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波乱万丈な僕がタルト専門店の店主になって再びクリエイターを目指す理由-24

「プランナーが菓子店として信頼を勝ち得る方法」

その後も同じ沿線での駅ナカ催事出店を続けることができた。2020年につくった経営計画書の目標額に初年度は達することができた。ただ、これからさらに売り上げを伸ばして行かなくてはならない。設備投資のために政策金融公庫で受けた融資を返済し続けなくてはならないからだ。この時に催事出店していた期間は7日間。規定で同じショップスペースをお借りできるのは半年に一度だけと決められていた。その沿線でレンタルできるスペースは3箇所。半年ごとにお借りして出店できるのは年に6回。それだけでは十分とは言えない。

駅ナカ催事出店で副次的に効果があったのは、駅ナカという立地は多くの人が利用するので知名度が上がったことだった。それは店頭販売とネット販売に顕著に出た。店頭への来客数が増え、ネット販売の売り上げが伸びたのだった。その上で僕たちは次の行動をしなくてはならなかった。

僕たちはさらに多くの顧客を期待できる別の沿線への催事出店を探ることにした。その鉄道の沿線には僕たちのターゲット層である少し余裕のある文化度の高い女性層が多く住んでいた。しかし、その沿線での駅ナカ催事出店は2週間に及んだ。

まず長期間の販売が可能な生産量が必要だった。またその販売期間を回せる製造スタッフと販売スタッフの確保をしなくてはならなかった。以前の出店場所は地元でもありなんとか人員を確保できたが、遠方での出店ではその隣接地域から販売員を確保しなくてはならない。次のステップに進むには常に新しい障壁が現れる。それでも覚悟を決めて前に進まなくてはチャンスを手にすることは出来ない。

僕たちは新たな沿線に催事出店の商談を持ちかけた。そして思わずその駅ナカを管理する企業に良い感触の返事をいただくことができた。そして2021年4月。僕たちの未知の沿線への挑戦が始まった。

この時僕たちは新たな試みを始めた。

これまでの出店でも近隣のターゲット層が居住していると思われるエリアへのポスティングを行なっていた。そしてそのエリアから確実に顧客が来られていることを把握していたが、それを数値化することはしていなかった。僕たちはこの新しい沿線の馴染みの少ない居住エリアでポスティングの効果を数値化しようと考えていた。出店駅周辺を5つのエリアに分けて、それぞれのエリアからの購買客数を調べることにした。リアルなエリアマーケティングの数値化を試みた。そしてクライアントとその数値を共有することにした。

普段は300枚程度のポスティング数をこの時は1000枚にした。ポスティング業者など依頼する資金の余裕がない僕たちは、この1000枚を自力で足を使ってポスティングをした。そして5つのエリアのどこからどの程度顧客が訪れてくれたかを数値化した。

実はこの時の催事出店を始める2日前に、そのエリアに蔓延防止充填措置が発出された。なので残念ながらそのエリアへの集客数は平常時の70〜80%に減っていた。売り上げも期待された数字には届かなかったけれど、僕たちが行なったエリア別の反応を数値化することは競合他社は実行したことがなかった。

そして僕たちは信頼を勝ち得る新しい武器を手に入れた。

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