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春のような温かさがいつもある学校に… 小さな子たちが君を慕う理由がわかった気がするよ 〜心の宝物166

🌷コガモのように後を慕って


コロナ機の学校
職員室のある第2校舎は、この学校のメイン校舎。鉄筋3階建て、東西に100メートル近い廊下は、かつて全国有数の大規模校だったことを語っています。威容を誇る校舎は、三方を緑の山々に囲まれています。眺望の開けた北側、とりわけ3階からは、北から白山、御岳山、中央アルプスの木曽駒ケ岳、空木岳、丸く優しい恵那山と、実に日本百名山の内五座を一望することができ、冬の晴れた日の白銀の峰々は、思わず息をのむほど美しいものでした。

その長い長い廊下を、今日も6年生と1年生が一緒に掃除しています。西の端の校長室を出るとすぐに廊下になっており、反対側の端はかすんで見えるほどですが、それでも、ひと塊の活気ある集団の存在感が届いてきます。

6年生の彼と、彼を慕う、コガモのような1年生たちです。

🌷小さな子たちが君を慕う理由が、私にはわかった気がする


面白おかしいことを言って、周囲の人を笑わせる、強いリーダーシップで、下級生を統率する。彼はいずれのタイプでもありません。むしろ寡黙。静かなたたずまいで、1年生がとっつきやすいと感じるタイプではないようにも思えます。しかし1年生は、嬉々として、彼の周りで懸命に床を磨いています。

その秘訣を探ろうと、少し離れて観察していました。
彼は相変わらず無口です。ふっくらした頬には優しさが浮かんでいますが、それほどこまめに面倒を見ている様子もありませんでした。
ひたすら、自分の作業に集中しています。
雑巾を右に左に、離れていても力がこもっていることが伝わります。一切の雑念を感じさせないその姿は美しくさえあります。1年生はそんな彼の姿をときおりじっと見つめます。彼の姿と、込められた思いを、自分のそれと引き比べ、内省しているようにも見えます。
そんな視線と彼の目が合うときがあります。彼は何も言わず、にこっと笑います。その笑顔の何と優しいこと。
1年生ははじかれたように、自分の作業に戻り、彼に負けじと没頭します。

1年生が君に引き付けられる理由が、私にはわかった気がする。それは巧みな言葉でも、太陽のような笑顔でもない。
君がそのとき発揮する、混じりけのない真剣さ、そこにこもっている君の志を、1年生は彼らなりに見抜いたのだと思う。私たちは、美しいものを前にすると、視線を奪われる。君は自分の姿で、それを彼らの前に呈して見せたのだ。
 そうして、見とれる、という形で寄せられた敬意やあこがれに、君はさりげなく、しかし心からの笑顔で、思いを返した。敬意と感謝が結び合って、強い信頼関係が培われている。

そう、君は私たち教師がそうありたい姿を、自然に体現している。
参ったよ。
私も、人に対するとき、君のようであろうと決意しなおしたよ。
君を尊敬する。

そんな思いで、お伝えしました。

かけがえのないあなたへ
素敵なきらめきをありがとう
出会ってくれてありがとう
生まれてきてくれてありがとう
どうか、ありのままで
どうか、幸せで

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