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【往復書簡16通目】水茄子と二種の瓜のサラダで夏の渇きを潤して

いがらしさんへ

7月半ば、平年より少し早く梅雨が明けて、関西は夏に突入しました。梅雨が明けてみると、やっぱり湿度はかなり身体に負担だったんだなあ、とわかりました。ようやくクーラーにも慣れてきた頃に、当たり前のように30度前半になる本格的な夏がやってきて、これからは気温との戦いに。この時期に関西に滞在したことは前にもあったけど、これがはじめての暮らす人としての関西の夏です。

先日のお手紙では「採れたてズッキーニのパスタ~ルッコラのペースト和え~」ご馳走さま。ズッキーニは新鮮さがダイレクトに味に影響する野菜のひとつだよね。そして最高のタイミングで瓶に閉じ込めたルッコラのペストとのコンビネーション。自分で育てているからこその贅沢な一皿だね。とはいえ、自分でつくる贅沢には、体力が必要なのも事実。私も年々、体力が落ちてきて、楽しいこと、贅沢なことをするのも大変よねと思う日々だけど、余力を逃さず理想を現実にした、いがらしさんはさすがです。

我が家の「食べられる庭」は、ハーブばかりなので(しかも予想通り放置気味...)、あいかわらず野菜は兵庫六甲のJA直売所にお世話になっています。梅雨の半ばから、葉物がどんどん少なくなって、梅雨があけたら、胡瓜、茄子、トマト、ズッキーニ、ピーマン、甘唐辛子などが、山のように積み上がっています。滞在していたときには気づかなかったけど、いざ暮らしてみると、私は今、こういった夏野菜を切実に欲しているな、という感覚があるんだよね。夏が強烈なぶん、それが身体により強く作用するのかな。北海道では、夏野菜をここまで身体が求める感じはなかった気がする。

例えば、胡瓜。前は週に3本くらいだったけど、ついつい毎日メニューに入れてしまうから、最近は大量に買うようになった。やっぱり、無意識に身体を冷やす野菜に手が伸びてしまう。

でも、身体を冷やすものといえば、やっぱり西瓜。スーパーでカット西瓜を見ては買い時を狙っていたのだけど、ついに直売所にスイカが出ていたので、思わず丸ごと買ってしまった(小玉だけど)。冷やしてかぶりつくと、ああ、私は本当に西瓜を必要としてたんだなって、文字通り、腹の底から納得したわ。やっぱり、自然や気候が厳しければ厳しいほど、その環境で育まれるような野菜を、人間はより強く求めるんだろうか。まあ、理由は別としても、おそらく人生で最も激しく西瓜を求めては満たされる、という至福を味わっているのは間違いないです。笑

そして、関西ならではの瑞々しい野菜と言えば水茄子。ほんのりと甘味があって、水気をたっぷり含んだ水茄子は、かつては農作業中の水分補給として食べられることもあったみたい。これは、浅漬けやサラダにして、朝に夕に食べています。

こんな感じで、毎日むさぼるように夏野菜を食べながら、畑仕事でクタクタになったいがらしさんに食べてもらうとしたら、と想像してつくったのがこの一皿。

ジューシーな水茄子と、胡瓜と西瓜という、身体を内側から冷やしてくれるウリ科の野菜2種を、「食べられる庭」の青唐辛子を使った、タイのプリック・グルア(唐辛子と塩、砂糖と混ぜた果物用の調味料)風のドレッシングで和えました。甘酸っぱくてちょっと辛い、汗をかいた身体にしみるサラダです。

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「水茄子、西瓜と胡瓜の青唐辛子塩サラダ」

それではどうぞ、召し上がれ。

みやう

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