本当のところで、同時にうれしかったというのもあります。

結果発表後、スクールで担当の大学生メンターと。

どんな点が評価されたと思いますか。それと、評価されたポイントでうれしかったところはありますか?

偶然の出会いを大事にしているということをプレゼンの中で話したら、表彰式で、「セレンディピティにときめきを感じた」とか、「マーケットを意識した企業が作るのではなく、本田さんが作ったからできた」とコメントをいただきました。自分が伝えたいところがきちんと伝わり、点数につながってうれしかったです。

優勝してから周りの反応はどうでしたか。

学校のクラスLINEに優勝した時の画像が送られていたんですよ。自分の最寄り駅に着いて見てみたら通知がたくさんたまっていて…嬉しかったですね。

最後に、メンターとの出会いなども含めて、アプリ甲子園の経験からどんな変化があったか聞かせてください。

周りのファイナリストを見たらすごい子ばかりだったけれど、自分もその中ですごい人たちに話を聞いてもらえて、ちゃんと認めてもらえたという経験が、かなり自信になりました。
「どうせ俺なんて外に出ていっても無理でしょ」が、「あっ、俺でも出ていけるんだ」に変わって、未踏ジュニアやSwift Student Challengeにも作品を出そうと思えるようになったし、いろいろなモチベーションにつながっています。

自分は誰に対しても、何かを聞くとき、何かをしたい、何かが欲しいと伝えるとき、「この人にこれを言って大丈夫かな」と考えてしまっていました。でも、アプリ甲子園を経て「自分の言いたいことを言って大丈夫なんだ」というマインドになって、胸を張って人前に出られるようになった気がします。

ひかるくん、ありがとうございました!ライフイズテックでは、これからも活躍を応援し続けます!


ひかるくんが優勝した「アプリ甲子園2023」の様子が、1月28日(日)午後4時~テレビ東京6局ネット「セイシュンアプリ!~第13回アプリ甲子園〜」で放映されます!
ファイナリストたちの奮闘をぜひご覧ください。

また、「アプリ甲子園2023」の様子は公式YouTubeでもご覧いただけます!
https://www.youtube.com/live/s5XI8nl64Io?si=kNTcNYlPQXMujibV


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?