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心のセルフケアを4つに類型化してみた

はじめに

こんにちは、すぱ郎です。
 当noteでは自分の経験や学習を基に、「心のセルフケア」に役立ちそうな事柄を一つの大きなテーマとして取り扱っています。
 先日X(旧twitter)にて、何気なく下記のpostをしました。

 この時はあまり深く考えずに投稿したのですが、後々読み返してみると割と自分が普段意識して実践している事を上手くまとめている内容だなと思いました。他の方の参考になればとも思い、noteにて少し詳しく内容を整理してまとめてみる事にしました。
 といった形で今回の内容としては上記の4分類について、内面の思考としての心理的な側面と、実際的な活動としての行動的な側面でそれぞれ具体的にどういう事なのかを説明したいと思います。

①自分を労わる(appreciate)

 一つ目は、自分を「労わる」です。
 心理的には日常的な活動、あるいは過去の体験に対して「よく頑張ったな」と労ってあげる、あるいは「大変なことがあって疲れてるんだから、しっかり休まないとな」と大変だった自分を自分自身で認めてあげるといった思考を指します。
 行動的には自分に対して適度な休息を与える、辛い事やしんどい事を無理に続けずに適切な距離を取って自分を守る、などがあります。「完璧主義」「白黒思考」などの認知の癖が強い人はこの「自分で自分を労わる」という思考を日常的に上手く行えていなかったりするので、結果として疲弊したり余裕が無くなりネガティブな思考を反芻してしまったりします。そういった負のループを繰り返さないためにも、「自分を労わる」という事を日常的にしっかり意識する事はとても大切だと思います。誰も褒めてくれなくても、自分で自分をしっかり褒めてあげる・苦労を認めてあげるとそれだけで何割か気が楽になる事もあります。

②自分と向き合う(gaze)

 二つ目は、自分と「向き合う(見つめる)」です。
 4つの類型の中では、どちらかというと一番心理的な負荷がかかりそうな事なので、「セルフケア」という言葉と直接的な結びつきは薄く感じるかもしれません。ただそれは出来る時と出来ない時があるという前提があるだけで、少し余裕があるときに行うと効果的な非常に重要なものだと思っています。
 行動面では自分の気分の変化や行動の変化とその原因を考える・分析するといった作業全般をさすと考えます。認知療法(コラム法)に取り組んだり、スキーマを掘り下げたりして自分の気分や思考あるいは価値観といったものを掘り下げてみる。あるいはボディスキャンを行ったり生活習慣が乱れていないかを見直して身体的・活動的な変化を見つめ直す事もこれに含まれると思います。心理士の先生によるカウンセリングを受けるという事も、個人的にはこの類型の中に含まれると思います(自分はカウンセリングを受けたことが無いので断言はできませんが)。
 心理的には「適度なポジティブさを維持しつつ自分に関心を持つようにする」という事になるかと思います。自分自身を掘り下げるという行為は、余裕のない時に無理に行うと罪悪感や自己嫌悪感といったネガティブな感情に囚われて却って落ち込む原因になったりするので、どの程度の事を行うのが自分にとって丁度良いのかは、ある程度の見極めが必要だと思います(完全にネガティブな気分を排除して自己分析を進める事も難しいと個人的には考えています)。自分一人で丁度良い"向きあい方"を探すことが難しい場合は、例えば主治医やカウンセラーなどある程度客観的な立場で助言を貰える誰かに相談できる環境が必要かもしれません。そういった相談先が浮かばない方は、あるいは下記のような書籍が参考になるかもしれません。リワークに通っていた頃に他の参加者が読んでいた本です。図書館に置いてあったりもするので気になる方は一読されても良いかもしれません。自分と向き合うという作業は、上手く行えば有効なセルフケアになりうると思うので、興味のある方は試してみても良いかと思います。



③自分を受け入れる(acceptance)

 三つ目は、自分を「受け入れる」です。
 二つ目の「向き合う」とやや似通った部分がある…というよりは、ある程度②に取り組んだ先に③がある、という感覚の方が自分の実感には近いように思います。
 「受け入れる」という表現でピンと来る方もいるかもしれませんが、この言葉が浮かんだ大本は「ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)」の重要な要素である「自分の思考や行動を受容する」という考え方があります。自分自身の気持ちや思考、あるいは拘りといった部分に対して、それを否定的に考えるのではなくあるがままにひとまず受け入れる事を指します。具体的には、普段の生活の中で辛い事や苛立つことがあった時でも、その時起きた出来事や、その時湧き起こった感情に飲み込まれないように一定の距離を保ち、「自分はこういう事があった事に対してこう感じているんだな」と、あるがままに起きた事実を眺め、受け入れるという作業を行います。いわゆるマインドフルネスもこれに近い作業を行う事があります。このような思考や感情に対して「ジャッジせずに一旦受け入れる」という事が出来ると、それ自体が自分を「守る」事につながると感じる場面は多々あります。
 何故なら、感情的な苦しみや混乱あるいは悩みはその場で解決し得るものばかりではないからです。その解決しない悩みのせいで湧き起こったネガティブな感情に対してただ圧倒されて飲み込まれたままでいると、そこから身も心も身動きが取れなくなってしまう事があります。それが日常的に繰り返されてしまうと、苦しさが募りやがて心が蝕まれてしまうようになるかもしれません。その結果、日々の生活でやるべき事ややりたい事が満足に行えなくなり、生活リズムそのものに悪影響を及ぼす悪循環をきたすかもしれません。そういった事態を避けるためにも、「自分の心に起きた変化を一旦受け入れて、それと適切な距離感を保つようにする」という作業を行えることは、日常的に行えるとセルフケアとして有効に機能するのではないかと思います。
 自分なりの言葉で書いてみましたが③は少し難しい内容だと思います。ACTの考え方がベースになっているので、ACTの紹介として下記のリンクが参考になりますので紹介させて頂きます。


④自分を甘やかす(pamper)

 最後は、自分を「甘やかす」です。
 これは割と分かりやすいと思います。個人的な感覚としては、いわゆる「ストレスコーピング」と呼ばれるものを個人が作ろうとした際に、半分以上はこの④に含まれるものを挙げられることが多いのではないかと思っています。厳密にはコーピングには「自分を甘やかす」意外の意味や目的が沢山含まれているのでイコールにはなりませんが、参考にはなると思います。
 日常的なストレス場面に遭遇した時に、それに対してドツボにはまらず「上手く気分を切り替えるきっかけ」として、色々な「工夫」を日常生活に仕掛けるという事になるかと思います。分かりやすい例で言うと、「気分がしんどい時に行える気分転換の方法をあらかじめいくつかリストアップしておく」という方法があります。気分転換の方法は本当に人によって様々で場面によっても異なります。例えば普段の生活場面では好きなテレビや映画を見る、音楽を聴く、マッサージを受ける、スイーツを食べるといった日常的に行えるものがそれに当たります。
 あるいは仕事で辛い時には後で友人に電話をして愚痴を聴いてもらう、仕事が終わった週末にする事をリスト化してみる、仕事を5割位の頑張りで乗り切る、などの活動がそれにあたるかと思います。何がその人にとっての「気分転換」になるかは分からないので、あらかじめ自分の中で思いつくままにリストアップしてみる事をお勧めします。自分は「お世話になった親族のお墓参りに行く」が、意外と不定期に行う活動として気に入っています。
 個人的な注意点としては、後々罪悪感が残ったり後悔するような活動は「甘やかす」に含めない方が良いという事です。例えばスイーツを食べるにしても暴食にまではしないようにする、仕事を頑張りすぎないのも、罪悪感が湧くほどサボるのではなくて適度にコントロールする事が大切だと思います。例えば私は休職を経験するまでは、昼休みだろうが構わずに普通に仕事をしていましたが、復職してからは「休むのも仕事」と割り切り意識して休息するようにしています。人によってはこれぐらいの事でも「自分を甘やかす」に含まれると思います。あまり甘やかすといっても0か100かの極端な行動・考え方にならないように、自分にとっての丁度良いさじ加減を考える事自体が、私はセルフケアとして有効になりうると思います。

おわりに

 今回は自分が普段行っているセルフケアを類型化するという試みをしてみました。改めて思う事としては、人によって①から④のバランスを考える事がとても大事だなという事です。時期によっては②や③がとても難しい時期もあると思いますが、ある程度元気になってきた段階でもずっと④だけを行う事もやはり生きていく上でバランスが良くないのだろうと感じます。とはいえ、焦って自分に負荷をかけるべきでもありませんし②や③はそもそも一人だけで行うべきものでもない(必要なら他人の助けを借りればよい)とも思っています。今回の記事を自分なりにまとめる過程で、「自分で自分をケアするという事にも、やっぱりある程度リソースをきちんとかけないといけないな」と感じました。日々生きていく中でどうしても自分の事が疎かになりがちな人こそ、今回の①~④のようなセルフケアに取り組む時間を確保していく方が良いかもしれません。

 私のnoteでは、心理療法を独学で取り組んでいる方向けに、自身が過去に取り組んでみた心理療法の感想やそれらに類する事で気付いたポイントなどを当事者目線で記事にしていきたいと思っていますので、興味のある方はまた読んで頂ければ嬉しいです。それでは。


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