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僕は今まで別れは悲しいものだと思っていた

僕は、今までおばあちゃん、コロ、ジローとの別れに泣いた。

別れが、こんなにも辛いことなのかと胸が締め付けられる思いで、もう二度とあんな思いは経験したくないとずっと思っていた。


だから、タローを飼う時に嬉しい反面、別れがくる恐怖を同時に考えて素直に喜べなかった。


そして今回、また別れを経験しょうと思っていた。

僕からだ。


僕は、初めて彼女と付き合える喜びに有頂天になっていた。

ドラマでみるような理想が現実になると思い込んでいたんだと思う。

毎日がバラ色になってハートが目の前に飛び交っている光景ばかり夢みていたんだ。


でも・・・

実際は違っていた。

笑っていない僕ばかりがいた。


交換日記、電話、デート、一緒に帰る、お喋り

本当なら全て楽しい出来事のはずなのに、どれも苦痛に感じていた。


何でかな?

もう、わかってる。

その全ては彼女の理想で回っていたからだ。

彼女の都合に僕がいつも合わせていたんだ。


「話がある」

僕の暗い顔に彼女は察したのか

「何?嫌な話?」

僕は黙った。


「嫌な話は聞きたくないから」

そう言って僕から離れようとした。


「別れたい」

僕は冷静だった。


振り返った彼女は涙目だった。

「何でよ?」

「そのほうが・・」

「凄い勝手な言い方!!」

お互いの為と言おうとした僕の言葉が分かっていたのかもしれない。


「私が何か悪い事した?」

ここは何て言えばいいのか・・・

お互いに良い言葉なんて見つからない


「おさるの為に一生懸命やったのに」

「自分のためやん」

咄嗟に言葉に出てしまった。


「もう、いい!!」

彼女は走って去って行った。

僕は後ろ姿をずっと見ていた。


けど、後悔じゃなくてホッとしていたからだ。

きっと、戻ってこないようにずっと見ていたのかもしれない。


「最低だな・・」

つづく


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