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春のような温かさがいつもある学校に… 「挨拶」という行為は、決して簡単なことでも当たり前のことでもない 〜心の宝物189

🌷笑顔に少しずつ自信が満ちて


山に囲まれた小さな学校
霜が降りることも珍しくなくなった11月ですが、身を切るような寒気も何のその、子供達は元気に登校してきます。
ガラスの扉を開け放した児童玄関は、外と全く変わらない寒さです。寒がりの私は冬のコートを着たまま、今日も子供達と挨拶を交わします。

満面の笑顔で、私が言うより先に、目を合わせて声をかけてくれる子、私の声かけに、はにかみながら小さく会釈する子、私が他の子と話している間に素早く通り過ぎていく子。その子によって、その日によって、どの子にも様々な姿があります。

決して大きな声ではありませんが、5年生の彼は、自分から優しい挨拶を届けてくれる一人でした。明るく穏やかでバスケットボールが大好きでした。はにかみ屋で、挨拶という行為は、あまり得意な方ではありませんでした。しかし、秋が深まる頃から、明らかに姿が変わってきました。笑顔に力強さが、自信のようなものが満ちてきたのを感じました。

🌷「挨拶」という行為は、決して簡単なことでも当たり前のことでもない


「あ」かるく、「い」つでもどこでも(その人の)後ろからでも何度でも、(自分から)「さ」きに、「つ」ながる心で。

挨拶することの値打ちとめざす姿を、上のように共有しましたが、それが子どもたちに届くとき、「こうでなければならない」という圧力や強制力にならないようにと願っていました。

どんな人にも得意不得意はあって当たり前、「するといい」とされている挨拶だって例外ではない。それを強制されることに恐怖すら覚える感性もあって当たり前。決して蔑まれたり責められたりしていいことではない。
挨拶に限らず、様々なことにそういう状況は生じ得る。先生方には、そういう認識で他者に向き合う学校文化を創ってほしい、それを基盤に、子供達には、折り合う力を、正解でなく、最適解を見出す力を培ってほしいと願っていました。

彼の自信は、どうやら掃除への取組から芽生えたようです。寒さ厳しい時期の手洗い場は、掃除分担としては辛い場所です。しかし、彼は、それに左右されませんでした。寧ろ美化委員長の呼びかけに応え、新聞紙を使って鏡を磨くなど、よりよい方法を自ら工夫して取り組みました。その姿は、委員長はじめ多くの仲間や先生から賞賛されました。

君は君の気づきにしたがい、君のペースで君の道を歩んでいる。つらい冬の手洗い場の掃除から、逃げるどころか、むしろ挑むように取り組む姿は、同じように歩く仲間たちの心に勇気の火を灯した。その光と温もりが、君の心に返ったようだね。
その人の一歩がみんなの宝物となり、喜びとなり、温もりとしてその人に返っていく。それがその人の次の一歩のエネルギーとなる。

君の一歩が、全校の仲間に、そのことを気づかせてくれた。
これは、君が思うよりも、ずっと大きなことだと私は思う。
「なんで学校に行かなければならないの」「学校に行くとどんないいことがあるの」
今、決して耳をふさいではいけないこの問いの、一つの答えを君は示してくれたんだよ。

かけがえのないあなたへ
素敵なきらめきをありがとう
出会ってくれてありがとう
生まれてきてくれてありがとう
どうか、ありのままで
どうか、幸せで

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