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僕はジローから最後の別れを突き付けられた

僕は、学校から帰ってから慌てて自転車に乗っていこうとすると、お母さんが


「そんな急いでどこいくの?」

「ちょっと遠出!!」


友達と自転車で少し遠い、いつもと違う空き地へと向かった。

近くの公園だと人も多く、キャッチボールができないからだ。


30分ほど友達とキャッチボールをしていると遠くに2匹の犬が見えた。


いつも見慣れている光景に僕は、あまり気にしていなかった。

「黒と白か・・・」


え?

あの白い犬・・ジローにそっくりだな。

僕は、目を凝らした。


ジローか?

間違いないジローだ!!


僕は咄嗟に叫んだ

「ジロー!!」


その白い犬は、僕のほうへ振り返った。

やっぱりジローだった。


ジローが居なくなって、どのくらい経ったのだろう

まさか、まさか、会えるなんて


「ジローこっちに来い」

僕を見たまま動かないジロー


ジローこっちに来い

僕のとこに戻って来い

ジロー早く

来い、来いってば


僕は、ゆっくりとジローのほうへ向かった。


黒い犬は警戒して前へと歩き出して行った。

「ジロー」

お前は行くな

僕のとこに来い

僕は、ジローに少しずつ近づいて行った。


でも、ジローは、僕を背に黒い犬のもとへと歩きだした。

「ジロー行くな!!」

「ジロー戻ってこいって」

ジロー行くなよ

ジロー行くなって

お願いだから

ジローお願いだから行くなって


黒い犬が走った。

その後を追いかけるようにジローも走った。


ジロー?

僕は、立ち止まった。


友達が慌てて「自転車で追いかけよう」って言った。

「もう、いい」

「え?」


僕の涙声で聞き取れなかったのか友達は僕の顔を心配そうに覗き込んだ。

「もう、いいって」


膝をついて服の袖で涙を拭きながら答えた。


でも、袖では間に合わないほどの涙が溢れて、もう拭うのを止めた。

地面に落ちていく涙を見て声までも溢れて大声で泣いた。


友達は、ずっと黙ったまま僕を見ていたんだろうな。


僕は、家に帰ってから家族にそのことは話さなかった。

なぜか話せなかった。


ジローと僕の繋がりが本当に壊れてしたったように思い怖かったのかもしれない・・


まだ、数か月しか経っていないのに、ジローは黒い犬を選んだ。


僕が分からないってことないよな?


散歩と言ってお前を木に繋いで僕だけ遊んだこと怒ってるのか?

お前にお菓子をあげる振りしたことを根に持ってるのか?

もう、ほんとは僕のこと嫌いになってたんだよね?

ごめん・・・


もう、会えないんだな。

僕は、ジローのことが大好きで、ずっと友達だと思ってる。

お前は?

夢の中でもいいから、お前の気持ち教えてよ

そしたら、元気な顔を見れたことを良かったって思えるから。


バイバイ

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