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とにかくゲーム作りが好き。数々の賞を受賞した高3生のアタマの中に迫る。「面白いものをみたら、どうやって作れるか考える」

ライフイズテックスクールでは、日頃の開発の成果を発表するため「Unityインターハイ」や「日本ゲーム大賞」などといったコンテストに、多くのメンバーが応募しています。

今回は、これまで数々の賞を受賞してきた藤田亜門くんにインタビュー。
彼の代表的な作品は、「ライフゲイムワンダラ」です。
「ライフゲイムワンダラ」とは、ライフゲーム(数理モデルの一つ。生命の誕生や死を計算機上でシミュレーションするゲーム)の規則に従って変化するセル群を足場にする一画面2Dアクションゲームです。

ゲーム制作、そしてライフゲーム。
「好き」を夢中に突き詰めることで、自らもアップデートを重ねる亜門くんにお話を伺いました!


最初は後ろ向きだったコンテスト、一つずつハードルをクリアした

ゲーム制作を始めたきっかけはなんだったんでしょうか。

確か中学に上がってすぐの頃、兄の高校の文化祭に行って、パソコン部をのぞいたんですよ。自作のゲームが展示されているのを見て、「あっ、ゲームって自分で作れるんだ」と思いました。その日のうちに、「ゲームを作ってみたい、Unityでゲームが作れるらしいから使わせて」と親に頼んだことを覚えています。
最初は、とりあえずソフトを入れて調べながら作れば、どうにかなると思っていたんです。でも全然分からなかったので、初心者向けの本を買いました。本を買うことで、もう後戻りできない状況に追い込んで、本の中身を全部書いていきました。それが一番自分には効率がよかったです。自分の場合、入門の段階では、インターネットで調べるといった方法では知識が身に付かなかったですね。
それから初めてゲームを作ってみて、もっと学びたいと思って、ライフイズテック スクールに入りました。

様々なコンテストに挑戦しているかと思うのですが、初めて出したときのことを教えてください。

Unityインターハイ2020のときに、スクールの担当メンターに「出してみなよ」と勧められたのがきっかけだと思います。でも最初は本当に嫌でした(苦笑)。評価されることがちょっと怖かったのかもしれません。
この時はブロンズアワードを頂きました。これまで、どこかに呼ばれて表彰されたり話をしたりすることはなくて、人前に出るのは苦手だったんですよ。でもこの時に、低めのハードルが一つ越えられたと思っています。すごくありがたかったです。

その後、今度はUnityユースクリエイターカップの決勝戦に出ることができました。その時も対面でプレゼンするということはなくて、作品説明の動画を自分で撮って送ればよかったので、すごく気が楽でしたね。録音したものをつぎはぎで繋げていったんですが(笑)。何とか乗り切りって、審査員賞を受賞して、また一つハードルを越えたと思っています。

その次の年に参加したのが、ライフゲイムワンダラを出したUnityユースクリエイターカップ2022です。やっとオンラインのみではなくなり、会場で話すことができました。それまでのハードルを越えて徐々にステップアップしていったおかげで、なんとか形になったのではないかなと思います。ただ、人前で話すことが得意になったわけではなく、ハードルが少し低くなっただけですけどね。

Unityユースクリエイターカップ2022でのプレゼンの様子

段階を踏んで挑戦できていたんですね。他にも、なにか変化は何かありましたか。

分かりやすい変化は、技術力がすごく上がったことです。ライフゲイムワンダラを作った後、Unityユースクリエイターカップのいろいろなコミュニティですごい技術を持った人たちとお話しすることができて、急に技術革新が起こりました。以前に書いたライフゲイムワンダラのコードを見ると「ちょっと見ていられない……」と感じるようになるくらいです(笑)。

私たちから見ると、亜門くんはスクールにいるとき、開発をするよりもみんなにゲームを遊んでもらって感想をもらっている印象があるんです。それは、意識的にそうしているんですか。

うーん、どうなんでしょう。そんなに意識していなかったです。コミュニティに属したこともあって、開発する場所は結構充実してきているんですよ。でも、目の前で、他の人に自分のゲームを触って遊んでもらって、感想をもらうのは難しいですから、それができるスクールは本当にありがたかったですね。それに、人がゲームをプレイしているところをリアルタイムで見るのが大好きなんです。

それを開発に生かすんですか。

いや、ただ見るのが大好きなだけです(笑)。おかしなところがあったら参考にしようか、ということはあります。 

単純な興味が、「ライフゲームの良さを伝えられるゲームにしたい」という思いへ変わった

ライフゲイムワンダラを作るときにこだわったところを教えてください。

初めは、ライフゲームをほかのゲームと組み合わせたらなんだかすごく楽しい作品になるのでは、という興味から始まりました。しばらくして技術力がついてきて、当時すごく好きだったアクションゲームと組み合わせて作ってみようと思ったんです。プレイヤーがセルを飛び跳ねながら移動する2Dアクションゲームにしたらおもしろくなるのでは、と思いながら作り始めました。
作っていくうちに、ライフゲームのことをもっと広められる、ライフゲームの魅力が伝わるゲームにしよう、と思うようになりました。だから、説明口調の文章みたいなものを取り入れて、ライフゲームの良さを伝えることにこだわりました。

すごくスタイリッシュでおしゃれなデザインだと思いますが、あれは最初から決めていたんですか。どういう発想で思いついたんですか。

自分はデザインがそこまで得意ではないので、基本的にはシンプルな図で作っていくしかないと判断したんです。それと、ライフゲームは基本的に緑色で表現されるので、黒背景で緑色が光ったらかなりかっこいいデザインになるのではないか、と思いました。
ライフゲームなので生命というか有機的なかたちに近づけながら、デジタルっぽい光っている感じも取り入れていく、こういう方針は最初の時点で決まっていたと思います。

もともとライフゲームに興味があったんですか。

最初に知ったのは、小学5年生か6年生ぐらいです。YouTubeでたまたま見かけました。変な動きをするものって、小学生は大好きじゃないですか(笑)。知っているのが自分だけではもったいないと思うほど、興味を持ちました。だからもっと広めたいと思ったんです。

おもしろいものを見たら「どうやって作れるか」を考える

寝て起きたらパッとアイデアが思い浮かぶタイプですか。それとも「うーん」と悩む中で思いつくんですか。

いえ、アイデアを出すのは結構苦手なタイプですよ。「Unity1週間ゲームジャム」という一週間でゲームを作るイベントに参加したときも、1日目はかなり悩んで、学校に行って帰るまでの間もずーっと悩み続けて、それでようやくアイデアを出している感じです。1日じゃ出てこないこともあります。言葉遊びが好きなので、短期間で作る場合はタイトルから決めて、そこをアイデアの源流にして作っていくことは多いかもしれません。

デザインは、普段からアンテナを張って、「こういうものを取り入れてみたい」と思っているんですか。

見えているものや、たまたま頭に入ってきたおもしろい表現は、とりあえずストックしています。それで制作中に「じゃあこの部分に使ってみるか」と思うことはあります。例えば、そこのすりガラス(取材時の部屋)の質感なんておもしろいと思いましたよ。デザインに使ってみたくなりませんか。

なるほど。もしかしたらこのすりガラスがいつかゲームに出てくるかもしれないですね。

そうですね。カッコいい、おもしろいと思ったときは、すぐ「どうやって作ればいいだろうか」と考えがちですね。それで作れそうだと思ったら「じゃあ、覚えておこう」と頭の中にストックするんですよ。

小さい時からそうなんですか。

いえ、Unityのシェーダーグラフ(3Dオブジェクトがディスプレイに映し出されるときの陰影処理をするためのプログラムを、ノードベースで制作できるツール)という機能があるんですけれども、形を組み立てるのがすごく楽しくて、それが使えるようになってから「あの柄ってどうやって作ればいいかな」とか考えるようになりました。
ライフゲイムワンダラのアニメーションも、このシェーダーグラフが使えたから思いつくことができました。

ふだんからゲームを作っていると思うんですけれども、毎日どのぐらいの時間、作業をしているんですか。

最近は、学校から帰ったら5時間ぐらいですね。学校の休み時間や自習の空きコマの時間にも作業しがちです。

すごいですね、本当にゲーム作りが好きなんですね。この先、どんなゲームを作りたいですか。

うーん、まだわからないです。でもさっきお話ししたように興味を持ったことをストックしておいて、それをどこかで見せびらかすような感じで作っていきたいなと思っています!

それは楽しみです!亜門くん、ありがとうございました!ライフイズテックでは、これからも活躍を応援し続けます!


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